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( 香水工場の )

香る生活


香水瓶の歴史#4 ガラス瓶の起源

天然には存在しないガラス


香水瓶の歴史はガラス瓶の歴史、ということでガラス瓶の歴史を見ます。

ガラスは自然界にある物質から作られますが、自然に生成されることはない非天然素材です。

石器時代、矢じりなどに使用された黒曜石は溶岩などが冷却された後にできるガラス質岩石で、「自然界のガラス」と言えますが例外的です。

ガラスが生み出されるまでには人間による製造発見が必要でした。

ガラスの製造は薬品同士の化学反応といった化学的なプロセスを経るわけではありませんが、ガラスの原料となる砂や石を溶解するほど熱する必要があります。その点は、土を焼成して作る磁器や陶器と同じですね。


ガラスの主成分


ガラスの主成分はSiO2(二酸化ケイ素)。

二酸化ケイ素というと難しいのですが、石英(クォーツ)を思い出してもらうと案外身近にさわったことがある人も多い。ガラスっぽい岩ですよね。石英自体は二酸化ケイ素が結晶化(水晶化)したもので希少で高価なものなのでガラスの原料に使用されることは多くありません。

ガラスの原料には石英が粉々になったものや結晶化されていない砂状の珪砂(けいさ)や珪石(けいせき)が使用されます。


日本のガラス製造工場


自動車のフロントガラスや高層ビルディング用の建設用の板ガラスは、工場自体の大型化・ハイテク化が進み郊外や地方の大規模工場で生産されますが、小規模な香水瓶や化粧品用のガラス容器は昔ながらの伝統的なガラス工場で生産されます。

日本にもそういった小規模なガラス瓶製造工場が多数あります。

東京でしたら江東区や墨田区の住宅街の中に「こんなところに!」といった感じポツンとあったりします。やはり住宅街の中にある工場は昔からある工場が多いようです。

昔からある香水瓶の製造工場を見学させてもらいました。原料の珪砂と添加物として炭酸ナトリウムや炭酸カリウムを混ぜ合わせて溶解します。

二酸化ケイ素は、石英(水晶)や珪砂、珪石の形態で世界中で産出されます。砂丘や砂漠の砂には珪砂を多く含むため品質を問わなければガラスの原料は世界中で比較的豊富に入手可能と思われます。


ガラスの起源


プリニウスの「博物誌」にはガラスの起源として、フェニキアの商人達が海岸端の野営の炉で偶然ガラスになりかけた砂を発見したという記述があるそうです。

炉の熱が砂を溶かし植物の灰(炭酸カリウム)や炭酸ナトリウム(Na2CO3)が偶然溶けた砂と混じり合いガラスが生成するかどうかという事実は別として原材料としてはありえる話と思われます。

ガラスの起源は古代メソポタミア〜古代フェニキア〜古代エジプトといった古代西アジア文明圏だったと推測されています。

ガラス起源のもっとも有力な文明圏がメソポタミア(現在のイラク)で、北部メソポタミアに勃興したアッシリア王国の石版や粘土板にはかの有名な「くさび形文字」でガラス製法に関する記述が残されているそうです(紀元前20世紀前後)。

紀元前2000年にはすでにガラスの製造がはじまっていたと考えられています。

もっとも当時は不透明なガラス玉やガラスの塊程度のものが多く、おそらく宝石類とみなされていたと考えられます。

現代人がイメージする透明でクリスタルなガラスのイメージとはかなりほど遠いモノだったようです。
(2010-02-12)
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