開発日誌 (~2012年)
白色ハンドクリームの成分
(2013-07-17 08:12:00)
白色ハンドクリームとは白色のクリーム状ハンドクリームを指します。
一般的に市販されているハンドクリームはこのタイプが圧倒的に多いかと思います。
これ以外のハンドクリームの代表はワセリン系ハンドクリームです。
白色ハンドクリームにはどんな成分が含まれているでしょうか?
市販されているハンドクリームを例に解説します:
【ドラッグストアでよく見かけるある市販ハンドクリーム】
(全成分表示)
・水
・グリセリン
・セテアリルアルコール
・ステアリン酸
・セテアリル硫酸Na
・メチルパラベン
・硫酸Na
・プロピルパラベン
・チオジプロピオン酸ジラウリル
化粧品・医薬品の成分表示は配合比率が高いものから記載する規則になっています。
多くの製品が最初の数アイテムがメイン成分で後ろに行くほど微量成分になります。
微量成分は配合比率は0.01%といった非常に微量なものもあります。
微量ゆえにほとんど意味をなさないものもありますが、微量ながら大きな意味があるものがあります。
しかし、製品の特徴はやはりメイン成分が決定します。
この製品の場合は下記5成分がメイン成分で製品の特徴となっていると思われます:
・水
・グリセリン
・セテアリルアルコール
・ステアリン酸
・セテアリル硫酸Na
この成分構成(処方)からわかることは一言で言えば「水+脂+乳化剤」というコンセプトです。
白色ハンドクリームは概ね、このようなコンセプトをベースに処方が組まれています。
●水・・・人にとってももっとも基本的かつ重要な成分です。お肌のケアも水は基本でスキンケアとは皮膚の水分保湿にはじまり水分保湿に終わると言っても過言ではありません。一般的な白色ハンドクリームでは水は70%-80%配合されます。白色ハンドクリームはかなりの部分が「水」。
●グリセリン・・・3価アルコール。C3H5(OH)3。石油から合成することも可能ですが、化粧品や医薬品・食品に使用するグリセリンは多くの場合、ココナッツなど天然油脂を加水分解して作られます。
無色透明の粘稠性液体で吸湿性があり甘味を持ち、水、エタノールと任意の割合で混合する点が非常に扱いやすく化粧品や医薬品の原料産業においてもっとも重要な原料の一つです。
グリセリンの保水性を生かして化粧品、医薬品、食品に用いられます。
医薬品や香料の溶媒、結晶化防止(グリセリンは不凍液としても利用可能)、乾燥食品や菓子類の保湿剤、チューインガムの軟化剤など幅広い用途があります。
ハンドクリームにグリセリンが配合される意図は次の目的のためです:
・保湿作用・保湿効果
・クリームの感触・テクスチャ改善(柔らかくしっとりした感じ)
・さらさらの水に粘土を与える
●セテアリルアルコール・・・セタノールとともに化粧品によく使用される代表的な高級アルコール。以前はクジラから採れる鯨油から精製されていました。
アルコールとっても一般にイメージされるお酒(エタノール)とは違います。常温では固体ですし。
分子式がアルコールの特徴であるヒドロキシル基(OH)も持った炭化水素であることからアルコールと呼ばれています。
「高級」とは炭化水素の炭素数が6以上の場合でそれ以下は「低級」となります。もちろん価格や品質の上下の意味はなく、純粋に炭素数の問題です。
・炭素数1 → CH3OH メタノール
・炭素数2 → C2H5OH エタノール
・炭素数3 → CH3CH2CH2OH 1-プロパノール
高級アルコールとってもOH基が付いた炭化水素なので脂の性格をもっていて少しだけ水に溶ける親水性の性格があります。
そのため皮膚を保護しお肌にうるおいを与えると同時に乳化剤的な役割も果たします。
セテアリルアルコールはこの製品ではおそらくお肌の保護+エモリエント効果(皮膚の潤い&柔軟性)を高めるという機能にプラスして、下記の効果があると推測されます:
・ハンドクリーム自体の粘性を高める
●ステアリン酸・・・動物性・植物性脂肪で最も多く含まれる飽和高級脂肪酸。分子式C17H35COOH。常温では固体。融点69.9度。化粧品原料としては多くの場合、粉として提供されます。
●セテアリル硫酸Na・・・界面活性剤。ステアリン酸などの脂肪酸は脂の性格を持っており、本来、水とは混じり合いあせんが、これを混ぜ合わせ融合させるために必要な乳化剤の役割を果たします。界面活性剤として働きます。
白色ハンドクリームの成分は一般に水が70%-80%配合されていますのでかなりの部分が水ですが、残りは高級アルコールや高級脂肪酸となります。
つまりハンドクリームとは水で固めた脂と言えます。
ステアリン酸はカラダの皮脂に含まれる脂でもあり、なるべくカラダに本来含まれている脂で手やお肌を優しくガードしようという意図がうかがえます。
(補足:人に皮脂に含まれる脂肪酸の例)人に皮脂のメイン成分は脂肪酸ですが、この脂肪酸には下記のような脂肪酸が含まれます。
・ミリスチン酸
・ペンタデシル酸
・パルミチン酸
・パルミトレイン酸
・マルガリン酸
・ステアリン酸
・オレイン酸
・バクセン酸
・リノール酸
オレイン酸やリノール酸など、マーガリンや食用オイルの成分として聞いたことがあるものがいっぱい。つまり人の皮脂も多くの動植物の油脂と成分と共有していることがわかります。
そしてハンドクリームは本来、皮脂で守られるべき手やお肌に、単純に皮脂成分やそれに似た成分を補強していると言えます。
上記ハンドクリーム成分ではセテアリルアルコールやステアリン酸が皮脂成分・皮脂に近い成分でグリセリンはそれらを使いやすくし、セテアリル硫酸Naはそれらを安定的に混ぜ合わせている周辺成分となります。
一般的に市販されているハンドクリームはこのタイプが圧倒的に多いかと思います。
これ以外のハンドクリームの代表はワセリン系ハンドクリームです。
白色ハンドクリームにはどんな成分が含まれているでしょうか?
市販されているハンドクリームを例に解説します:
【ドラッグストアでよく見かけるある市販ハンドクリーム】
(全成分表示)
・水
・グリセリン
・セテアリルアルコール
・ステアリン酸
・セテアリル硫酸Na
・メチルパラベン
・硫酸Na
・プロピルパラベン
・チオジプロピオン酸ジラウリル
基本は同じ:「水」+「脂」+「乳化剤」
化粧品・医薬品の成分表示は配合比率が高いものから記載する規則になっています。
多くの製品が最初の数アイテムがメイン成分で後ろに行くほど微量成分になります。
微量成分は配合比率は0.01%といった非常に微量なものもあります。
微量ゆえにほとんど意味をなさないものもありますが、微量ながら大きな意味があるものがあります。
しかし、製品の特徴はやはりメイン成分が決定します。
この製品の場合は下記5成分がメイン成分で製品の特徴となっていると思われます:
・水
・グリセリン
・セテアリルアルコール
・ステアリン酸
・セテアリル硫酸Na
この成分構成(処方)からわかることは一言で言えば「水+脂+乳化剤」というコンセプトです。
白色ハンドクリームは概ね、このようなコンセプトをベースに処方が組まれています。
各成分の特徴
●水・・・人にとってももっとも基本的かつ重要な成分です。お肌のケアも水は基本でスキンケアとは皮膚の水分保湿にはじまり水分保湿に終わると言っても過言ではありません。一般的な白色ハンドクリームでは水は70%-80%配合されます。白色ハンドクリームはかなりの部分が「水」。
●グリセリン・・・3価アルコール。C3H5(OH)3。石油から合成することも可能ですが、化粧品や医薬品・食品に使用するグリセリンは多くの場合、ココナッツなど天然油脂を加水分解して作られます。
無色透明の粘稠性液体で吸湿性があり甘味を持ち、水、エタノールと任意の割合で混合する点が非常に扱いやすく化粧品や医薬品の原料産業においてもっとも重要な原料の一つです。
グリセリンの保水性を生かして化粧品、医薬品、食品に用いられます。
医薬品や香料の溶媒、結晶化防止(グリセリンは不凍液としても利用可能)、乾燥食品や菓子類の保湿剤、チューインガムの軟化剤など幅広い用途があります。
ハンドクリームにグリセリンが配合される意図は次の目的のためです:
・保湿作用・保湿効果
・クリームの感触・テクスチャ改善(柔らかくしっとりした感じ)
・さらさらの水に粘土を与える
●セテアリルアルコール・・・セタノールとともに化粧品によく使用される代表的な高級アルコール。以前はクジラから採れる鯨油から精製されていました。
アルコールとっても一般にイメージされるお酒(エタノール)とは違います。常温では固体ですし。
分子式がアルコールの特徴であるヒドロキシル基(OH)も持った炭化水素であることからアルコールと呼ばれています。
「高級」とは炭化水素の炭素数が6以上の場合でそれ以下は「低級」となります。もちろん価格や品質の上下の意味はなく、純粋に炭素数の問題です。
・炭素数1 → CH3OH メタノール
・炭素数2 → C2H5OH エタノール
・炭素数3 → CH3CH2CH2OH 1-プロパノール
高級アルコールとってもOH基が付いた炭化水素なので脂の性格をもっていて少しだけ水に溶ける親水性の性格があります。
そのため皮膚を保護しお肌にうるおいを与えると同時に乳化剤的な役割も果たします。
セテアリルアルコールはこの製品ではおそらくお肌の保護+エモリエント効果(皮膚の潤い&柔軟性)を高めるという機能にプラスして、下記の効果があると推測されます:
・ハンドクリーム自体の粘性を高める
●ステアリン酸・・・動物性・植物性脂肪で最も多く含まれる飽和高級脂肪酸。分子式C17H35COOH。常温では固体。融点69.9度。化粧品原料としては多くの場合、粉として提供されます。
●セテアリル硫酸Na・・・界面活性剤。ステアリン酸などの脂肪酸は脂の性格を持っており、本来、水とは混じり合いあせんが、これを混ぜ合わせ融合させるために必要な乳化剤の役割を果たします。界面活性剤として働きます。
ハンドクリームのコンセプトは水で固めた脂
白色ハンドクリームの成分は一般に水が70%-80%配合されていますのでかなりの部分が水ですが、残りは高級アルコールや高級脂肪酸となります。
つまりハンドクリームとは水で固めた脂と言えます。
ステアリン酸はカラダの皮脂に含まれる脂でもあり、なるべくカラダに本来含まれている脂で手やお肌を優しくガードしようという意図がうかがえます。
(補足:人に皮脂に含まれる脂肪酸の例)人に皮脂のメイン成分は脂肪酸ですが、この脂肪酸には下記のような脂肪酸が含まれます。
・ミリスチン酸
・ペンタデシル酸
・パルミチン酸
・パルミトレイン酸
・マルガリン酸
・ステアリン酸
・オレイン酸
・バクセン酸
・リノール酸
オレイン酸やリノール酸など、マーガリンや食用オイルの成分として聞いたことがあるものがいっぱい。つまり人の皮脂も多くの動植物の油脂と成分と共有していることがわかります。
そしてハンドクリームは本来、皮脂で守られるべき手やお肌に、単純に皮脂成分やそれに似た成分を補強していると言えます。
上記ハンドクリーム成分ではセテアリルアルコールやステアリン酸が皮脂成分・皮脂に近い成分でグリセリンはそれらを使いやすくし、セテアリル硫酸Naはそれらを安定的に混ぜ合わせている周辺成分となります。