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( 香水工場の )

香る生活


香水、トラブルが多いパーツは?
液体自体は案外長持ち、問題は容器 (2018/08/26)

スプレー
( 当社が3年前まで利用していた MWV Calmar社製のスプレー、現在は日本製を使用 )


意外にも長く持つ香水


こんにちは。国分です。今日は香水の容器の話です。

「香水はどれくらい持つの?」という質問は比較的多く寄せられる。

未開封・未使用で3年以上を想定して製造しています。

しかし、香水の中身自体は、恐ろしく長く持つものが多くて、5年や10年でも使えるものも多い(若干、フレッシュさが失われがちだが、使えるには使える)。

30年持つものもある、いや、100年でも行ける、とも。

(10年以上の話は、自分自身でテストしたわけでなく、人から聞いた話)

念のために言えば、香水には防腐剤は入れない(少なくとも当社では)、入れる必要がないから。

香水の中身が、このように長期間持つ理由は、純度100%に近いエタノールをベースとしている上に、殺菌作用も持つエッセンシャルオイルも入っているし、腐敗がほぼ発生しない点。

あとは酸化か、成分変質が考えられるが、若干オリ(不純物)の生成は、たまに見かけるものの、そう激しく起きるものではない。

香水の液体トラブルは、このようにそれほど心配いらないが、むしろ、容器から揮発する、スプレー部分が目詰まりを起こすというトラブルは比較的起きやすい。


揮発するトラブル


瓶とスプレー部分の間は、きちんと密着されているものの完璧ではない。

ヨーロッパで製造された香水がタンカーに乗せられ、マラッカ海峡を渡ってくると、揮発して液面が下がってしまうトラブルは、香水のインポート事業者なら経験も多いだろう。

これは販売前に起きるトラブルで極端な事例だが、ちゃんとした香水も分子レベルで見れば、ごくかすかに揮発し続けているもの。

普通の検査ではチェックできないレベルだが、年数が経過すれば目に見える目減りも起きうる。

あとはスプレーの目詰まり。


目詰まり問題


これも避けがたい。目詰まりは、香料中の成分が固形化しスプレー内のパイプなどに詰まるわけで、このリスクは、香料の成分に起因する。

固形化しやすい香料を使用するとこのリスクが高まるが、この固形化しやすい代表的な成分がレジノイド。

レジノイドとは樹脂成分のこと。天然香料には多く含まれる、とくに樹木性の天然香料だと避けて通れない。

当社の製品なら「白檀」などは樹脂成分が多く含まれるのでリスクが高くなる。

それで、お客さまには「長期間使用されない場合は、3ヶ月に一回程度スプレーをお願いします」と機会があれば呼びかけるようにしている。

天然香料を使わなければこのリスクは減ると思うが、そういうわけにも行かない。


香水メーカー側にチョイスはない


以前、この問題で、高いスプレーを採用すれば?と質問されたことがある。

当社は高いスプレーを採用している。

(可能な限り高いクオリティのボトルとスプレーを採用することが当社の方針)

しかし、スプレーベンダーは世界に数えるほどしかなく、それほど選択肢はない。香水のボトルも同じ。

世界の大ブランドも、当社のようなローカルブランドも、一般的なイメージに反して、案外同じメーカーの香水ボトルと香水スプレーを利用している。

なぜなら、チョイスがないから。

たしかに近年、中国やインドでは香水ボトルやスプレーの新興メーカーがかなり出てきているが、数年前に評価した範囲では、まだリスクが高いと判断し、ヨーロッパ製のボトルとスプレーを採用し続けてきた。

当社の香水ボトルは、2年前から、日本製に移行している。スプレー部分も日本製のネジ式スプレーに移行した。

ネジ式スプレーは、ヨーロッパでは需要が薄いためよい製品が少ない。

なので、日本製を採用することになるが、日本で香水スプレーを生産しているメーカーは1社しかない。

こちらも、どれを採用しようかといったチョイスは、香水メーカー側にはない。ただただ販売していただけることに感謝して、言われる価格で仕入れる。これが現実。

(あんまり書くと横槍がおっかないので、このへんで)

(2018-08-27)
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