( 香水工場の )
香る生活
北海道香料の旅#1 アンモニア臭の温泉
北海道香料の旅
北海道に行って来ました。目的は香料植物の取材。
一部が次回『香る生活』の記事ネタになります。
北海道は予想に反して、異常な湿気と雨。やや運が悪かったですが、収穫も大きかったかも。
富良野ラベンダー
『香る生活』の取材なら富良野のラベンダーと思われるかもしれませんが、富良野ラベンダーは、マスコミにすでに多く取り上げられています。
今さら二番煎じを演じても読者には興ざめですので、同じ富良野でも、もし入れるとしたら違った切り口を少々入れたいところです。
この「香水Biz備忘録」では、「北海道香料の旅」こぼれ話を少々書き綴りたいと思います。
匂いの温泉、てしお温泉夕映
香りという意味では、衝撃だったのが、天塩町(てしお)の「てしお温泉夕映」(ゆうばえ)。
天塩町とは、北海道道の北最北端、宗谷岬や稚内から南方に下ったところにある小さな町です。
北海道中央の大雪山系の水源から北海道の道北部分を長大でうねうねと横断する天塩川(てしおがわ)の河口に位置する小さな町です。
漁港にして、かつての大きな港町。明治・大正から昭和30年くらいまで北海道有数の経済都市でした。
前知識なしで天塩町の保養センター「てしお温泉夕映」に宿泊しました。
問題はここの温泉。浴室に入った瞬間から「おしっこ」のニオイ。
こ、これは・・・
「浴室内にトイレでもあるのか・・・」
と思えるほどです。茶色の湯船につかると水がチャポンと揺れるたびに目がシバシバ。アンモニアの刺激臭で目をしばたく有様。
しばし呆然。夢か幻か、周囲を伺うとすべて平然とした有様。自分だけが異常を感じていたようです。
涙を誘う発酵食品のアンモニア
思い出すな・・・地上最強の臭い発酵食品、韓国の「ホンオ・フェ」、スウェーデンの「シュールストレミング」。
「涙なしには食べられない食品」ですが、おいしさのあまり涙が出るわけでなく、アンモニアの刺激臭で本当に涙がボロボロ出る発酵食品です。
目を閉じてしばらく苦痛に耐えていたのですが、アンモニアのニオイは糞尿のニオイよりも、より純粋な、中学の化学の実験で出会う薬品のアンモニアのニオイ。
源泉のお湯自体に高濃度のアンモニアが含まれているのではなかろうか、と思えてきました(いや、それ以外ありえないではないか!)。
匂いの原因は源泉のアンモニア?
上がる頃には、その日の演習を終えて来館したと思われる自衛隊の若武者たち(自衛隊の駐屯地や演習場あり)が大挙して湯船に突進してきて、アンモニア臭といい、にぎやかさといい記憶に残る温泉となりました。
上がって、温泉成分の説明書らしきものを探すと、ホレありました。壁に張り出されて御触れに曰く(うろ覚えで間違っている可能性大です)、
1kg中
・ナトリウム 10,000mg
・カリウム 1,000mg
・アンモニウムイオン 300mg
温泉成分としては、アンモニアは確かに第3位につけていますが、はたしてアンモニウムイオン300mgが多いのかどうか。わずか0.03%であのニオイが出るのかどうか温泉知識に乏しい私にははなはだ見当も付きません。
香水オシッコ伝説はウソ、でもアンモニアは魅力的?
しかし、「香水にはオシッコを混ぜる」という都市伝説(香水オシッコ伝説は、根拠無根100%偽り伝説です、念のため)があるだけに、アンモニアは人を魅了する香りかもしれません。
刺激臭のため湯船で悶えていた私も、数回通えば「病みつき」になるニオイかな?
少なくとも現地の人々のアンモニア風呂リラックス風情を見ると、それもアリかもと大いなる「香りのテーマ」を残してくれる体験となりました。
(2010-07-17)
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