( 香水工場の )
香る生活
一子相伝のイメージがあるパフューマー業、ホント?
取引先の担当者と話をしているとき、彼女は香水とは無縁のお仕事をされているのですが、昔から鼻がよく効く方で「調香師になったら?」とよく周囲から言われたそうです。
「国分さん、調香師の学校ってあるんですか?そこに行けば調香師になれるんですかね?」
なんて冗談半分に聞かれました。冗談半分どころか、完全に世間話でしたが、私の乏しい知識を披露しました。
「ありますヨ。しかし、職業としてのパフューマーには受け入れ口が乏しいのが実状で、パフューマーになるのは大変なようですヨ・・・」
「調香師」にはパフューマーとフレーバーリストが含まれます。パフューマーとは香料を調合しフレグランスや香水などを制作するクリエイターで、フレーバーリストとは同じく香料を調合しますが、制作するのは食品です。
パフューマーとフレーバーリストでは求められる技術もスキルもかなり似ていますし、似た原料(香料)を使用します。そこで日本ではどちらも「調香師」というネーミングで一緒くたにしますが、海外ではパフューマーとフレーバーリストは明確に分けられた職業です。
調香師には国家資格などありませんので自称「調香師」でかまわないと思います。世界的にも公的な資格があるという話を聞いたことがありません。フランスには「nez」(ネ)という称号がありますすが、誰が誰に対して発行するものなのか、公的称号なのか勝手称号なのかも私には不明です。
思うに調香師さん全体を差す集合名詞のような気もします。向こうのパフューマーさんと話す機会があるとき聞いてみようと思いつつ、まだ実現していません。
フランス人にとってパフューマーはちょっとクールな職業に見えるらしく、パフューマー志望の方は少なくないそうです。しかし、現実は香水の国フランスでもパフューマーになれる人は少ないのが実状です。
それこそ世界的に著名なパフューマーになれば、エルメスやゲランといった超ブランドさんのクリエイターとして活躍できますが、パフューマーの就職口は通常ジボダンやシムライズといった香料会社さんです。
しかし、そこで求められる仕事の多くはクリエーションよりも「作業」的なものが多いわけで(どんな職業でも同じですよね。私の仕事もこんな感じです。嫌いでないです、ハイ)、スピンアウトして独立してやって行かれる方も多いのです。それが近年の新興香水ブランドの勃興の一因になっていることは何度かお伝えしてきたとおりです。
先月ご紹介したMalle氏も世界的な香料会社大手ジボダンから独立された方ですが、Malle氏のような成功は、おそらくかなりの少数派と推測されます。
香料会社に就職してパフューマーになる場合、世界の香料会社は、現在M&Aの嵐真っ只中で、合併・吸収するたびにパフューマーの部署にも余剰人員がでてしまうという状態です。パフューマーの新規採用は厳しいものがあります。
日本は、これまた特別な国で、世界的な香料会社さんが存在しますが、市場にはフレグランス需要が極端に少なく、調香師の学校を卒業しても香水やフレグランスの受け入れ口は乏しく、フレーバー(食品味付け)の分野に進む人が多いと聞きます。
たまに日本の香料会社さんにパフューマーが所属していると案外海外の方だったりして、日本人パフューマーを起用するってのはどうよ?とお聞きしてみたいところです。
要は海外でも日本でもパフューマーは受け入れ口はかなり狭いという状況です。そのためパフューマーは世襲制のような部分があります。現在でもグラース出身のパフューマー多いのはそのためでないかと思われます。グラースとは、フランス南部の小さな街です。なめし革の手袋産業から発展して香水の一大都市としての歴史があり「香水の都」と呼ばれることもあります。
昔は、作り出された香水の処方は家宝として代々、香水一族の子孫に伝えられたものですが、機密性が高いため処方の相続も子供の中で正当後継者のみに伝えられたという一族もあったそうです。
それは日本の武道や茶道や、もろもろの○○道の「一子相伝」と似ています。現代ではこのような相続方法はそれほど流行らなくなりましたが、パフューマーの世界では現代でもある程度世襲制的な部分が残っています。
ちなみに、もし私がたまたまフランスの伝統ある香水一族に生まれつき、運良く家宝の香水処方を相続できたら、ウフ・・・とはいっても、おそらくその処方は、使えない!・・・のではないかと推測します。
昔の処方ですから、現代では入手不可能な香料や法的に使用不可能な香料ばかりでのハズ。それより「○○家」出身というブランドは力強い味方になりそうです。
(2008-03-12)
「国分さん、調香師の学校ってあるんですか?そこに行けば調香師になれるんですかね?」
なんて冗談半分に聞かれました。冗談半分どころか、完全に世間話でしたが、私の乏しい知識を披露しました。
「ありますヨ。しかし、職業としてのパフューマーには受け入れ口が乏しいのが実状で、パフューマーになるのは大変なようですヨ・・・」
「調香師」にはパフューマーとフレーバーリストが含まれます。パフューマーとは香料を調合しフレグランスや香水などを制作するクリエイターで、フレーバーリストとは同じく香料を調合しますが、制作するのは食品です。
パフューマーとフレーバーリストでは求められる技術もスキルもかなり似ていますし、似た原料(香料)を使用します。そこで日本ではどちらも「調香師」というネーミングで一緒くたにしますが、海外ではパフューマーとフレーバーリストは明確に分けられた職業です。
調香師には国家資格などありませんので自称「調香師」でかまわないと思います。世界的にも公的な資格があるという話を聞いたことがありません。フランスには「nez」(ネ)という称号がありますすが、誰が誰に対して発行するものなのか、公的称号なのか勝手称号なのかも私には不明です。
思うに調香師さん全体を差す集合名詞のような気もします。向こうのパフューマーさんと話す機会があるとき聞いてみようと思いつつ、まだ実現していません。
フランス人にとってパフューマーはちょっとクールな職業に見えるらしく、パフューマー志望の方は少なくないそうです。しかし、現実は香水の国フランスでもパフューマーになれる人は少ないのが実状です。
それこそ世界的に著名なパフューマーになれば、エルメスやゲランといった超ブランドさんのクリエイターとして活躍できますが、パフューマーの就職口は通常ジボダンやシムライズといった香料会社さんです。
しかし、そこで求められる仕事の多くはクリエーションよりも「作業」的なものが多いわけで(どんな職業でも同じですよね。私の仕事もこんな感じです。嫌いでないです、ハイ)、スピンアウトして独立してやって行かれる方も多いのです。それが近年の新興香水ブランドの勃興の一因になっていることは何度かお伝えしてきたとおりです。
先月ご紹介したMalle氏も世界的な香料会社大手ジボダンから独立された方ですが、Malle氏のような成功は、おそらくかなりの少数派と推測されます。
香料会社に就職してパフューマーになる場合、世界の香料会社は、現在M&Aの嵐真っ只中で、合併・吸収するたびにパフューマーの部署にも余剰人員がでてしまうという状態です。パフューマーの新規採用は厳しいものがあります。
日本は、これまた特別な国で、世界的な香料会社さんが存在しますが、市場にはフレグランス需要が極端に少なく、調香師の学校を卒業しても香水やフレグランスの受け入れ口は乏しく、フレーバー(食品味付け)の分野に進む人が多いと聞きます。
たまに日本の香料会社さんにパフューマーが所属していると案外海外の方だったりして、日本人パフューマーを起用するってのはどうよ?とお聞きしてみたいところです。
要は海外でも日本でもパフューマーは受け入れ口はかなり狭いという状況です。そのためパフューマーは世襲制のような部分があります。現在でもグラース出身のパフューマー多いのはそのためでないかと思われます。グラースとは、フランス南部の小さな街です。なめし革の手袋産業から発展して香水の一大都市としての歴史があり「香水の都」と呼ばれることもあります。
昔は、作り出された香水の処方は家宝として代々、香水一族の子孫に伝えられたものですが、機密性が高いため処方の相続も子供の中で正当後継者のみに伝えられたという一族もあったそうです。
それは日本の武道や茶道や、もろもろの○○道の「一子相伝」と似ています。現代ではこのような相続方法はそれほど流行らなくなりましたが、パフューマーの世界では現代でもある程度世襲制的な部分が残っています。
ちなみに、もし私がたまたまフランスの伝統ある香水一族に生まれつき、運良く家宝の香水処方を相続できたら、ウフ・・・とはいっても、おそらくその処方は、使えない!・・・のではないかと推測します。
昔の処方ですから、現代では入手不可能な香料や法的に使用不可能な香料ばかりでのハズ。それより「○○家」出身というブランドは力強い味方になりそうです。
(2008-03-12)
< 新ボトル(フラコネット)への移行完了 || (移転) >
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