( 香水工場の )
香る生活
香料は、そんわに悪いですかね
世間の評価
世の中には、実際以上によい評価をされているものがある反面、実際より悪く言われるものも、少なくありません。
実際より悪く言われるものの一例に「香料」があります。
香料といえば食品添加物、食品添加物といえば不要なもの・悪しきもの・・・ですよね?
「無添加」マーケティングの大勝利
「無添加」マーケティングの大勝利以来、何かを添加すること自体が、悪いイメージになってしまいました。
たとえば、PET飲料のお茶や紅茶は、そのまま容器に詰めると、すぐに酸化し茶色く変色します。白濁さえします。
そのため、L-アスコルビン酸などの「酸化防止剤」を添加する必要がありますが、一般の方のイメージはどうでしょうか?
「L-アスコルビン酸って何?食品添加物?危ないんじゃないの?」
このような意見を持つ消費者も多いでしょう。
呼び方の違いだけでイメージは180度
ところが、L-アスコルビン酸は、別名 ビタミンC。
「ビタミンC が添加されている」と言うと多くの方が安心します。
が、しかし、市販ビタミンCは、レモンから採取されるのではなく、通常は化学合成されたもの、合成添加物、と説明すると「不安」と感じる人が出てくるのではないでしょうか
すっかり悪者にされて
10年前と比較すれば、下火になってきましたが、テレビなどのマスメディアでは「無香料」「無添加」という宣伝文句が派手にマーケティングされていた時代がありました。
その意図された暗示は「無香料」=「安全」、「無添加」=「安全」
その影響で香料はなんとなく「危ないもの」「悪しきもの」に成り下がってしまいました。
悲しいですね。
ガム噛んで具合が悪くなるか?
香料がその人にとって危険かどうか、おおよその見当がつく簡単なテストがあります。
市販のチューインガムで具合が悪くなるかです。チューインガムは「香料とキシリトール」を食べるための食品。
極端に言えば、ガムを噛むことは香料を食べるようなもの。しかも合成香料を食すること。
食べて異常を訴える人は多くないはずです。
「香料」でなく「フレーバー」と言い換える
「香料」ではイメージがよくないので、私たちは「フレーバー」という言葉を使います。
フレーバーは、おおよそ「合成香料」のことであり、完全に「食品添加物」。
しかし、フレーバーが使われていない加工食品は、捜す方が、むしろ大変です。
チューインガム、キャンディ、お菓子類、コーラ、ジュース、缶コーヒー、漬け物、ハム、たれ、ドレッシング、ソース、パン、冷凍食品・・・冷蔵庫の中に入っている加工食品はほぼすべて香料添加食品です。
このように私たちの生活は、香料からの大きな恩恵を受けながら、一方では悪意あるマーケティングのために香料は悪いイメージに陥れられました。
ここでもか?
さて、以前の話です。テレビショッピングの番組をプロデュースしている会社さんとの打ち合わせをしました。
昔、柄にもなくTVショッピングに、ちょっとだけ露出しておりましたので。
番組で「パルファン」「トワレ」「コロン」の違いの説明する内容でしたが、その説明の仕方を協議しました。
その違いは、実は原料のグレードに違いがある場合も希にあるのですが、通常はたんに「香料の濃度の違い」だけです。
だから「パルファンは香料○○%、トワレは香料○○%」と表にして説明するのが一般的ですが、プロデュース会社さんから「マッタ」が入りました。
「『香料』は『香り』という言葉に置き換えませんか?」
内心「ここでも香料は嫌われ者か」とややあきらめ気味。しかし、黙って意見に耳を傾けました。
化粧品メーカーなどでも製品説明では「香料」を極力避け「香り」で置き換えた文章作りをしているところが多いのです。
たとえば「フルーツの香料を添加しました」より「フルーツの香りを閉じこめました」といった感じです。
しかし、プロデュース会社さんの意見は意表をつくものでした。
「『香料』という言葉を知らない消費者も多いですから」
(2018-01-18)
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