( 香水工場の )
香る生活
ロレアルのTsunami
「津波」は現在では世界用語。ここではTsunamiと書かせていただきました。
ビッグな経済ニュースが飛び込んできました。世界最大の化粧品会社ロレアルが「イブ・サン・ローラン・ボーテ」を買収するそうです。まあ、最近のM&Aは巨大化する一方なので「中国、アメリカを買収」くらいまで行かないと驚かなくなりそうですが、しかし、やはり化粧品業界にとっては大きなニュースです。
ちなみに「イブ・サン・ローラン・ボーテ」はイブ・サン・ローラン本体ではなく、YSLの化粧品部門(Beaute Cosmetics Division)です。「ボーテ」はフランス語で、英語の「ビューティ」にあたるコトバです。「イブ・サン・ローラン・ボーテ」の現所有者はYSLではなくPPRです。
PPRとは、フランスの百貨店プランタンなどを展開するフランス流通大手です。銀座の百貨店「プランタン銀座」はダイエーがはじめて百貨店事業に乗り出した際、フランス・プランタンと提携しプランタン名称を使用したことで日本では大変有名になりました。
ダイエーと言えば戦後流通業界の風雲児・中内功氏が一代で立ち上げた伝説の大スーパーですが、PPRもフランソワ・ピノー(Francois Pinault)氏が一代で立ち上げた伝説の流通総合大企業で、数年前まで「ピノー・プランタン・ルドゥート」という会社名でした。プランタンを売却したため社名変更したのではないかと思われます(プランタンはすでに売却されていいます)。
このPPRは、流通大手でありながらブランド買収にことのほか熱心で、イタリア・グッチの買収では、LVMHと手汗握る泥沼の闘いを演じヨーロッパのみならず世界を湧かせる大買収合戦として歴史に刻まれました。ちょっとサスペンス劇場のようでしたよ。
PPRは、現在はLVMHと同じくブランドの持株会社としてのイメージが強く「流通大手」や「小売り大手」という表現は適切でないかもしれません。
世界のラグジュアリーブランド大手と言えば仏LVMH、スイス・リシュモン、仏PPRという感じになっています。だいたいの有名なラグジュアリーブランドはこの3グループのどれかの傘下にあります。
たとえば、香水のラグジュアリーブランドで、独立系のブランドはシャネルくらいになりました。ちょっと寂しいですね。
さて、PPRから本題に戻ります。
ロレアルの買収攻勢は、日本ではシュウ・ウエムラの買収で有名になりましたが、2006年英ザ・ボディショップも買い取ってしまいました(驚きました。企業ポリシーがポリシーなだけに)。
ロレアル傘下のブランドを少し見てみましょう。アルマーニ、ビオテルム、ヘレナ・ルビンシュタイン、ラルフ・ローレン、ランコム、メイベリン・ニューヨーク、ラ・ロッシュ・ポゼ・・・アメリカだろうと、ヨーロッパだろうとドンドン飲み込む感じです。
そして、ロレアルは日本・アジアの化粧品会社の買収にも並々ならぬ闘志を燃やしているらしいというウワサが。逆に買収されたいと望んでいる日本の化粧品会社さんなんかもあったりして?
しかし、ロレアルの買収を見てみると、総合ブランドではなくかなり専門的なブランドをすでに確立していることが前提条件のようにも見えます。自分でブランドを構築する手間暇が、かの世界最大の企業でさえ困難な時代であることを象徴しているようにも感じられます。
そんな時代なんですね。
-------Translation"E--------
L'Oreal Makes Offer for PPR's YSL Beaute(Wednesday January 23, AP)
ロレアル、PPRとYSLボーテ買収交渉
ロレアルSAは、PPRとYSLボーテ買収に関して1800億円の提示をしたことを発表しました。契約にはイブ・サン・ローラン及びブシュロンの香水と化粧品の長期に渡るライセンシングが含まれます(ブランド所有権はPPRに残ります)。また、ステラ・マッカートニーなどのブランドの権限がロレアルに委譲されます。ロジェ・ガレも同様に委譲されます。
世界的な景気低迷の影響で収益悪化が懸念されるPPRの株価が下がっている中でこの発表は行われました。
L'Oreal Makes Offer for PPR's YSL Beaute Cosmetics Division
PARIS (AP) -- L'Oreal SA said Wednesday it has entered into talks to buy French retail and luxury firm PPR SA's YSL Beaute cosmetics division for 1.15 billion euros ($1.68 billion.)
The deal would include a long-term license agreement for the fragrance and cosmetics brands Yves Saint Laurent and Boucheron, which will remain the property of PPR, L'Oreal said in a statement.
Licenses for Stella McCartney, Oscar de la Renta and Ermenegildo Zegna fragrance and cosmetics brands will be transferred to L'Oreal under the deal.
Roger&Gallet, part of the YSL Beaute division, will also be sold to L'Oreal under the terms of the deal.
The announcement comes at a time when PPR shares have been hurt by a series of target price downgrades by analysts amid concerns that a deterioration in the global macroeconomic situation will translate into lower revenue across the company's activities, from high-end luxury goods to mass-market Puma-brand sneakers.
---------------END--------------
(2008-02-01)
ビッグな経済ニュースが飛び込んできました。世界最大の化粧品会社ロレアルが「イブ・サン・ローラン・ボーテ」を買収するそうです。まあ、最近のM&Aは巨大化する一方なので「中国、アメリカを買収」くらいまで行かないと驚かなくなりそうですが、しかし、やはり化粧品業界にとっては大きなニュースです。
ちなみに「イブ・サン・ローラン・ボーテ」はイブ・サン・ローラン本体ではなく、YSLの化粧品部門(Beaute Cosmetics Division)です。「ボーテ」はフランス語で、英語の「ビューティ」にあたるコトバです。「イブ・サン・ローラン・ボーテ」の現所有者はYSLではなくPPRです。
PPRとは、フランスの百貨店プランタンなどを展開するフランス流通大手です。銀座の百貨店「プランタン銀座」はダイエーがはじめて百貨店事業に乗り出した際、フランス・プランタンと提携しプランタン名称を使用したことで日本では大変有名になりました。
ダイエーと言えば戦後流通業界の風雲児・中内功氏が一代で立ち上げた伝説の大スーパーですが、PPRもフランソワ・ピノー(Francois Pinault)氏が一代で立ち上げた伝説の流通総合大企業で、数年前まで「ピノー・プランタン・ルドゥート」という会社名でした。プランタンを売却したため社名変更したのではないかと思われます(プランタンはすでに売却されていいます)。
このPPRは、流通大手でありながらブランド買収にことのほか熱心で、イタリア・グッチの買収では、LVMHと手汗握る泥沼の闘いを演じヨーロッパのみならず世界を湧かせる大買収合戦として歴史に刻まれました。ちょっとサスペンス劇場のようでしたよ。
PPRは、現在はLVMHと同じくブランドの持株会社としてのイメージが強く「流通大手」や「小売り大手」という表現は適切でないかもしれません。
世界のラグジュアリーブランド大手と言えば仏LVMH、スイス・リシュモン、仏PPRという感じになっています。だいたいの有名なラグジュアリーブランドはこの3グループのどれかの傘下にあります。
たとえば、香水のラグジュアリーブランドで、独立系のブランドはシャネルくらいになりました。ちょっと寂しいですね。
さて、PPRから本題に戻ります。
ロレアルの買収攻勢は、日本ではシュウ・ウエムラの買収で有名になりましたが、2006年英ザ・ボディショップも買い取ってしまいました(驚きました。企業ポリシーがポリシーなだけに)。
ロレアル傘下のブランドを少し見てみましょう。アルマーニ、ビオテルム、ヘレナ・ルビンシュタイン、ラルフ・ローレン、ランコム、メイベリン・ニューヨーク、ラ・ロッシュ・ポゼ・・・アメリカだろうと、ヨーロッパだろうとドンドン飲み込む感じです。
そして、ロレアルは日本・アジアの化粧品会社の買収にも並々ならぬ闘志を燃やしているらしいというウワサが。逆に買収されたいと望んでいる日本の化粧品会社さんなんかもあったりして?
しかし、ロレアルの買収を見てみると、総合ブランドではなくかなり専門的なブランドをすでに確立していることが前提条件のようにも見えます。自分でブランドを構築する手間暇が、かの世界最大の企業でさえ困難な時代であることを象徴しているようにも感じられます。
そんな時代なんですね。
-------Translation"E--------
L'Oreal Makes Offer for PPR's YSL Beaute(Wednesday January 23, AP)
ロレアル、PPRとYSLボーテ買収交渉
ロレアルSAは、PPRとYSLボーテ買収に関して1800億円の提示をしたことを発表しました。契約にはイブ・サン・ローラン及びブシュロンの香水と化粧品の長期に渡るライセンシングが含まれます(ブランド所有権はPPRに残ります)。また、ステラ・マッカートニーなどのブランドの権限がロレアルに委譲されます。ロジェ・ガレも同様に委譲されます。
世界的な景気低迷の影響で収益悪化が懸念されるPPRの株価が下がっている中でこの発表は行われました。
L'Oreal Makes Offer for PPR's YSL Beaute Cosmetics Division
PARIS (AP) -- L'Oreal SA said Wednesday it has entered into talks to buy French retail and luxury firm PPR SA's YSL Beaute cosmetics division for 1.15 billion euros ($1.68 billion.)
The deal would include a long-term license agreement for the fragrance and cosmetics brands Yves Saint Laurent and Boucheron, which will remain the property of PPR, L'Oreal said in a statement.
Licenses for Stella McCartney, Oscar de la Renta and Ermenegildo Zegna fragrance and cosmetics brands will be transferred to L'Oreal under the deal.
Roger&Gallet, part of the YSL Beaute division, will also be sold to L'Oreal under the terms of the deal.
The announcement comes at a time when PPR shares have been hurt by a series of target price downgrades by analysts amid concerns that a deterioration in the global macroeconomic situation will translate into lower revenue across the company's activities, from high-end luxury goods to mass-market Puma-brand sneakers.
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(2008-02-01)
< 真夜中に鳴る電話、人々の24時間化 || 花の香り便り >
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