( 香水工場の )
香る生活
お月様の話をしよう
月は、やっぱり魅力的・・ (2022/09/06)
( 日本には「お月見」という習慣がありました )
今回リリースした新スリーピングミストの商品名には月の名称を与えた。
スピリチュアルな意味を込めて命名したわけではないが、名称が持つイメージに重ねて商品開発をした。
このネーミングをあれこれ社内協議している頃、はたと「月」そのものについて自分は今まで無関心に過ごしてきたことに気づいた。
思い返してみれば、月や星について勉強した記憶は小学校や中学あたりまで。
それ以降、お月様は生活の中で日常的に見ているのに案外無関心だった。
たとえば、夜道、たまたまスーパームーンに出会ったりすると、なんとデカい月!と驚くもののそのまま立ち去る。
「お月見」の習慣があった昔の日本人からすれば、現代の私たちは風流さが乏しく見えるだろう。
現代の私たちの暦はふつう太陽暦。
地球が太陽の周りを一周することを「1年」と定め、12ヶ月や1ヶ月の日数を割り当てる。
これは私が生まれるはるか以前からの常識で、それが普通というか、それ以外のカレンダーは思い浮かばない。
ところが、明治以前の日本では太陰暦(たいいんれき)が使われていたらしい。
「太陰暦」・・ぱっとみ、字体のビジュアルが「太陽暦」とそっくりで、太陽暦に読み違えそうになる。
だから、ここでは「陰暦」と呼びたい。
太陰や陰とは月のこと。
陰暦とは、月が地球を一周回ることを「1ヶ月」と定めるカレンダー。
月は約29.5日で地球を一周するので太陽暦の1ヶ月とほぼ同じ。
しかも、月は日ごとに満ち欠けがあり、カレンダーがなくても月を見れば、その日が1ヶ月の中のいつごろかわかるという優れものである。
(案外、陰暦はいけてるではないか!)
ただ1年の長さがやや問題である。365日の太陽暦に対して陰暦の1年は354日。
11日程度短いので何年か暮らしていると実際の季節からズレてくるし、種まきなどの農作業にも影響がでる。
そこで3年に一度、1年を12ヶ月から13ヶ月にするシフトするとのこと・・(1ヶ月も増えるの!)けっこう大胆な調整である。
(この点は、やや複雑である)
しかし、陰暦のクールな点は1ヶ月の毎日にネーミングが付いていること。
真っ暗な「新月」からはじまり、「二日月」「三日月」「上弦の月」「十三夜」「十五夜、満月、望月」「十六夜」・・などと1ヶ月分30個の名称があって、そのかなりに別称がついている。
しかも、別称が複数あるものもある、そしてそれぞれが優雅なネーミングなのだ。
(ニックネームの多さは、それだけ愛されている証拠)
夜空に浮かぶ光輪や暗闇を照らす月光を見て、空想や創作活動を刺激されるアーティストが多いだろう、一般庶民の自分にもわかる。
月の光を見れば、誰だって気持ちが前向きになったり、ロマンティックになるだろう。
月見という習慣が生まれたことも共感する。
(昔の日本は貧しかったのに・・こういうところに日本の文化の高さを感じる)
世界中の神話では月の神様は多い。
ギリシア神話のアルテミス、ローマ神話のディアナとルナは月の神様として有名である。
故ダイアナ妃のお名前も月の女神ディアナから来ているのだろう。
日本にも月の神様が古事記と日本書紀に描かれている。
(自分で原書を読んだわけではない、受け売りである)
ギリシア・ローマ神話では月の神様はいずれも女性だが、日本の月神ツクヨミは男性である(と思われる)。
男性の月神は珍しいらしい。Wikipedia では「有名な神話の多くは月神を女神としている」とある。
しかし、メソポタミア神話のシンや北欧神話のマーニなど男性の月神も多少おられるようである。
ちなみにギリシア・ローマ神話の太陽神は男性だが、日本の太陽神アマテラスは女神である・・こちらも逆である。
個人的な感覚からすれば、太陽はパワフルだから、マッチョな男性の方が太陽神としてしっくりくる気がする。
しかし、「日出づる処」、つまり太陽が上る起源の地であるわが日本における太陽神が女性であることは、先進的というか、なかなかおもしろい。
アマテラスとツクヨミの関係は姉弟の関係なんだそうだ。
ちなみにギリシアの太陽神アポロンと月神アルテミスは兄妹の関係・・神話は遠くても似ているものが多い。
月には満ち欠けがある。
新月で暗闇となり、しだいに光を帯びて満月で丸く明るく輝き、そして、衰えて行き、ついに消滅する。
このリズムが生と死の輪廻転生のような世界観を感じさせる・・物語性が強烈である。
ベートーベンもドビュッシーも月の曲を作曲せずにはいられなかったのは自然な成り行きかもしれない。
「『古事記』は月読命、『日本書紀』は月夜見尊と表記する」とWikipediaにある。
読み方は「ツクヨミノミコト」。
アマテラス、スサノオとともに日本の神話の三貴神、三柱神とされる。
ツクヨミは夜を司る神様であり、「ツキ」(運)を呼ぶ神様。
また海を支配する神であり農耕の神様でもある。
「月を読む」ことから占いと預言の神様とも考えられる。
万葉集の和歌には、若返りの水をもたらす神として詠われている。
ツクヨミ神が持っているとされる「若返りの水」がどんなものか、他に資料も言い伝えもないのでよくわからない。
この歌から、万葉集の頃にはツクヨミ神の「若返りの水」は常識だった風情が感じられる。
ツクヨミ神がどんなに凄い神様か、わかってもらえたと思う。
しかし、こんなに御利益が多い神様ながら、ツクヨミ神を祭神(さいじん)として祭る神社は、他の神様と比較すると極端に少ない。
(新スリーピングミストの開発でお世話になったゆえ、お礼の気持ちを捧げたくお参りに行きたいが、ツクヨミ神様の神社はなかなか少ない)
そして資料や伝説なども、あたかも抹消されたかのごとく、ほとんどない、実にナゾに満ちた神様である。
ナゾだからこそ、惹かれる部分は大きい。
ちなみに「若返りの水」は世界中によくある伝説であるが、香水とも関係が深い。香水の原型と言われる『ハンガリアン・ウォーター』は、もともと香水ではなく「若返りの水」として開発された。老齢となり通風などの病魔に苦しんでいたハンガリーの王妃エリザベートの若返りを目指して開発された妙薬とされる。飲み薬で、ローズマリー入り。
若返ったエリザベートは、その後、20代のポーランド王子にプロポーズされたという尾ヒレまでついている。以前、この伝説をまじめに調べるために英語文献を数日かけて読んだが、伝説のバリエーションが多数あってよくわからなかった。ハンガリーの「エリザベート王妃」は実存するが、複数人おられ、どの王妃様が本伝説の人物かもよくわからなかった。
お客様コメント:
月神が男なのは
・コメント:
太陽神が女、月神が男なのは農耕民族、逆なのは狩猟民族と聞いたことがある。印欧語族の名詞の性でその傾向が強いらしい。
・・arayebis
(2022-09-06)
( 日本には「お月見」という習慣がありました )
案外知らないお月様のこと
今回リリースした新スリーピングミストの商品名には月の名称を与えた。
スピリチュアルな意味を込めて命名したわけではないが、名称が持つイメージに重ねて商品開発をした。
このネーミングをあれこれ社内協議している頃、はたと「月」そのものについて自分は今まで無関心に過ごしてきたことに気づいた。
思い返してみれば、月や星について勉強した記憶は小学校や中学あたりまで。
それ以降、お月様は生活の中で日常的に見ているのに案外無関心だった。
たとえば、夜道、たまたまスーパームーンに出会ったりすると、なんとデカい月!と驚くもののそのまま立ち去る。
「お月見」の習慣があった昔の日本人からすれば、現代の私たちは風流さが乏しく見えるだろう。
暦(こよみ)の話
現代の私たちの暦はふつう太陽暦。
地球が太陽の周りを一周することを「1年」と定め、12ヶ月や1ヶ月の日数を割り当てる。
これは私が生まれるはるか以前からの常識で、それが普通というか、それ以外のカレンダーは思い浮かばない。
ところが、明治以前の日本では太陰暦(たいいんれき)が使われていたらしい。
「太陰暦」・・ぱっとみ、字体のビジュアルが「太陽暦」とそっくりで、太陽暦に読み違えそうになる。
だから、ここでは「陰暦」と呼びたい。
太陰や陰とは月のこと。
陰暦とは、月が地球を一周回ることを「1ヶ月」と定めるカレンダー。
月は約29.5日で地球を一周するので太陽暦の1ヶ月とほぼ同じ。
しかも、月は日ごとに満ち欠けがあり、カレンダーがなくても月を見れば、その日が1ヶ月の中のいつごろかわかるという優れものである。
(案外、陰暦はいけてるではないか!)
ただ1年の長さがやや問題である。365日の太陽暦に対して陰暦の1年は354日。
11日程度短いので何年か暮らしていると実際の季節からズレてくるし、種まきなどの農作業にも影響がでる。
そこで3年に一度、1年を12ヶ月から13ヶ月にするシフトするとのこと・・(1ヶ月も増えるの!)けっこう大胆な調整である。
(この点は、やや複雑である)
しかし、陰暦のクールな点は1ヶ月の毎日にネーミングが付いていること。
真っ暗な「新月」からはじまり、「二日月」「三日月」「上弦の月」「十三夜」「十五夜、満月、望月」「十六夜」・・などと1ヶ月分30個の名称があって、そのかなりに別称がついている。
しかも、別称が複数あるものもある、そしてそれぞれが優雅なネーミングなのだ。
(ニックネームの多さは、それだけ愛されている証拠)
月と神話
夜空に浮かぶ光輪や暗闇を照らす月光を見て、空想や創作活動を刺激されるアーティストが多いだろう、一般庶民の自分にもわかる。
月の光を見れば、誰だって気持ちが前向きになったり、ロマンティックになるだろう。
月見という習慣が生まれたことも共感する。
(昔の日本は貧しかったのに・・こういうところに日本の文化の高さを感じる)
世界中の神話では月の神様は多い。
ギリシア神話のアルテミス、ローマ神話のディアナとルナは月の神様として有名である。
故ダイアナ妃のお名前も月の女神ディアナから来ているのだろう。
日本にも月の神様が古事記と日本書紀に描かれている。
(自分で原書を読んだわけではない、受け売りである)
ギリシア・ローマ神話では月の神様はいずれも女性だが、日本の月神ツクヨミは男性である(と思われる)。
男性の月神は珍しいらしい。Wikipedia では「有名な神話の多くは月神を女神としている」とある。
しかし、メソポタミア神話のシンや北欧神話のマーニなど男性の月神も多少おられるようである。
ちなみにギリシア・ローマ神話の太陽神は男性だが、日本の太陽神アマテラスは女神である・・こちらも逆である。
個人的な感覚からすれば、太陽はパワフルだから、マッチョな男性の方が太陽神としてしっくりくる気がする。
しかし、「日出づる処」、つまり太陽が上る起源の地であるわが日本における太陽神が女性であることは、先進的というか、なかなかおもしろい。
アマテラスとツクヨミの関係は姉弟の関係なんだそうだ。
ちなみにギリシアの太陽神アポロンと月神アルテミスは兄妹の関係・・神話は遠くても似ているものが多い。
月には満ち欠けがある。
新月で暗闇となり、しだいに光を帯びて満月で丸く明るく輝き、そして、衰えて行き、ついに消滅する。
このリズムが生と死の輪廻転生のような世界観を感じさせる・・物語性が強烈である。
ベートーベンもドビュッシーも月の曲を作曲せずにはいられなかったのは自然な成り行きかもしれない。
日本の月の神様・・ツクヨミ神
「『古事記』は月読命、『日本書紀』は月夜見尊と表記する」とWikipediaにある。
読み方は「ツクヨミノミコト」。
アマテラス、スサノオとともに日本の神話の三貴神、三柱神とされる。
ツクヨミは夜を司る神様であり、「ツキ」(運)を呼ぶ神様。
また海を支配する神であり農耕の神様でもある。
「月を読む」ことから占いと預言の神様とも考えられる。
万葉集の和歌には、若返りの水をもたらす神として詠われている。
月読(つくよみ)の 持てる変若水(をちみず)
い取り来て君に奉(まつ)りて 変若(をち)しめむはも
ツクヨミ神がお持ちの若返りの水を取って来て、あなたに差し上げて若返らせたい
ツクヨミ神が持っているとされる「若返りの水」がどんなものか、他に資料も言い伝えもないのでよくわからない。
この歌から、万葉集の頃にはツクヨミ神の「若返りの水」は常識だった風情が感じられる。
ツクヨミ神がどんなに凄い神様か、わかってもらえたと思う。
しかし、こんなに御利益が多い神様ながら、ツクヨミ神を祭神(さいじん)として祭る神社は、他の神様と比較すると極端に少ない。
(新スリーピングミストの開発でお世話になったゆえ、お礼の気持ちを捧げたくお参りに行きたいが、ツクヨミ神様の神社はなかなか少ない)
そして資料や伝説なども、あたかも抹消されたかのごとく、ほとんどない、実にナゾに満ちた神様である。
ナゾだからこそ、惹かれる部分は大きい。
ちなみに「若返りの水」は世界中によくある伝説であるが、香水とも関係が深い。香水の原型と言われる『ハンガリアン・ウォーター』は、もともと香水ではなく「若返りの水」として開発された。老齢となり通風などの病魔に苦しんでいたハンガリーの王妃エリザベートの若返りを目指して開発された妙薬とされる。飲み薬で、ローズマリー入り。
若返ったエリザベートは、その後、20代のポーランド王子にプロポーズされたという尾ヒレまでついている。以前、この伝説をまじめに調べるために英語文献を数日かけて読んだが、伝説のバリエーションが多数あってよくわからなかった。ハンガリーの「エリザベート王妃」は実存するが、複数人おられ、どの王妃様が本伝説の人物かもよくわからなかった。
お客様コメント:
月神が男なのは
・コメント:
太陽神が女、月神が男なのは農耕民族、逆なのは狩猟民族と聞いたことがある。印欧語族の名詞の性でその傾向が強いらしい。
・・arayebis
(2022-09-06)
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