( 香水工場の )
香る生活
香りを楽しむためには体力も必要
(患者さんにとって香り・匂いは辛いことが多い)
柔軟剤の香りが人気です。ちょっと前までは洗剤もトイレタリーも「無香料」や「微香」が人気でしたので、香りのトレンドもあっという間の逆転です。「それにしてもこんなに真逆になるもの?」と私も驚いています。
香水やフレグランス、柔軟剤、芳香剤のちょっと強すぎる香りが「香害」を起こしているケースもあり悩ましい。今日は、病院での香水やフレグランス、香りが強い柔軟剤など「香りもの」について考えてみます。
ユリは、甘い芳香がうっとりする夏の花です。とくにカサブランカはパワフルな香りで私たちを楽しましてくれる。しかし、病院のお見舞いにカサブランカを持って行く人は多くありません。
病院では、香水もフレグランスも、お花も、香りが強いモノはおおむねネガティブに受け取られがちです。
病院で香りものが敬遠されがちな理由は、患者さんの具合に影響するからです。患者さんにとって香り・匂いは、よい香り・悪い香りを別にして、それが辛いのです。
医学的なメカニズムは不明ですが、具合が悪いと大半の人は香り・匂いに苦痛を感じます。体験された方も多いでしょう。私は仕事柄、平均的な人よりもニオイや香りに対する耐性がある方です。涙が出るほどの腐敗臭にもある程度無言で耐えられます。
しかし、以前、食中毒にやられて数日間、伏せたときは、ほんの少し料理のニオイが香ってくるだけでトイレに駆け込んで、吐いたり出したり。
ふしぎですが、香りを楽しむためには、香りに耐えられるだけの体力が必要という現実があります。お酒を楽しむためにも体力が必要。似た生理現象かもしれません。
病院では、食堂から病室に流れ込む匂いで具合が悪くなる患者さんの話はよく聞きます。複数のお医者さんや看護士さんに聞いたところ、病院は香り・匂いがない、無臭の方が好ましいと言う方が多いようです。
ところで、一方で当社では、病室から香水をご注文いただくお客様もおられます。ご本人からだったり、付き添いの方からだったり。お届け先が病室の場合があるのでわかります。周囲の方への影響もありますので、心配なときもあります。
実際に病室からご注文されたお客様に、お聞きしたことがあります。「入院中、香りが心の支えになっている」とのことでした。体力がなければ、楽しめない香りですが「癒される香り」・「励ましてくれる香り」という香りも実際にあるようです。
先の大震災では被災されて体力・精神ともに疲弊した人々が避難先で、オレンジオイルやローズオイルなどのエッセンシャルオイルの香りに癒されたという体験談は何回か耳にしました。また、ストレスと不安・失望・絶望のため眠れない人々が、ぐっすり眠れる安眠アイテムとして「香り」は多くの人に取り上げられます。
香りが患者さんの心の支えや励みになっている事実も存在しますし、香りの医学的な効果もおそらく期待できるでしょう。だから、病院では「香りものはすべてNO!」という法律を作ることは不可能と考えられます。
?では、香害をどのように抑止すべきでしょうか?
?欧米では数年前から、香水の「公共施設内での使用禁止」や「学校内での使用禁止」といった取り組みを推進する行政が多くなってきました。これは法律や規則レベルの話です。こういった強制力のある対策も一部必要になるかもしれません。
しかし、あまりにも規則ばかりですと社会も息苦しい。できるなら、マナーとして成熟すれば実際の抑止力は生まれる気がします。
たとえば、レストランでのマナーやコンサートホールでのマナー、電車内でのマナー・・・強制力はなくても人々の常識として受け入れられ、人々の行動を規制する力になっています。
香害に対する個人の配慮に関しても、マナー(常識)が形成されていくと考えられます。そういう香り文化の成熟が一つの大きな、実行力のある抑止力になるはずです。
(2015-01-08)
・強すぎる香水やフレグランス、柔軟剤の「香害」
柔軟剤の香りが人気です。ちょっと前までは洗剤もトイレタリーも「無香料」や「微香」が人気でしたので、香りのトレンドもあっという間の逆転です。「それにしてもこんなに真逆になるもの?」と私も驚いています。
香水やフレグランス、柔軟剤、芳香剤のちょっと強すぎる香りが「香害」を起こしているケースもあり悩ましい。今日は、病院での香水やフレグランス、香りが強い柔軟剤など「香りもの」について考えてみます。
・病院のお見舞いにカサブランカ?
ユリは、甘い芳香がうっとりする夏の花です。とくにカサブランカはパワフルな香りで私たちを楽しましてくれる。しかし、病院のお見舞いにカサブランカを持って行く人は多くありません。
病院では、香水もフレグランスも、お花も、香りが強いモノはおおむねネガティブに受け取られがちです。
・健康でないと香りを楽しめない現実
病院で香りものが敬遠されがちな理由は、患者さんの具合に影響するからです。患者さんにとって香り・匂いは、よい香り・悪い香りを別にして、それが辛いのです。
医学的なメカニズムは不明ですが、具合が悪いと大半の人は香り・匂いに苦痛を感じます。体験された方も多いでしょう。私は仕事柄、平均的な人よりもニオイや香りに対する耐性がある方です。涙が出るほどの腐敗臭にもある程度無言で耐えられます。
しかし、以前、食中毒にやられて数日間、伏せたときは、ほんの少し料理のニオイが香ってくるだけでトイレに駆け込んで、吐いたり出したり。
・香りを楽しむためには体力が必要
ふしぎですが、香りを楽しむためには、香りに耐えられるだけの体力が必要という現実があります。お酒を楽しむためにも体力が必要。似た生理現象かもしれません。
病院では、食堂から病室に流れ込む匂いで具合が悪くなる患者さんの話はよく聞きます。複数のお医者さんや看護士さんに聞いたところ、病院は香り・匂いがない、無臭の方が好ましいと言う方が多いようです。
・ストレスと不安に効果がある香り
ところで、一方で当社では、病室から香水をご注文いただくお客様もおられます。ご本人からだったり、付き添いの方からだったり。お届け先が病室の場合があるのでわかります。周囲の方への影響もありますので、心配なときもあります。
実際に病室からご注文されたお客様に、お聞きしたことがあります。「入院中、香りが心の支えになっている」とのことでした。体力がなければ、楽しめない香りですが「癒される香り」・「励ましてくれる香り」という香りも実際にあるようです。
先の大震災では被災されて体力・精神ともに疲弊した人々が避難先で、オレンジオイルやローズオイルなどのエッセンシャルオイルの香りに癒されたという体験談は何回か耳にしました。また、ストレスと不安・失望・絶望のため眠れない人々が、ぐっすり眠れる安眠アイテムとして「香り」は多くの人に取り上げられます。
・香りのマナーの普及が、香害抑止のカギ?
香りが患者さんの心の支えや励みになっている事実も存在しますし、香りの医学的な効果もおそらく期待できるでしょう。だから、病院では「香りものはすべてNO!」という法律を作ることは不可能と考えられます。
?では、香害をどのように抑止すべきでしょうか?
?欧米では数年前から、香水の「公共施設内での使用禁止」や「学校内での使用禁止」といった取り組みを推進する行政が多くなってきました。これは法律や規則レベルの話です。こういった強制力のある対策も一部必要になるかもしれません。
しかし、あまりにも規則ばかりですと社会も息苦しい。できるなら、マナーとして成熟すれば実際の抑止力は生まれる気がします。
たとえば、レストランでのマナーやコンサートホールでのマナー、電車内でのマナー・・・強制力はなくても人々の常識として受け入れられ、人々の行動を規制する力になっています。
香害に対する個人の配慮に関しても、マナー(常識)が形成されていくと考えられます。そういう香り文化の成熟が一つの大きな、実行力のある抑止力になるはずです。
(2015-01-08)
search