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ブラックベチベルと逢魔時
Date: Mon, 28 Aug 2023

●投書:
 タイッツーのキャンペーンを機に、初めて香水を買いました。

 何種類か買ったうち、最初に試したのが「ブラックベチベル」です。どういう香りなのか一番想像がつかなかったから……なのですが、嗅いだ瞬間「あ、この香り知ってる」と思いました。

思い浮かぶのは作業小屋、林や野山で遊んだ記憶、畑仕事……たぶん「湿った土と朽ちかけた草木」に似ているのだと思います。

 それと、チャイスパイスの香りが、特につけ始めは強く感じました。チャイが好きなので嬉しかったです。


 香水とかいい香りという言葉からこの香りを思い浮かべることは決してないと思います。ですがこの香りが自分からすることに違和感をおぼえませんでした。

これがもし別の、たとえば薔薇の香りだったりしたら、うっとりすると同時に気後れや気恥ずかしさを感じていたと思います。かわいらしい服は好きだけど、着ても似合わないし、そういうキャラじゃないし……みたいな。そういう気持ちがブラックベチベルには一切起きませんでした。


 むしろ懐かしさに落ち着きをおぼえます。あえて気持ちを内向きにしたいとか、自分を見失わないようにしたいとか、そういう気分にもしっくりきそうです。

最初に香りから思い浮かべたものはどれも子供の頃の遊び場なので、もしかしたらそういうものに馴染みがあるか無いかで印象が変わってくるのかもしれません。



 スリーピングミスト「逢魔時」もブラックベチベル同様、いや、それ以上に怖いもの見たさで購入しました。なんせ商品紹介文が”インパクトのある名前に負けない個性ある香り”、こういう時に使われる個性とは「クセがある」「お好きな方にはたまらないけど、そうでない方には…」得てしてそういう意味だと思っているのですが、いかがでしょうか。


 案の定、初めて嗅いだときは眉根が寄りました。ですがやはり朽ちた草木と土のような香りに落ち着きを感じて、このところ夜はたいてい逢魔時を使っています。


 似た香りのブラックベチベルと比べると、強さはだいぶ軽やかですが、クセは断然強いと感じました。ブラックベチベルに酸味のような山椒のような香りを加えて、全体に軽くした感じ……とでも言いましょうか。


 最初は枕の右と左に1回ずつ吹き付けて使ったのですが、翌日寝る時にもまだほのかに香りがありました。体に付けない=揮発しにくいぶん長く残るのでしょうか。気分で香りを切り替えたい時には都合が悪いので、以降はティッシュに吹き付けたのを枕の横に置いて使うようにしています。

ですが毎日のように使うとなるとそれも勿体ないので、端切れかハンカチを逢魔時用に用意して、それに吹き付けるようにしようかと考えています。別の香りにしたい時はビニール袋に入れてしまっておけますし。



 どちらの香りも、たとえば乾いた地面に水を吹き付けたような、しっとりと落ち着いた気持ちになるのが気に入っています。この夏は暑い日が続き地面も空気もすっかり乾いているので、よけいに湿り気を感じるこれらの香りが心地よく感じられたのかもしれません。

 また、「いい香り」ではないけれど不思議とクセになるところが、ピーマンやゴーヤのようだなと思いました。そういえば私はピーマンもゴーヤも好きですし、猟師さんからいただくお肉の中でもクマの肉が一番好きです。猟師さんいわく「硬くてクセがあるので好まれにくい」「これがいいなんて相当のあまのじゃくか曲者」だそうです。もしかしたら世の中には案外曲者が潜んでいるのかもしれません。

●ハンドル:
尾村依子


(国分) ハンドル名が個人名みたいで掲載ためらいました・・問題あればお知らせください。「初めて香水を」購入されたとのこと、はじめての香水に当社製品を選択いただきありがとうございます。「猟師さんからいただくお肉」・・私が暮らす環境とはやや違った生活圏のご様子・・多様な人が多様な価値観で香水を使える時代を感じさせますね


(2023-09-07)
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