開発日誌 (~2012年)
# ワセリンと原油
(2009-01-24 07:50:47)
原油から生まれるワセリン
地中から掘り出された原油はそのままで利用されることはほぼありません。
原油とは採掘後、ガス・水分・土砂などを大まかに除去した状態の石油で原油は蒸留や分留と呼ばれる石油精製のプロセスを経て様々な製品が精製されます。
石油には不純物として硫黄・酸素・窒素などが含まれるます。
石油と言えば、ガソリンや灯油などの燃料のイメージですよね。
プラスティックの原料というイメージもありますが、その生まれる過程を見る機会が、一般消費者の私たちにはあまりないので知識として知っている方がほとんどです。
奇跡の成分 = 石油
実は石油は純粋な炭化水素の塊、炭化水素を混合物です。
この炭化水素は燃料にもなりますし、プラスティックの原料にもなりますが、様々な薬品が生まれ、もし食料危機が起これば、食品の原料にもなり得るミラクルな成分です。
ワセリン = 炭化水素
原油を構成している物質は主に炭化水素。
炭化水素とはC(炭素原子)を核に複数のH(水素原子)が組合わさった分子。
C(炭素原子)の数によって多数の種類があります。
代表的な炭化水素にはメタンやプロパンがあります。
下記表は炭素数別の炭化水素(アルカン、飽和炭化水素、パラフィン系炭化水素)の種類と製品への応用例です。この表からワセリンが石油製品の仲間であることがよくわかりますよね。
Table【アルカン、飽和炭化水素、パラフィン系炭化水素の例】
分子式(nH2n+2) | 分子量 | 名称 | 用途 |
CH4 | 16 | メタン | 燃料ガス |
C2H6 | 30 | エタン | 燃料ガス |
C3H8 | 44 | プロパン | 燃料ガス |
C4H10 | 58 | ブタン | 燃料ガス |
C5H12 | 72 | ペンタン | 溶剤 |
C6H14 | 86 | ヘキサン | ガソリン |
C7H16 | 100 | ヘプタン | ガソリン |
C8H18 | 114 | オクタン | ガソリン |
C9H20 | 128 | ノナン | ガソリン |
C10H22 | 142 | デカン | ガソリン |
C11H24 | 156 | ウンデカン | 灯油 |
C12H26 | 170 | ドデカン | 灯油 |
C13H28 | 184 | トリデカン | 灯油 |
C14H30 | 198 | テトラデカン | 灯油 |
C15H32 | 212 | ペンタデカン | 軽油 |
C16H34 | 226 | ヘキサデカン | 軽油 |
C17H36 | 240 | ヘプタデカン | 軽油 |
C18H38 | 254 | オクタデカン | 重油 |
C19H40 | 268 | ノナデカン | 重油 |
C20H42 | 282 | エイコサン | ワセリン |
C25H52 | 352 | ペンタコサン | ワセリン |
C30H62 | 422 | トリコンタン | ワセリン |
C40H82 | 562 | テトラコンタン | ワセリン |
※ワセリンは一般に炭素数が20-40程度のものです(厳密な定義はありませんので必ずこの範囲の炭化水素を指すわけではありません)。
※これ以上の炭素数になるとタール、アスファルト、残余燃料などになります。
< # ワセリンは万能薬か? || # ワセリンとメンソレータム >