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( 香水工場の )

香る生活


この香りは「嫌い」と「悪い」ではへこみ具合が違う
かなり前にクチコミサイトのアットコスメのお話をしました。

「人の噂に戸口は立てられない」のが口コミが本来の姿ですから書き込まれた内容は、そのまま、あるがままでいいのです。

しかし、競合会社や団体・個人からある意図をもって書かれたり、あるいは政治的な攻撃を受けることもあります。

(逆に意図的なヨイショや第三者を装う自作自演も当然起こります)

当社はまだそんな攻撃にさらされていませんが、「この香りは悪い」という意見には多少困惑します。

実際にこの表現が使われたわけではありません。要は"好き嫌い"の問題にもかかわらず、普遍的事実であるかのような、たとえば腐敗臭やアンモニアのように誰にとっても避けたい匂いのような印象を与えかねない言い方には、パフューマーはへこむでしょう。

もし言い方が「この香りは嫌い」となっていれば事実として受け入れやすい。

スキンケアのように機能性が評価される商品では、たとえば浸透性やさっぱり感などは比較的多くの人にとって再現性がありますが、香りの嗜好性は人によって多様です。

一般的に食べ物系は多くの人にとって「好ましい香り」で、腐敗系・排泄系は多くの人にとって「好ましくない匂い」です。

それは生命の安全に関わることなので進化の過程で身につけた嗜好と考えられますが、その他の多彩な香りについては先天的にも後天的にもバラバラの"好き嫌い"があるもの。

仮にフローラル・フォーシーズンズが大ヒットし、日本全国津々浦々すべての人にとって「これは凄い、いい香り」と言われる日が来るとしたら、それはうれしいけど、人の自然な姿とは到底言い難い。

全ての人に愛される香水なんてむしろ不自然です。

もしあるとしたら、それはどちらかというと一時的で文化的な社会現象である可能性が高い。たとえばスーパースター御用達のような...

実際世界のフレグランスや香水トレンドを見れば、フレグランス文化が成熟するほど香りの嗜好は多様化します。

それは文化の成熟に伴う価値観の多様化と似ています。

たとえば雑誌。戦前、書店に並ぶ雑誌は数えるほどしかなかったそうです。

しかし、戦後そして現在へと移行するにしたがってその種類を増やし今日ではほぼ無数といってよいほどの種類やテーマの雑誌が発行されている現象と同じですよね。


(2006-05-26)
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