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( 香水工場の )

香る生活


新作「スイカズラ (ハニーサックル)」

スイカズラとは?


スイカズラ、別名ハニーサックルは、芳香性のあるツル性植物。

案外街中にも咲いていて園芸で植えたものが、あれよあれよと増えて、近所の川辺などで野生化してしまうイメージがあります。放置しておくとうっそうとした森を作る逞しさです。

このスイカズラ(ハニーサックル)は、フランス語でChevrefeuille(シェーヴルフイユ)と呼ばれます。フランス人が大好きな香りの花です。

フランスではChevrefeuilleの香りをテーマにしたシャンプーやシャワージェル、ローションなど様々な製品が作られています。フランスで人気がある香りは日本でも好まれる傾向があります。


花から香りのエッセンスが採れないスイカズラ


このスイカズラ(ハニーサックル)は花から精油があまり採取されません。一部アブソリュートとして採取されハニーサックルオイルとして市販されています。

しかし、スイカズラ(ハニーサックル)のアブソリュートは重油のような黒い粘着性の液体となります。香りも花の香りとはかなり違ったものです。

その代わりスイカズラ(ハニーサックル)の香りは比較的入手しやすい成分(香料)と素直な組成(処方)で花の香りに近い香りが再現できます。


フランスでも調香の代表的な実技対象


フランスで香水の勉強を始めるとスイカズラ(ハニーサックル)の調香実習が組み込まれているパフューマー用訓練校やスクールも少なくないようです。

これほどポピュラーなスイカズラ(ハニーサックル)ですが、しかし、何でもそうですが、花とまったく同じ香りを再現することは不可能です。そこに各香水メーカーや香水ブランドのテイストが加味されます。


スイカズラ製品


フランスでパフューマリーやコスメショップをブラブラすると様々なスイカズラ(ハニーサックル)のフレグランスやトイレタリー製品を見つけます。

何点か買い込んでホテルに持ち帰り試すと、これがスイカズラ?(悪い香りという意味ではありません)というものからかなり近いものまで同じスイカズラ(ハニーサックル)でもいろいろです。

(また、現地で買い込んだものを日本に持ち帰るとさらに違った印象を受けることは多々ありますよね)


武蔵野ワークスのスイカズラ


香水「スイカズラ(ハニーサックル)」は、日本のスイカズラ(ハニーサックル)をベースに調香しました。調香を担当したのはフランスの方です。

東京の街中を散策中に出会ったスイカズラ(ハニーサックル)の香り触発されて制作しました。


香りのフィールドワーク


パフューマーは1千近い単品香料の匂いを記憶していますので、香りを嗅ぐとその香気に含まれている成分をある程度見分けることができます。

さらにその匂いを感覚として記憶できます。記憶された香りをラボで再現するのですが、一気にできあがる場合もありますし、はまる場合もあります(そして、ついに出てこれないことも)。

ある程度試作ができると、香りを確かめる(評価する)ために再度同じ場所に行き同じ花の香りと嗅ぎくらべますが、悲しいことにだいたい試作ができあがる頃には、花は散り、もう一年待つことになります。

そうやって1年〜2年は軽く経過していきます。


何年も通うことになる花畑


私が企画し開発依頼をかけている「菜の花」は構想からすでに3年。ラベル制作まで完了していますが、作品自体が完成しません。

今年ようやくリリースできた「れんげそう」も3年程度かかりました。

もっとも「れんげそう」は花自体に香りがないのでフィールドワークはあまり意味がなかったのですが、レンゲソウ畑に通いました。

香水「スイカズラ」の特徴


ところで、本製品ですが、香水の宿命の香調変化(トップノート・ミドルノート・ボトムノート)は、比較的少なく、トップからボトム(ラスト)まで案外的安定したスイカズラ(ハニーサックル)の香りをお楽しみ頂けます。

清潔感があるフローラルな香りの中に含まれる、ちょっぴり、なんというか「カワイらしいセクシーさ」もお気に入りです。

目を閉じればカワイイく香ることに共感いただけるかもしれません。

ライトでナチュラル、グリーン感があるフローラルを愛する方におすすめです。



スイカズラ(ハニーサックル)
(2009-06-10)
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