( 香水工場の )
香る生活
香水瓶のリサイクル
・・ (2022/10/26)
( 技術的にはリサイクルしやすいガラス )
先日こんなご意見いただきました。
まったくですね。
一回の使用できれいなボトルが廃棄される事態は、当社としても心苦しいの一言です。
よい機会なので、当社がどのように考え、どんなことをしているか今日はお話します。
リユースは「再利用」の意味。
(この記事では「リサイクル」はつぶして原料として再生すること、「リユース」はそのまま再利用する意味「リターナブル」の意味で使用している)
ビール瓶はリユースの成功事例としてよく知られているが、香水瓶のリユースは行われているか?・・残念ながら、それを行っているブランドさんはかなりの少数派。
(たぶん、実施されているブランドさんもどこかにあると思うが、私が知る範囲では皆無)
もしリユースをやるとしたら、回収はお客様による個別返却システムを採用することになる。
送料など回収コストおよびお客様の返却の手間が、第一のハードルとなる。
さらに回収のためのエネルギー消費、二酸化炭素排出、洗浄に伴う環境負荷があり「そのエコ、本当にエコ?」という指摘を受けそうだ。
そして、香水にはリユースに向かない決定的事情も大きい・・ボトル内に匂いが残る点である。
当社も香水瓶のリユースは現状では可能性は低いと判断している。
瓶をそのまま再利用するのではなく、瓶を粉砕しガラス原料として再利用する方法。
プラスティックはリサイクルすることで品質劣化が伴うが、その点、ガラス瓶はリサイクルしやすい。
ガラスは溶かせば、もとの石英にもどり、ある程度同じ品質のガラス原料として使える。
しかもガラスの原料である珪砂(けいしゃ)から作るより、廃ガラスを溶かす方がむしろ熱効率がよいとも言われる。
(ただし、無限に何度もリサイクルできるわけではないらしい)
このように香水瓶のリサイクルは技術的には可能。
当社が自社の香水瓶を回収し工場に回す場合、流通規模が小規模すぎて瓶工場が受け入れてくれない。
また個別回収はエネルギー効率からすれば環境コストが高く、本当にそれがエコになるのかは疑問が多い。
しかし、多くのガラス瓶メーカーさんは、自治体が大量に回収する様々な種類のガラス瓶を受け入れガラス原料として再利用している。
食品瓶はかなりリサイクルされるが、食品以外では薬品とくに劇薬瓶などリサイクルされないものもあるものの社会全体としてガラス瓶はリサイクル循環がある程度形成されている。
よって、香水瓶はお使いいただいた後、適切に分別して自治体のゴミ回収サービスで廃棄いただくことが、現状、現実的なリサイクル方法と考えられる。
(一般的ガラス瓶の出し方:キャップ・フタは取る、中身は捨てて可能ならさっと水洗い・・などです)
香水瓶のリサイクルとは別に、香水瓶の使用そのものを削減するアイデア。
当社では詰替え方式の香水販売を模索し2016年に実験的にテスト販売を行った。
プランでは、スプレー部分(金属)とボトル(ガラス)、中身(香水)を完全にバラバラにして個別販売したら、ボトルだけでなくスプレーの使用量も削減できる。
スプレーの代わりにリフィルボトル専用のアルミキャップを製造した。
( 2016年、スプレーを繰り返し使えるようにしたリフィル用の香水瓶 )
瓶メーカーさんと折半での金型を制作し、香水専用アルミキャップを製造しリフィルボトルを販売した。
ロードマップでは2段階のプランを描いていた。
第1段階でリフィルボトルで詰替方式の問題点や需要を探り、第2段階目でアルミパウチによる香水販売もありうるかも?と考えていたが・・
半年くらい販売してみたが、お客様からのレスポンスは特になかった。
否定する人はいなかったが、喜ばれている印象もなかった。
リフィル = 詰替え式は、環境的には意味がある行為ではあるが、いかんせん当社のビジネス規模が小さすぎて、やってもやらなくても社会的にはまったく意味がない誤差程度のエコ活動だった。
(これをムダな自己満足ととらえるか、中小企業の心意気ととらえるか、お客様の印象はいろいろ)
むしろ、意味がない "グリーンカンパニー気取り" と嫌悪されたかもしれない。
次の2点ではないかと考察しています・・
( 香水の詰替はこぼしやすい・・フェルメール『牛乳を注ぐ女』のパロディ、『香水を注ぐ女』 )
(1) 中身の詰替作業は、頭で考えるより手間である、とくに液体はこぼしやすい
(2) 香水は比較的長く使用されるので中身の詰替需要が薄い
当社のお客様の場合、早い人なら1本のフルボトルを1ヶ月程度で消費するが、1年や2年かけて使う方もおられる。
数種類の香水をもっていると、その日の気分や季節などで使い分けたり、使わなかったり・・という使い方になるもの。
香水は長い時間の中でゆっくり味わいながら消費されていく傾向がある。
そういうゆるやかな使い方ではリフィルや詰替に対して、そもそも需要がないのではないか?
毎日繰り返し使う洗剤や毎日の食卓に欠かせないお醤油なら、しっかりした容器を毎回捨てることにムダ意識も生まれるが、香水をリフィルにしてほしいという需要は少ないように感じた。
2016年のトライアルは失敗したが、潮目が変化すれば、何かやれることはやりたい。
(2022-10-26)
( 技術的にはリサイクルしやすいガラス )
お客様から投書
先日こんなご意見いただきました。
ずっと愛用しているなかで疑問に思ったので質問させていただきたいのですが、使用済みボトルの回収とかボトルの再利用は今後展開する予定はございますでしょうか。
毎回利用したボトルを綺麗なままゴミに出してしまうのはもったいないと思っていていつつも、自分で再利用するには用途がなく・・
まったくですね。
一回の使用できれいなボトルが廃棄される事態は、当社としても心苦しいの一言です。
よい機会なので、当社がどのように考え、どんなことをしているか今日はお話します。
リユースに向かない香水瓶
リユースは「再利用」の意味。
(この記事では「リサイクル」はつぶして原料として再生すること、「リユース」はそのまま再利用する意味「リターナブル」の意味で使用している)
ビール瓶はリユースの成功事例としてよく知られているが、香水瓶のリユースは行われているか?・・残念ながら、それを行っているブランドさんはかなりの少数派。
(たぶん、実施されているブランドさんもどこかにあると思うが、私が知る範囲では皆無)
もしリユースをやるとしたら、回収はお客様による個別返却システムを採用することになる。
送料など回収コストおよびお客様の返却の手間が、第一のハードルとなる。
さらに回収のためのエネルギー消費、二酸化炭素排出、洗浄に伴う環境負荷があり「そのエコ、本当にエコ?」という指摘を受けそうだ。
そして、香水にはリユースに向かない決定的事情も大きい・・ボトル内に匂いが残る点である。
当社も香水瓶のリユースは現状では可能性は低いと判断している。
香水瓶のリサイクル
瓶をそのまま再利用するのではなく、瓶を粉砕しガラス原料として再利用する方法。
プラスティックはリサイクルすることで品質劣化が伴うが、その点、ガラス瓶はリサイクルしやすい。
ガラスは溶かせば、もとの石英にもどり、ある程度同じ品質のガラス原料として使える。
しかもガラスの原料である珪砂(けいしゃ)から作るより、廃ガラスを溶かす方がむしろ熱効率がよいとも言われる。
(ただし、無限に何度もリサイクルできるわけではないらしい)
このように香水瓶のリサイクルは技術的には可能。
当社が自社の香水瓶を回収し工場に回す場合、流通規模が小規模すぎて瓶工場が受け入れてくれない。
また個別回収はエネルギー効率からすれば環境コストが高く、本当にそれがエコになるのかは疑問が多い。
しかし、多くのガラス瓶メーカーさんは、自治体が大量に回収する様々な種類のガラス瓶を受け入れガラス原料として再利用している。
食品瓶はかなりリサイクルされるが、食品以外では薬品とくに劇薬瓶などリサイクルされないものもあるものの社会全体としてガラス瓶はリサイクル循環がある程度形成されている。
よって、香水瓶はお使いいただいた後、適切に分別して自治体のゴミ回収サービスで廃棄いただくことが、現状、現実的なリサイクル方法と考えられる。
(一般的ガラス瓶の出し方:キャップ・フタは取る、中身は捨てて可能ならさっと水洗い・・などです)
詰替え方式のトライアル
香水瓶のリサイクルとは別に、香水瓶の使用そのものを削減するアイデア。
当社では詰替え方式の香水販売を模索し2016年に実験的にテスト販売を行った。
プランでは、スプレー部分(金属)とボトル(ガラス)、中身(香水)を完全にバラバラにして個別販売したら、ボトルだけでなくスプレーの使用量も削減できる。
スプレーの代わりにリフィルボトル専用のアルミキャップを製造した。
( 2016年、スプレーを繰り返し使えるようにしたリフィル用の香水瓶 )
瓶メーカーさんと折半での金型を制作し、香水専用アルミキャップを製造しリフィルボトルを販売した。
ロードマップでは2段階のプランを描いていた。
第1段階でリフィルボトルで詰替方式の問題点や需要を探り、第2段階目でアルミパウチによる香水販売もありうるかも?と考えていたが・・
人気がなかった詰替え式
半年くらい販売してみたが、お客様からのレスポンスは特になかった。
否定する人はいなかったが、喜ばれている印象もなかった。
リフィル = 詰替え式は、環境的には意味がある行為ではあるが、いかんせん当社のビジネス規模が小さすぎて、やってもやらなくても社会的にはまったく意味がない誤差程度のエコ活動だった。
(これをムダな自己満足ととらえるか、中小企業の心意気ととらえるか、お客様の印象はいろいろ)
むしろ、意味がない "グリーンカンパニー気取り" と嫌悪されたかもしれない。
不人気だった理由
次の2点ではないかと考察しています・・
( 香水の詰替はこぼしやすい・・フェルメール『牛乳を注ぐ女』のパロディ、『香水を注ぐ女』 )
(1) 中身の詰替作業は、頭で考えるより手間である、とくに液体はこぼしやすい
(2) 香水は比較的長く使用されるので中身の詰替需要が薄い
当社のお客様の場合、早い人なら1本のフルボトルを1ヶ月程度で消費するが、1年や2年かけて使う方もおられる。
数種類の香水をもっていると、その日の気分や季節などで使い分けたり、使わなかったり・・という使い方になるもの。
香水は長い時間の中でゆっくり味わいながら消費されていく傾向がある。
そういうゆるやかな使い方ではリフィルや詰替に対して、そもそも需要がないのではないか?
毎日繰り返し使う洗剤や毎日の食卓に欠かせないお醤油なら、しっかりした容器を毎回捨てることにムダ意識も生まれるが、香水をリフィルにしてほしいという需要は少ないように感じた。
2016年のトライアルは失敗したが、潮目が変化すれば、何かやれることはやりたい。
(2022-10-26)
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