( 香水工場の )
香る生活
東京・浅間山のヤマユリ
東京の人は土を見たことがない?
田舎育ちの私は小学生の頃、先生に東京は人口が多すぎてゴミ問題・下水問題・住宅問題など山積しており「とにかく爆発しそうな所」と聞かされていました。
「学校のグランドはすべてコンクリートで本物の土を見ることはない」とも言われました。
ウソでしたね。たとえば、東京の一翼である武蔵野にはまだまだ自然が残ります。
ふしぎな浅間山
会社近くに浅間山(せんげんやま = 府中市)と呼ばれる不思議な山があります。周囲が完全に平地なのに、突如思い出したかのように隆起した山です。
浅間山は人の手があまり入っていない雑木林です。地元にとってこの山はヤマユリが自生することで知る人ぞ知る、手軽なピクニックスポットです。
ヤマユリの香りが漂う山
ヤマユリの咲き方は群生とまでは行きませんが、ササや雑草の中にポツポツと巨大な花をもたげてたたずんでいます。
あまりにも花が大きく重いため雨の日には地面にまで頭を垂らしています。
ヤマユリは探す必要はありません。山肌を被うように芳香を充満させ多くの人が遠くから「近くにユリが咲いている」と感じることでしょう。
ユリ大国
ユリ大国、日本は世界中でもっともユリの品種が多彩な国ですが、その中でも特に存在感があり人々に愛されるユリがこのヤマユリかもしれません。
赤い斑点やオレンジ色の花粉、派手な色使いや模様は熱帯雨林の花風情ですが日本の百合を代表する日本原産の百合です。
純白でむせ返るような甘い芳香のカサブランカと非常に似た香りながら、さらにマイルドな印象を与えます。
ユリから香料は採取できない
ヤマユリだけでなく、ユリは一般に精油が採れません。
もしユリの香りの再現を試みるとしたら、他の植物の精油とその他の香料を混ぜ合わせて再現します。ユリの香りを再現することはできるのでしょうか?
世界中の多くのパフューマーが挑戦していますが、仮にユリの精油を使用しても・しなくても、いずれにしても生花に勝る香りの制作は、不可能と思います。かすかに近づくだけですね。
東京都府中市浅間山(せんげんやま)にて。
連日の雨でぬかる山道にもかかわらずジョギングしている人も。山の裏手には広大な多磨霊園、その奥には野川、武蔵野公園、野川公園、アメリカンスクール、武蔵野の森公園、神代植物公園と林が続く。東京と思えない豊かな自然が残ります・・・蚊も多いです。
(2006-07-23)
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