( 香水工場の )
香る生活
香水の種類分け #3
「香水の種類と分類」の3回目。下記は香水タイプ・種類分類方法の一つです。
合成香料が創り出してきた新時代の香水・フゼア・タイプ。
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(1). フローラル・タイプ(花束をイメージ)
(2). アルデハイド・タイプ(モダンなイメージ)
(3). グリーン・タイプ(緑をイメージ、ユニセックス)
(4). フルーティ・タイプ(果物をイメージ)
(5). ウッディ・タイプ(樹木をイメージ、知的)
(6). シプレー・タイプ(オークモスとベルガモット、格調)
(7). フゼア・タイプ(メンズ)
(8). タバック・レザー・タイプ(葉巻タバコと皮革、ダンディ)
(9). オリエンタル・タイプ(東洋、エキゾチック)
(10).シトラスコロン・タイプ(柑橘系、爽やか)
(11).マリーン・タイプ(海をイメージ)
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きょうは(7)のフゼア・タイプ。
フゼア・タイプとは?・・・・
フゼアはメンズ香水に多い種類の香りです。それゆえ男性から「フゼアってどんな香りですか?」とよく質問されます。私は今でもこの質問に一言で返答できないです。なんかもどかしいタイプです。
フゼア・タイプは少し変わり者です。フゼアとは植物の「シダ」のことですが、香水の種類としてのフゼア・タイプはシダの芳香とは無関係です。フゼア・タイプは、仏ウビガン(Houbigant)社の1882年リリースの香水「フゼア・ロワイヤル」に由来します。
「フゼア・ロワイヤル」(Fougere Royale)は仏語読みではフジェール・ロワイヤル。強引に英訳すればRoyal Fern?になるでしょう。
ウビガン社とは、フランスの老舗香水メーカーの一つです。1775年ジャン・フランソワ・ウビガンによってパリで創業されました。マリー・アントワネット、ポンパドゥール夫人、ナポレオンなどフランス王室がウビガン社の香水を愛用したとされます。
フゼア・ロワイヤルが発売された当時ヨーロッパ、特に英国ではシダブームの最中。
シダブームとは何でしょう?
ヨーロッパではチューリップ相場(チューリップバブル)のように時々、特定の品種の植物が途方もないブームになり、時としてビジネスや投機の対象になります。当時のイギリス・ビクトリア王朝時代はシダブーム(1840〜1880年代前後)が起こりました。イギリスの貴族たちがこぞって温室など作り観葉植物としてシダの栽培に励んでいました。
シダ自体には特別な芳香はありませんが「もしシダが香るとしたら?」おそらくこんな香りだろうとという発想で制作された香水が「フゼア・ロワイヤル」でした。
パフューマーはポール・パルケという方。ビジネスセンス抜群ですよね。本来香水は高級志向製品で、イメージ維持のためブーム便乗と解釈されかねない、安易でチープな製品開発を行いません。が、このときは大ヒットとなります。ブームと言っても特権階級のブームで現代のブームとは若干状況が違うのでしょう。
ヒットの原因は、一つはラベンダー、オークモス、ゼラニウムなどメンズのキリリとした香調に、当時できたばかりの合成香料クマリンというまったく新しいテイストの香りを提案できたこと、当時流行の絶頂期に来ていた男性用のダークスーツ(ハットからつま先までオールブラック・ファッション)によく合うメンズの香りだったこと。
「フゼア香水はオトコの香り」というイメージ定着に成功したことが上げられます。
フゼア・ロワイヤルの成功以来、ラベンダー・オークモス・ゼラニウム・クマリンなどを主体とする樹木や葉っぱのようなグリーン感・苔感・渋いハーブ感の香りのやや重め目の香水は、フゼア・タイプとして香水の一系統として確立されていきました。
フゼア・タイプは、それまでの動物系の濃厚な香水とも、ライトな柑橘系コロンとも違って、渋いオトコの演出にマッチした系統の香りと考えられています。
現在でもメンズ・男性用香水として一系統を形成しています。とはいっても現在では「メンズ」に分類するより男性・女性に関係なく女性の愛用者も多いので性別の種類としては「ユニセックス」に分類されると感じます。
ところで、クマリンとは、芳香族の有機化合物です。ラクトンの一種で、日本では桜餅の香り成分として大変有名です(でも、食品香料として使用することは禁止されているそうです)。
クマリンは自然界に存在する有機化合物ですが、製品としては当然合成によって製造されます。wikiによると「1876年にウィリアム・パーキンがサリチルアルデヒドと無水酢酸の反応(パーキン反応)により合成に成功」とのことです。
1921年、シャネルNo5は合成香料アルデハイドの採用で香水史に「合成香料史」の歴史を切り開いたかのような解説をする専門家の方々も多いようですが、その40年も前の「フゼア・ロワイヤル」は合成香料香水のパイオニア的な役割を果たしていたんですね。
(2009-01-28)
合成香料が創り出してきた新時代の香水・フゼア・タイプ。
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(1). フローラル・タイプ(花束をイメージ)
(2). アルデハイド・タイプ(モダンなイメージ)
(3). グリーン・タイプ(緑をイメージ、ユニセックス)
(4). フルーティ・タイプ(果物をイメージ)
(5). ウッディ・タイプ(樹木をイメージ、知的)
(6). シプレー・タイプ(オークモスとベルガモット、格調)
(7). フゼア・タイプ(メンズ)
(8). タバック・レザー・タイプ(葉巻タバコと皮革、ダンディ)
(9). オリエンタル・タイプ(東洋、エキゾチック)
(10).シトラスコロン・タイプ(柑橘系、爽やか)
(11).マリーン・タイプ(海をイメージ)
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きょうは(7)のフゼア・タイプ。
フゼア・タイプとは?・・・・
フゼアはメンズ香水に多い種類の香りです。それゆえ男性から「フゼアってどんな香りですか?」とよく質問されます。私は今でもこの質問に一言で返答できないです。なんかもどかしいタイプです。
フゼア・タイプは少し変わり者です。フゼアとは植物の「シダ」のことですが、香水の種類としてのフゼア・タイプはシダの芳香とは無関係です。フゼア・タイプは、仏ウビガン(Houbigant)社の1882年リリースの香水「フゼア・ロワイヤル」に由来します。
「フゼア・ロワイヤル」(Fougere Royale)は仏語読みではフジェール・ロワイヤル。強引に英訳すればRoyal Fern?になるでしょう。
ウビガン社とは、フランスの老舗香水メーカーの一つです。1775年ジャン・フランソワ・ウビガンによってパリで創業されました。マリー・アントワネット、ポンパドゥール夫人、ナポレオンなどフランス王室がウビガン社の香水を愛用したとされます。
フゼア・ロワイヤルが発売された当時ヨーロッパ、特に英国ではシダブームの最中。
シダブームとは何でしょう?
ヨーロッパではチューリップ相場(チューリップバブル)のように時々、特定の品種の植物が途方もないブームになり、時としてビジネスや投機の対象になります。当時のイギリス・ビクトリア王朝時代はシダブーム(1840〜1880年代前後)が起こりました。イギリスの貴族たちがこぞって温室など作り観葉植物としてシダの栽培に励んでいました。
シダ自体には特別な芳香はありませんが「もしシダが香るとしたら?」おそらくこんな香りだろうとという発想で制作された香水が「フゼア・ロワイヤル」でした。
パフューマーはポール・パルケという方。ビジネスセンス抜群ですよね。本来香水は高級志向製品で、イメージ維持のためブーム便乗と解釈されかねない、安易でチープな製品開発を行いません。が、このときは大ヒットとなります。ブームと言っても特権階級のブームで現代のブームとは若干状況が違うのでしょう。
ヒットの原因は、一つはラベンダー、オークモス、ゼラニウムなどメンズのキリリとした香調に、当時できたばかりの合成香料クマリンというまったく新しいテイストの香りを提案できたこと、当時流行の絶頂期に来ていた男性用のダークスーツ(ハットからつま先までオールブラック・ファッション)によく合うメンズの香りだったこと。
「フゼア香水はオトコの香り」というイメージ定着に成功したことが上げられます。
フゼア・ロワイヤルの成功以来、ラベンダー・オークモス・ゼラニウム・クマリンなどを主体とする樹木や葉っぱのようなグリーン感・苔感・渋いハーブ感の香りのやや重め目の香水は、フゼア・タイプとして香水の一系統として確立されていきました。
フゼア・タイプは、それまでの動物系の濃厚な香水とも、ライトな柑橘系コロンとも違って、渋いオトコの演出にマッチした系統の香りと考えられています。
現在でもメンズ・男性用香水として一系統を形成しています。とはいっても現在では「メンズ」に分類するより男性・女性に関係なく女性の愛用者も多いので性別の種類としては「ユニセックス」に分類されると感じます。
ところで、クマリンとは、芳香族の有機化合物です。ラクトンの一種で、日本では桜餅の香り成分として大変有名です(でも、食品香料として使用することは禁止されているそうです)。
クマリンは自然界に存在する有機化合物ですが、製品としては当然合成によって製造されます。wikiによると「1876年にウィリアム・パーキンがサリチルアルデヒドと無水酢酸の反応(パーキン反応)により合成に成功」とのことです。
1921年、シャネルNo5は合成香料アルデハイドの採用で香水史に「合成香料史」の歴史を切り開いたかのような解説をする専門家の方々も多いようですが、その40年も前の「フゼア・ロワイヤル」は合成香料香水のパイオニア的な役割を果たしていたんですね。
(2009-01-28)
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