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( 香水工場の )

香る生活


香水ビジネス5、原点回帰する香水

ヒット商品が必ずたどる道、"派生商品"


人気商品には消費者の需要に合わせて派生商品が生まれます。香水も同じです。

仮に当社に「ユニバース」という香水があったとします。運良く消費者の支持を得て売上げを伸ばすと、企画担当の私としては派生バージョンも売れるんではないかと期待が膨らみます。

その結果「ユニバース ライト」、「ユニバース サマー」、「ユニバース フォーメン」、なんてラインアップはありえないことではありません。

ついでに「ユニバース スペシャルコフレ」や「ユニバース バレンタインセット」、どうかすると「ユニバース ゴルフセット」というのもいいかも。

映画風に「ユニバース2」というようなシリーズ化もやってやれないことはない。

香水も他の製品同様、消費者の嗜好の多様化を受けて次々と派生商品がリリースされます。


自分の首を絞めるリスク


私たち消費者からすれば飽きないし、自分のテイストに本当に合うものが出てくる可能性が高くなります。

チョイスの幅も広がって歓迎されるのですが、派生バージョンは多彩な製品を楽しめる反面、多すぎれば開発サイドでは一つの製品へのリソースや情熱の投入濃度が薄くなるというリスクもつきものです。

密かに進行する病に似ています。


アイデンティティを失った近年の香水


過去5年間、香水市場では新商品が多く生まれその派生バージョンも多様化しました。

また、香りの性質も、ヨーロッパ伝統型(どちらかというと濃厚でセクシーでロマンチックな香り)から、日本や新興アジア諸国、ロシア、インド、ブラジルとかなり広範囲に嗜好が変化する世界市場に合わせて多様化の一途をたどってきました。

このような状況が世界の香水産業のここ数年の香水トレンドだったという印象があります。

商品ラインアップの煩雑ぶりと香りの多様化・・・ヨーロッパのブランド香水は、自分たちのコアな部分、香水に対するポリシーやコンセプトを見失いかけているようです、とヨーロッパの業界ウオッチャーは指摘します。

限定商品が乱発され、並行輸入の横行もブランドイメージを傷つけています。


原点回帰がはじまっている


ブランドさんたちのクラッシック回帰がはじまっています。

商品の絞り込みと香りの原点(香りに託すブランド・メッセージ)を見つめ直し、荒れたマーケットを立て直す動きが、どのような製品と流通形態となって市場にでてくるかまだ具体的には見えてきません。

しかし、既存のメジャーブランドは高価格帯に移行し、その空いた中価格帯をヨーロッパ発、新興香水ブランドが埋めてくる予感があります。

ブランド香水が家電量販店やディスカウントショップで販売される光景は、近い将来なくなると予測しています。




(2006-09-28)
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