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( 香水工場の )

香る生活


香水瓶の歴史#8 ローマ時代のガラス2

ローマ人を熱狂させた香料の人気度


『博物誌』に記述がされているローマ時代における香料とガラス瓶関連の事実を列記します:

・香料文化がローマで大流行
・西アジア・エジプトの香料の大量輸入
・ローマで海外産香料の売買禁止令(前189年)->輸入超過がふくれ赤字になったのでしょうか。
・香料産地の変遷
・アイリス:コリント産->キュジュコス産
・ローズオイル:パセリス産->ナポリ、カプア、バレストリーナ産
・サフランオイル:キリキア産->ロードス島産
・ネロ皇帝は香油を足の裏にまですり込んでいた
・ガイウス皇帝は浴槽に香料を入れた
・飲み物に香料を入れる人々が現れた


どの民族でも時の権力者の嗜好は、その社会の文化や伝統・習慣になる傾向があります。

なのでネロ皇帝やガイウス皇帝が香料を愛用したという事実は、多くの貴族や上流階級の人々、そして社会の下々の庶民にまでその文化が行き渡っていた可能性を示唆します。


食する香料


ペルシアやエジプトでは香料は、主に宗教、もしくはそれに関連する敬虔な儀式で使用する尊い宝物であり、体に塗る貴重な薬か神聖な消耗品でした。

しかし、ローマ時代ではそういう意味を持ちながら、一方では「飲み物に香料を入れ楽しむ」嗜好品としての変化も見られます。

そのためローマ帝国には周辺国や属国から過剰な香料輸入が継続的に起こり、輸入超過の赤字も起きたのでしょう。

また、香料の有名な産地の変遷は、事情は不明ながら、おそらく香料人気による社会的な状況変化が発生したと推測されます。


乱獲された香料?


「香料植物の乱獲・乱伐が発生」->「香料資源の枯渇」->「香料産地の衰退と変遷」

この図式は、現在の天然資源枯渇の問題とまったく同じ構図であり、人類は歴史を通して同じ過ちを繰り返してきたことが伺えます。


バラ風呂にみる栄華を極めるローマ


ローマ時代は、お風呂文化が発展したことで知られています。日本の銭湯同様、街中に浴場が盛んに開設された時代です(お風呂文化はローマ帝国衰退とともに壊滅し、その後ヨーロッパ人はお風呂とは無縁の生活を送るようになります)。

貴族や上流階級の一種の社交場になっておりハイカラな文化が浴場から生まれたと考えられます。

バラ風呂やバラ湯もそうした背景から生み出された習慣かもしれません。

ローマ時代はお祭りなど特別なイベントではバラの花びらを街中で振りかける光景もあったことが記録されているので香料人気は庶民にまで至っていることがわかります。

(2010-02-18)
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