( 香水工場の )
香る生活
香水「柑橘系」
柑橘系の一瞬の幸福感を閉じ込める
食品の場合、案外、人の嗜好は似ています。
レストランに入り連れの女性でも男性でもが「これ、おいしい!」というものは、だいたい自分にも「おいしい」と感じます。
ところが、香りはそうはいきません。電車の中で「まるで理解できない香り」を発散している人に出会うことがあります。
空間を曲げてしまうような香りでも、ご本人は好きでたまらない「これ、命!」の香りだったりします。
香りは個人ごとに嗜好性の強いもの。好き嫌いが両極端に分かれることしばしば。だから、香水に「必ずすべての人に愛される香り」という製品は存在しません。
しかし「比較的多くの人に愛される香り」ならあります。
その代表的な香りが柑橘系の香りです。
もぎたての新鮮な夏みかんを手で割ったことはありますか?
皮から元気よく飛び散るエッセンシャル・オイル。
ミストとなって空間に放出され一瞬にして爽快な香りを周囲に満たしてくれます。あの幸福感。感動的な幸せの瞬間です。
私はずっとあの香りを捜しています。
(余談ですが、柑橘系の香りは世界的に見れば地中海沿岸、フランス、日本で特に愛されると言われています。北方の方々にはむしろアニマル系などのやや「濃厚系」が好まれるようです)
小学生の頃、自宅の庭に自生していた夏蜜柑の木は毎年、蜜柑の実をたわわに付けていました。
実がまだ青いうちから採り皮から精油を絞っては柑橘系香水の手作りを試みました。
両親に笑われ、友達にからかわれ、作り続けましたが、どれもイマイチ。
子供の遊びです。
そのうち香水作りの熱は冷め、作り貯めた試作はいつしかビンの中で茶色く干からびて、どこかにいってしまいました。
レモンやグレープフルーツ、蜜柑などの柑橘系の皮から採れる天然の精油は、強い幸福感を伴う香りですが、持続しないこと、保管できないこと、変質しやすいことなど特徴があます。
香水の原料としてはそのままでは難しい素材です。子供の香水作りが頓挫したのは、今から思えば無理もないこと。
柑橘系精油は、香りよりも毛生薬など実用性製品・機能性製品へ転用されるものが少なくありません。
柑橘系の香りは、香り自体にダイエット効果が認められています(現実的ではありませんが)。
加齢臭にも効果があります(精油はみんそうですが)。
このように御利益多き成分には間違いないのですが、香水としての柑橘系は「一瞬の幸福感」系の香り。
あっという間に香りが「飛ぶ」性質のため幸福感はすぐに終焉を迎えます。
花火のようなはかなさです。
柑橘系の香りは大多数の人に愛される香りゆえに柑橘系の香水は無数にあります。
どれもがその「一瞬の幸福感」を固定するための調香を重ねた苦悩の跡が見え隠れします。
中には、柑橘系とは少しほど遠くなった製品もあります。
私たちが望んだことは「天然の柑橘系そのままで」香りを閉じ込めること。
それにはなるべく高濃度に天然の柑橘系精油を配合すればよいのですが、天然の柑橘系精油は揮発性が非常に高い。
さらに、そのままでは皮膚に刺激があったり、光毒性といって太陽光などに含まれる紫外線や放射線によって皮膚にダメージを与える場合があります。
光毒性成分を除去したベルガプテンフリーの精油を使用するなど毒性や刺激の軽減を図り、それでいて柑橘系そのままの香りでを香りが持続する香水がテーマでした。
イタリア産ベルガモット、シシリーレモン、ブラジル産オレンジ、アルゼンチン産マンダリン、メキシコ産ライムなど多彩な柑橘系エッセンシャル・オイルをギュッ!と閉じ込めました。
そして、出来上がった香りは「柑橘系の香りそのまま」でした。
深呼吸をしたくなるような幸福感です。
だから、柑橘系の中の柑橘系という意味で、当社ではこの香りにたんにズバリ、そのまま「柑橘系」と命名しました。
社内では「ケイ」と呼ばれています。「カンキツケイ」のケイです。英語表記では「Kay」。
英語圏では人名として使用されることがあります。発音は「カイ」ではなく「ケイ」。
「柑橘系」は、香りのバランスと調和(これをパフューマーはアコードと呼びます)は、しごく高い製品に仕上がりました。
・柑橘系(Kay)
(2008-11-27)
香りの好みは人それぞれ
食品の場合、案外、人の嗜好は似ています。
レストランに入り連れの女性でも男性でもが「これ、おいしい!」というものは、だいたい自分にも「おいしい」と感じます。
ところが、香りはそうはいきません。電車の中で「まるで理解できない香り」を発散している人に出会うことがあります。
空間を曲げてしまうような香りでも、ご本人は好きでたまらない「これ、命!」の香りだったりします。
誰からも愛される香り
香りは個人ごとに嗜好性の強いもの。好き嫌いが両極端に分かれることしばしば。だから、香水に「必ずすべての人に愛される香り」という製品は存在しません。
しかし「比較的多くの人に愛される香り」ならあります。
その代表的な香りが柑橘系の香りです。
新鮮な柑橘系の香り
もぎたての新鮮な夏みかんを手で割ったことはありますか?
皮から元気よく飛び散るエッセンシャル・オイル。
ミストとなって空間に放出され一瞬にして爽快な香りを周囲に満たしてくれます。あの幸福感。感動的な幸せの瞬間です。
私はずっとあの香りを捜しています。
(余談ですが、柑橘系の香りは世界的に見れば地中海沿岸、フランス、日本で特に愛されると言われています。北方の方々にはむしろアニマル系などのやや「濃厚系」が好まれるようです)
柑橘系香水を試作した子供の頃
小学生の頃、自宅の庭に自生していた夏蜜柑の木は毎年、蜜柑の実をたわわに付けていました。
実がまだ青いうちから採り皮から精油を絞っては柑橘系香水の手作りを試みました。
両親に笑われ、友達にからかわれ、作り続けましたが、どれもイマイチ。
子供の遊びです。
そのうち香水作りの熱は冷め、作り貯めた試作はいつしかビンの中で茶色く干からびて、どこかにいってしまいました。
天然の香りの弱点
レモンやグレープフルーツ、蜜柑などの柑橘系の皮から採れる天然の精油は、強い幸福感を伴う香りですが、持続しないこと、保管できないこと、変質しやすいことなど特徴があます。
香水の原料としてはそのままでは難しい素材です。子供の香水作りが頓挫したのは、今から思えば無理もないこと。
柑橘系精油の応用
柑橘系精油は、香りよりも毛生薬など実用性製品・機能性製品へ転用されるものが少なくありません。
柑橘系の香りは、香り自体にダイエット効果が認められています(現実的ではありませんが)。
加齢臭にも効果があります(精油はみんそうですが)。
すぐに香りが飛びやすい
このように御利益多き成分には間違いないのですが、香水としての柑橘系は「一瞬の幸福感」系の香り。
あっという間に香りが「飛ぶ」性質のため幸福感はすぐに終焉を迎えます。
花火のようなはかなさです。
数多い柑橘系の香水
柑橘系の香りは大多数の人に愛される香りゆえに柑橘系の香水は無数にあります。
どれもがその「一瞬の幸福感」を固定するための調香を重ねた苦悩の跡が見え隠れします。
中には、柑橘系とは少しほど遠くなった製品もあります。
私たちが望んだことは「天然の柑橘系そのままで」香りを閉じ込めること。
天然の香りをそのまま閉じ込める
それにはなるべく高濃度に天然の柑橘系精油を配合すればよいのですが、天然の柑橘系精油は揮発性が非常に高い。
さらに、そのままでは皮膚に刺激があったり、光毒性といって太陽光などに含まれる紫外線や放射線によって皮膚にダメージを与える場合があります。
光毒性成分を除去したベルガプテンフリーの精油を使用するなど毒性や刺激の軽減を図り、それでいて柑橘系そのままの香りでを香りが持続する香水がテーマでした。
愛称「Kay」(ケイ)の由来
イタリア産ベルガモット、シシリーレモン、ブラジル産オレンジ、アルゼンチン産マンダリン、メキシコ産ライムなど多彩な柑橘系エッセンシャル・オイルをギュッ!と閉じ込めました。
そして、出来上がった香りは「柑橘系の香りそのまま」でした。
深呼吸をしたくなるような幸福感です。
だから、柑橘系の中の柑橘系という意味で、当社ではこの香りにたんにズバリ、そのまま「柑橘系」と命名しました。
社内では「ケイ」と呼ばれています。「カンキツケイ」のケイです。英語表記では「Kay」。
英語圏では人名として使用されることがあります。発音は「カイ」ではなく「ケイ」。
「柑橘系」は、香りのバランスと調和(これをパフューマーはアコードと呼びます)は、しごく高い製品に仕上がりました。
・柑橘系(Kay)
(2008-11-27)
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