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( 香水工場の )

香る生活


香水瓶の歴史#1 豪奢の象徴
きょうから香水瓶をテーマに書いていきます。

香水瓶を愛したルネ・ラリック


日本には熱烈なラリック・コレクターが多数。ラリックはジュエリーデザイナーからガラス細工、特に香水瓶制作へと傾聴していった芸術家です。

ラリックとフランソワ・コティの出会いが香水産業の歴史を大きく塗り替えました。フランソワ・コティはパフューマーにして世界的な香水・化粧品メーカーであるコティ社の創業者。


香水ビジネスで大成功をおさめたコティ


ラリックとコティの出会いと葛藤、そして彼らの香水ビジネスの大成功は、人間模様とビジネス模様がリアルに入り交じった物語ですので、別途どこかでご紹介したいと思います。

ここではラリックが制作した香水瓶にスポットを当てます。ラリックが活躍した時代は、香水瓶は芸術と見なされ、コスト度外視で制作できた、おそらく最後の時代だったことを述べます。


香水瓶は現代でも特別な容器


現代でも香水瓶は他のコンシューマープロダクトと比較すれば、その装飾性には格段に高いものがあります。また中身と比較して容器に配分可能なコスト比率の高さは群を抜いています。

それほど香水瓶は、現代においても特別な容器と思われているのです。


シンプルに向かう香水瓶


現在の香水瓶は、「コストほどほど」に「量産に耐える」「量産しやすい」というミッションがあるのため過剰な装飾性は殺ぎ落とされました。

しかも現代のデザイン潮流はiPodに代表されるように「どこまでも限りなくシンプル」。

すべての製品・家具・乗物・建造物におして「シンプル」への傾倒はより鮮明になりつつあります。香水瓶のデザインも当然「量産性とシンプル性」を兼ね備えたデザインへと今後も突き進むと思われます。

ラリックの時代の香水瓶は手作業から量産・工業生産へのちょうど過渡期。香水瓶はそれまでいくらでも手間暇かけてもよい製品でした。なぜでしょうか?


香水瓶のはじまり:ゴールドより高価な香料


香水瓶は、はじめて創り出された紀元前の時代から、つねに王様や貴族の調度品であり続けてきたためです。

お皿や茶碗が、食物の形状や使用する人の使い勝手を計算し、実用性が重視されることに対して、香水瓶は装飾性が重要でした。

なぜなら、そこに入れるものは香料。古代メソポタミア時代・古代エジプト時代・古代ギリシア時代・古代ローマ時代を通してゴールドと同じ、もしくはゴールドより価値があると見なされた宝物。

その入れ物も豪華にならないわけがありません。

香水瓶は豪奢の象徴でした。
(2010-01-29)
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