( 香水工場の )
香る生活
新作「樹海」
富士山麓に拡がる森林がテーマ
香水「樹海」は、富士山麓に拡がる森林の香りをテーマにした香りです。
「樹海」(じゅかい)というネーミングであなたがイメージする光景は?・・・青木ヶ原樹海ですか?社内でもイメージがややマイナスにブレるかもしれないという危惧の声が多かったのですが、悩んだ末決定されたネーミングです。
他に候補になったネーミングも紹介します。
「コメツガ」「モン・フジ」「マウント・フジ」「シュヴァルツヴァルト」「フジ・フォレスト」・・・
コメツガのシトラスな香り
フローラル・フォーシーズンズ「樹海」は、富士山とその森林を覆う空気を吸って受けた感動を香りに託した作品です。
大地の匂い、燻る落葉の匂い、苔の匂い、樹木の匂い・・・様々な匂いが混じり合う世界です。
特にモミの木に似たコメツガの凛々しい姿に心惹かれ、コメツガの葉のグリーン感をベースにメンズの香りへと仕上げました。
おもしろいことにコメツガの葉っぱを手のひらの上で揉んで上がる香りには優しくナチュラルなグリーン感だけでなく、グレープフルーツの香りが内包しています。
それは、針葉樹の葉にありがちなシャープなグリーン感ではなく人の心に懐かしさを呼び覚ます香りでした。パフューマーはインスピレーションを大いに刺激されました。クリエーション魂に灯が灯る香りでした。
樹木の香りをベースに爽やかに
シプレーでもないフゼアでもない、メンズフレグランスに多用されるレザー(皮革の香り)やタバック(葉巻やパイプの香り)も使用せず、とにかく「ナチュラルで爽やか」に仕上げました。
あまりにもナチュラルでユニセックスとしても充分に使用可能です。
コメツガとは、ツガ(栂)という樹木の仲間。葉っぱが小さいので「米粒のツガ」という意味でコメツガ(米栂)と呼ばれるそうです。
マツ科ツガ属の樹木。高地でも低地でもない山岳地帯を好んで生育する日本固有の針葉樹です。
松の木同様、しゃがれた樹皮はいかにも厳しく触りがたく、見る人に近寄りがたい印象を与えます。
とくにコメツガは岩肌がむき出しになった崖や急傾斜地、土壌の薄い尾根や稜線など険しいところもモノともせずに這いつくばって巨木に成長します。そんな様がオトコの強さや逞しさのような安らぎ感を与えます。
別のメンズフレグランス構想から着想を得る
この香りにはちょっとした思い入れとテーマが紛れ込んでいます。
数年前、遊び心ではじまったオードパルファム「土方歳三」という商品開発プロジェクト。
以前このブログで書きました。オードパルファム「土方歳三」のアイデアは、新宿のあるレストランでオヤジ達のトグロから飛び出したものでした。
その後、資料館になっている土方の生家やゆかりの土地に行ったり(もともと多摩地区の人ですから生家もゆかりの地も武蔵野に点在)、資料を集め読んだりしましたが、開発プロジェクトそれ自体は頓挫しました。
そのとき集め溜めた「土方の香り」のスケッチブックは、ずっと頭の中に残っていて、それが形になったものが『樹海』です。
完成したモノは「鬼の副長・土方」には、とても似合わないナチュラルで優し香りですが、森林のような深みは共通しています。
・格調高くナチュラル
・爽やか
・大人の男女におすすめ
・樹海
(2009-06-10)
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