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( 香水工場の )

香る生活


サッカリンとチクロの話
去年、フランスから健康飲料水やコスメを輸入し、日本での市場展開を企てていたある独立系の映画配給会社さんの話です。

彼らが見せてくれたダイエット効果があるという健康飲料水の成分表には「サッカリン」の名が。カラダによいとされる非常に高価な水。

どれくらい高価かといえばちょっとした銘柄のインポートブランデーと同じくらいです。当然フランスでもそれなりのお店にしか置いていない代物です。

マーケット的には「セレブ水」と言えるかも知れません。映画スターなどあちらのセレブな階級に愛用されているようです。

その映画配給会社さんのメインのお仕事は海外映画の買い付けと日本でのロールアウトです。

それにプラスして、映画スターさんたちのサイドビジネスの活況と平行して、スタービジネスの日本市場上陸も手伝うのが、昨今の流れだとか。今後も拡大傾向にあるようです。

映画スターさんたちが手掛けるサイドビジネスは多種多様ですが、ことのほか香水やスキンケアなどの化粧品とダイエット食品など食品が多いようです。

もちろん、レストランやショップは昔から芸能人御用達の定番ビジネスですね。

さて、その超高価なお水やコスメを、日本市場でどのように展開していくか、と企画段階の際、ご担当者がたまたま知り合いということもあり、化粧品や食品の流通の仕組みや、薬事法に関する化粧品の輸入方法ついて相談を受けました。

そこで私は、マーケットインする前の「お水」を拝見させていただきました。その成分表には「サッカリン」が。内心「これは苦戦するかも・・・」と。


話は飛びます。私が小さい頃、人工甘味料であるチクロやサッカリンで味付けした駄菓子は普通に売られていました。

1970年代、発ガン性の疑いがあるとしてチクロがアメリカで使用禁止となると、日本ではメディアスクラムの猛烈な非難攻勢がチクロに向けられました。

当時、チクロは果物缶詰の甘味料として多用されていたため多くの缶詰製造業会社が倒産や廃業へと主込まれました。

これは「チクロ事件」や「チクロ騒動」とよばれ食品業界では今でも語り継がれています。チクロに本当に発ガン性や奇形性があるのか別にして、考えさせられる事件です。

サッカリンも同様に発ガン性を疑われ日本市場から完全に撤退した甘味料です。

廃業したグッドウィルグループの元会長・折口雅博氏のお父さんがサッカリン工場を経営していたことは有名な話です。

サッカリンも発ガン性が疑われ使用禁止となると折口家のサッカリン工場は破産、両親は離婚、裕福な生活は一転して生活保護の暮らしへと。

私には実状は知る由もありませんが、いったん黒いレッテルを貼られれば、もはや全人格的にすべてが否定される「単一方向猛進型社会」の日本ではいったん黒いイメージが形成されると立ち直りはイバラの道。

現在でも日本人全体にチクロやサッカリンに対する嫌悪のイメージは拭い去られることはありません。

ところが、昨年どこかのおやじが「チクロの入ったゼンザイは旨かった!」という述懐している何かの記事に出会い、久しぶりの「チクロ」という言葉を聞いて新鮮に感じたものです。

日本では完全排除が完了したチクロやサッカリンですが、実は反対意見や反対の実験結果も多いことを知りました。規制には政治的な陰謀説も語られています。

チクロは、米国・日本では禁止されているものの、ヨーロッパ、カナダでは使用されています。

サッカリンは、現在世界的に使用されています。日本でも使用可能です。

日本の中高年の4〜5人に一人が糖尿病患者もしくは予備軍と言われる現在、サッカリンはむしろ安全と主張する人々が存在することも事実。

しかし、サッカリンのイメージを払拭してあのセレブ水をマーケット展開できるのか静かに見守るしかありません。

(2008-06-26)
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