( 香水工場の )
香る生活
ウイスキーと香水の深い共通点・・・香り
(2014/09/11)
ウイスキー工場で香りのプロに出会いました。ちょっと感動的でした(2014/09/10)
(調香台にそっくりな初代マスターブレンダーのブレンディング台)
サントリー白州蒸留所に行ってきました。中央線に揺られてぶらりと旅気分。甲府から先の小淵沢という駅で降りてタクシーで20分。
小淵沢駅は八ヶ岳の南麓にある駅ですが、標高900mとかなりの高さ。私がよく行く東京郊外の高尾山のてっぺんが600mですので、駅自体がちょっとした山の上にあるようなものです。
一方、サントリー蒸留所は八ヶ岳でなく向かいの甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ)の麓。小淵沢駅で乗車したタクシーは一方的に降りていくばかりで「ここは山の中の町なんだんなー」という実感を味わえました。降りきって今度はちょっと登り出すとすぐにサントリー白州蒸留所です。
香水とワインの共通点は、いままで何度か取り上げてきましたが、今日はウイスキーと香水の話です。
自分が日常的にウイスキーを飲まないので、ウイスキーのウンチクをしても説得力がありませんが、サントリー白州蒸留所に行って感じたことならリアルな体験談。読者の方々にもおもしろいかもと期待して書いています。
香水とウイスキーでは全然別世界なんですが「香りを楽しむ」という点で似た商品です。よい香りを創り出すためにどんな工夫がなされているのか。サントリー白州蒸留所には、運がいいことにウイスキー博物館が併設されていて、わかりやすかったですね。
博物館の話をする前に工場全体の印象ですが、とにかく巨大です。ウイスキーは10年も20年も貯蔵して商品化されるものが多いため、巨大な貯蔵施設が必要となります。
見学エリアは限られているため全容を見ることはできませんが、地図で確認すると東京ベイエリアに林立する巨大倉庫のような施設が森の中に10棟から20棟、それぞれに200kgくらいの木製ウイスキー樽が1万本から2万本程度貯蔵されていると思われます。
「大企業さんには、かなわない」
とひたすら感嘆符。この山間の森の中を大型トレーラーがひっきりなしに通るところが、なんというか「資本主義」とか「インダストリー」というコトバが脳裏をかすめます。複雑でもあります。
さてウイスキー博物館に戻ります。見学ツアーが始まるまで、ここで待機するのですが、10分くらいのビデオがリピート上映されておりました。創業者・鳥井信治郎氏がどのようにサントリーを立ち上げたかが「プロジェクトX」風に再現されていました。
多くの人が、鳥井信治郎氏の苦労と偉業に感動することでしょう。私もそうでしたが、とりわけ感動した部分はウイスキーのスメリングの方法でした。
鳥井信治郎氏のスメリングのやり方がおもしろい。ウイスキーが少量装われたグラスを片手で持ち上げて、グラスの口でそのまま鼻を完全に覆い被せるやり方です。
そして、スメリンググラスがワイングラスに似ていたことも印象的でした。
鼻で香りを確かめ、その後、口にウイスキーを含むのですが、口の中で味わう時間は比較的短かく、鼻によるスメリングの方が長い時間をかけ、そして熱心に見えました。ウイスキーも実は、根っからの香りの飲み物なんだなと実感しました。
ウイスキーは同じ原料でも、発酵槽や蒸留釜、樽材や貯蔵された場所や気候によって風味が変わるため、それらをブレンドして、最上かつ一定の香りを創り出す作業が必要です。
この作業がブレンドまたはブレンディングですが、ブレンディングは、ウイスキービジネスで重要部分のようです。ウイスキーのブレンディングは、調香師(パフューマー)の調香と本質的に似ていると思います。
サントリーでは現在7名のブレンダーがおられるとのこと。創業者・鳥井信治郎氏が、サントリーの「初代マスターブレンダー」で、歴代の社長がマスターブレンダーを踏襲している事実を見ると、ブレンディングに本当に力が注がれていることを感じます。
写真の机は、初代マスターブレンダー鳥井信治郎氏が愛用したブレンディング机。香水の世界なら、調香師(パフューマー)の調香台(オルガン)そのものです。
机の上には、ワイングラスで言えば、ややブルゴーニュタイプに近いグラスが置かれています。これがウイスキーのスメリング用専用グラスかどうか、私には知識がありませんが、通常のウイスキーグラスとの違いも大いに興味をそそられます。
また、このデスクは、ロールトップデスク(蛇腹巻上げ式机)と呼ばれ1800年代イギリスなどで盛んに作られたタイプのデスクです。シャッターを下ろすように蛇腹を下ろすとそのまま机全体にカバーが掛けられるようなものです。
物書きのためのライティングデスクとして人気があったそうですが、鳥井信治郎氏はホコリ除けにこの机を使ったのではないかと空想しながら拝見しました。
夜中、香りのアイデアで目が覚めると起き出してこの机でスメリングを繰り返し、そのまま朝を迎えたといったエピソードが説明書きに綴られていました。
この行動、調香師(パフューマー)と同じです。規模も対象も商品も違いますが、香りのビジネスという点で、かすかに共通点が感じられた見学でした。
(2014-09-11)
ウイスキー工場で香りのプロに出会いました。ちょっと感動的でした(2014/09/10)
(調香台にそっくりな初代マスターブレンダーのブレンディング台)
山間の麓に拡がるサントリー白州蒸留所
サントリー白州蒸留所に行ってきました。中央線に揺られてぶらりと旅気分。甲府から先の小淵沢という駅で降りてタクシーで20分。
小淵沢駅は八ヶ岳の南麓にある駅ですが、標高900mとかなりの高さ。私がよく行く東京郊外の高尾山のてっぺんが600mですので、駅自体がちょっとした山の上にあるようなものです。
一方、サントリー蒸留所は八ヶ岳でなく向かいの甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ)の麓。小淵沢駅で乗車したタクシーは一方的に降りていくばかりで「ここは山の中の町なんだんなー」という実感を味わえました。降りきって今度はちょっと登り出すとすぐにサントリー白州蒸留所です。
ウイスキーと香水
香水とワインの共通点は、いままで何度か取り上げてきましたが、今日はウイスキーと香水の話です。
自分が日常的にウイスキーを飲まないので、ウイスキーのウンチクをしても説得力がありませんが、サントリー白州蒸留所に行って感じたことならリアルな体験談。読者の方々にもおもしろいかもと期待して書いています。
香水とウイスキーでは全然別世界なんですが「香りを楽しむ」という点で似た商品です。よい香りを創り出すためにどんな工夫がなされているのか。サントリー白州蒸留所には、運がいいことにウイスキー博物館が併設されていて、わかりやすかったですね。
インダストリアルなサントリー白州工場
博物館の話をする前に工場全体の印象ですが、とにかく巨大です。ウイスキーは10年も20年も貯蔵して商品化されるものが多いため、巨大な貯蔵施設が必要となります。
見学エリアは限られているため全容を見ることはできませんが、地図で確認すると東京ベイエリアに林立する巨大倉庫のような施設が森の中に10棟から20棟、それぞれに200kgくらいの木製ウイスキー樽が1万本から2万本程度貯蔵されていると思われます。
「大企業さんには、かなわない」
とひたすら感嘆符。この山間の森の中を大型トレーラーがひっきりなしに通るところが、なんというか「資本主義」とか「インダストリー」というコトバが脳裏をかすめます。複雑でもあります。
ウイスキーのスメリング
さてウイスキー博物館に戻ります。見学ツアーが始まるまで、ここで待機するのですが、10分くらいのビデオがリピート上映されておりました。創業者・鳥井信治郎氏がどのようにサントリーを立ち上げたかが「プロジェクトX」風に再現されていました。
多くの人が、鳥井信治郎氏の苦労と偉業に感動することでしょう。私もそうでしたが、とりわけ感動した部分はウイスキーのスメリングの方法でした。
鳥井信治郎氏のスメリングのやり方がおもしろい。ウイスキーが少量装われたグラスを片手で持ち上げて、グラスの口でそのまま鼻を完全に覆い被せるやり方です。
そして、スメリンググラスがワイングラスに似ていたことも印象的でした。
鼻で香りを確かめ、その後、口にウイスキーを含むのですが、口の中で味わう時間は比較的短かく、鼻によるスメリングの方が長い時間をかけ、そして熱心に見えました。ウイスキーも実は、根っからの香りの飲み物なんだなと実感しました。
ブレンディングと調香
ウイスキーは同じ原料でも、発酵槽や蒸留釜、樽材や貯蔵された場所や気候によって風味が変わるため、それらをブレンドして、最上かつ一定の香りを創り出す作業が必要です。
この作業がブレンドまたはブレンディングですが、ブレンディングは、ウイスキービジネスで重要部分のようです。ウイスキーのブレンディングは、調香師(パフューマー)の調香と本質的に似ていると思います。
歴代社長に踏襲されるマスターブレンダー
サントリーでは現在7名のブレンダーがおられるとのこと。創業者・鳥井信治郎氏が、サントリーの「初代マスターブレンダー」で、歴代の社長がマスターブレンダーを踏襲している事実を見ると、ブレンディングに本当に力が注がれていることを感じます。
調香台のようなブレンディング台
写真の机は、初代マスターブレンダー鳥井信治郎氏が愛用したブレンディング机。香水の世界なら、調香師(パフューマー)の調香台(オルガン)そのものです。
机の上には、ワイングラスで言えば、ややブルゴーニュタイプに近いグラスが置かれています。これがウイスキーのスメリング用専用グラスかどうか、私には知識がありませんが、通常のウイスキーグラスとの違いも大いに興味をそそられます。
また、このデスクは、ロールトップデスク(蛇腹巻上げ式机)と呼ばれ1800年代イギリスなどで盛んに作られたタイプのデスクです。シャッターを下ろすように蛇腹を下ろすとそのまま机全体にカバーが掛けられるようなものです。
物書きのためのライティングデスクとして人気があったそうですが、鳥井信治郎氏はホコリ除けにこの机を使ったのではないかと空想しながら拝見しました。
夜中、香りのアイデアで目が覚めると起き出してこの机でスメリングを繰り返し、そのまま朝を迎えたといったエピソードが説明書きに綴られていました。
この行動、調香師(パフューマー)と同じです。規模も対象も商品も違いますが、香りのビジネスという点で、かすかに共通点が感じられた見学でした。
(2014-09-11)
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