( 香水工場の )
香る生活
香りと脳の関係 (4)・・・再生可能な嗅神経
過去1世紀「脳の神経細胞は再生しない」と信じられてきましたが、実は再生可能かもと言われ出したのでは1990年代。ちょっとだけ希望が見えてきました。
脳細胞のメインというべき神経細胞(ニューロン)は、特殊な細胞で、一般的な細胞にプラスして樹状突起(他のニューロンからの入力情報)と軸索(他のニューロンへの出力情報)が備わっています。
文字通り「樹木のような」細胞です。
もう一つの強烈にふしぎな特徴が「非再生系細胞」と呼ばれる性質。普通、細胞は分裂を繰り返して再生しますが、神経細胞(ニューロン)は、3歳ぐらいまでに細胞分裂と増殖を繰り返した後、なぜか分裂をやめて、死滅する一方の細胞群となります。
神経細胞(ニューロン)が非再生系細胞である原因に関して学説はいろいろでてきていますが、定説はまだありません。
脳内には、神経細胞(ニューロン)だけでなく血管を構成する通常の細胞もあれば、神経細胞(ニューロン)をサポートしているグリア細胞もあります。グリア細胞は、神経細胞(ニューロン)の10倍あるともいわれ、神経細胞(ニューロン)への栄養補給や軸索の保護を行っています。
一般に「脳細胞」と言った場合、脳の脳たる機能は、やはり神経細胞(ニューロン)が果たしているわけで、神経細胞(ニューロン)の再生は、認知症や脳の機能障害の方には、夢の治療法です。
サンティアゴ・ラモン・イ・カハール(Santiago Ram?ny Cajal,1852-1934,スペイン)によって確立した「ニューロン説」(The Neuron Doctrine)は、現代の脳科学の基礎になっている重要な学説です。
ニューロン説の基本は下記の4項目です:
・脳神経の基本構造はニューロンによって構成されており
・ニューロンは独立した一つの細胞であり一つの単位である
・ニューロンは3パートで構成されている - 細胞本体(body)・軸索(axon)・樹状突起(dendrite)
・電気信号(情報)は、一方向にのみ流れる(樹状突起 → 細胞 → 軸索)
これは脳細胞が通常細胞と違うこと、ニューロン同士は直接の結合がなくシナプスという接合部位が存在するなど、中学校や高校の教科書に書いてあった内容を思い出させます。
カハール博士は、解剖学の専門家でしたが、現在の脳科学はすべてこの方に通じると言っても過言でないほど影響力があります。ニューロン説によって1906年ノーベル賞を授与されました。
論文の中で博士はこう言われています:
「(ニューロンは)死ぬことはあっても再生することはない」
”Once the development was ended、the founts of growth and regeneration of the axons and dendrites dried up irrevocably. In the adult centers、the nerve paths are something fixed、ended、and immutable. Everything may die、nothing may be regenerated. It is for the science of the future to change、if possible、this harsh decree.”
「幼少期に脳細胞の発育が止まれば、ニューロンの軸索や樹状突起の成長と再生枯れてしまう。成熟した脳では神経経路は固定化されており変化することはない。すべてのニューロンは死ぬことはあっても再生することはない」
おそらく1913年前後の論文に書かれているらしいですが、これが延々90年、世界中の人々が信じてきた「脳細胞は再生しない」という"常識"の原点と思われます。
1990年以降、脳細胞再生のニュースが急増しています。
神経細胞(ニューロン)は非再生系で「再生不可」が、過去100年くらいの「脳の常識」でしたが、現在では脳内でも「海馬」と「嗅神経」(嗅覚細胞群)は再生していることが知られるようになりました。
このエリアの神経細胞(ニューロン)は、「脳神経幹細胞」が含まれているのではないかと考えられているそうです。
「幹細胞」とは、他の細胞に分化可能な夢の細胞です。
海馬は、前回のセクションにでたとおり短気記憶に深く関わるエリアですが、嗅覚の情報もダイレクトに受けるエリアです。香りが脳細胞再生に役立つと期待する研究者達のテーマになっています。
(続く・・・)
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※この記事は[(4)再生可能な嗅神経]
香りと脳の関係 (8)嗅覚のメカニズム
香りと脳の関係 (7)香りで痩せる
香りと脳の関係 (6)リアルに蘇る記憶
香りと脳の関係 (5)香り成分は脳に届く?
香りと脳の関係 (4)再生可能な嗅神経
香りと脳の関係 (3)香りと脳内血流
香りと脳の関係 (2)香りと認知症
香りと脳の関係 (1)なぜ脳の話
(2015-08-18)
神経細胞(ニューロン)とは?
脳細胞のメインというべき神経細胞(ニューロン)は、特殊な細胞で、一般的な細胞にプラスして樹状突起(他のニューロンからの入力情報)と軸索(他のニューロンへの出力情報)が備わっています。
文字通り「樹木のような」細胞です。
もう一つの強烈にふしぎな特徴が「非再生系細胞」と呼ばれる性質。普通、細胞は分裂を繰り返して再生しますが、神経細胞(ニューロン)は、3歳ぐらいまでに細胞分裂と増殖を繰り返した後、なぜか分裂をやめて、死滅する一方の細胞群となります。
神経細胞(ニューロン)が非再生系細胞である原因に関して学説はいろいろでてきていますが、定説はまだありません。
脳内には、神経細胞(ニューロン)だけでなく血管を構成する通常の細胞もあれば、神経細胞(ニューロン)をサポートしているグリア細胞もあります。グリア細胞は、神経細胞(ニューロン)の10倍あるともいわれ、神経細胞(ニューロン)への栄養補給や軸索の保護を行っています。
一般に「脳細胞」と言った場合、脳の脳たる機能は、やはり神経細胞(ニューロン)が果たしているわけで、神経細胞(ニューロン)の再生は、認知症や脳の機能障害の方には、夢の治療法です。
現在脳科学の基礎を築いたカハール博士
サンティアゴ・ラモン・イ・カハール(Santiago Ram?ny Cajal,1852-1934,スペイン)によって確立した「ニューロン説」(The Neuron Doctrine)は、現代の脳科学の基礎になっている重要な学説です。
ニューロン説の基本は下記の4項目です:
・脳神経の基本構造はニューロンによって構成されており
・ニューロンは独立した一つの細胞であり一つの単位である
・ニューロンは3パートで構成されている - 細胞本体(body)・軸索(axon)・樹状突起(dendrite)
・電気信号(情報)は、一方向にのみ流れる(樹状突起 → 細胞 → 軸索)
これは脳細胞が通常細胞と違うこと、ニューロン同士は直接の結合がなくシナプスという接合部位が存在するなど、中学校や高校の教科書に書いてあった内容を思い出させます。
カハール博士は、解剖学の専門家でしたが、現在の脳科学はすべてこの方に通じると言っても過言でないほど影響力があります。ニューロン説によって1906年ノーベル賞を授与されました。
毎日、脳細胞は死んでいる!
論文の中で博士はこう言われています:
「(ニューロンは)死ぬことはあっても再生することはない」
”Once the development was ended、the founts of growth and regeneration of the axons and dendrites dried up irrevocably. In the adult centers、the nerve paths are something fixed、ended、and immutable. Everything may die、nothing may be regenerated. It is for the science of the future to change、if possible、this harsh decree.”
「幼少期に脳細胞の発育が止まれば、ニューロンの軸索や樹状突起の成長と再生枯れてしまう。成熟した脳では神経経路は固定化されており変化することはない。すべてのニューロンは死ぬことはあっても再生することはない」
おそらく1913年前後の論文に書かれているらしいですが、これが延々90年、世界中の人々が信じてきた「脳細胞は再生しない」という"常識"の原点と思われます。
近年、脳細胞再生のニュースが急増
1990年以降、脳細胞再生のニュースが急増しています。
神経細胞(ニューロン)は非再生系で「再生不可」が、過去100年くらいの「脳の常識」でしたが、現在では脳内でも「海馬」と「嗅神経」(嗅覚細胞群)は再生していることが知られるようになりました。
このエリアの神経細胞(ニューロン)は、「脳神経幹細胞」が含まれているのではないかと考えられているそうです。
「幹細胞」とは、他の細胞に分化可能な夢の細胞です。
海馬は、前回のセクションにでたとおり短気記憶に深く関わるエリアですが、嗅覚の情報もダイレクトに受けるエリアです。香りが脳細胞再生に役立つと期待する研究者達のテーマになっています。
(続く・・・)
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※この記事は[(4)再生可能な嗅神経]
香りと脳の関係 (8)嗅覚のメカニズム
香りと脳の関係 (7)香りで痩せる
香りと脳の関係 (6)リアルに蘇る記憶
香りと脳の関係 (5)香り成分は脳に届く?
香りと脳の関係 (4)再生可能な嗅神経
香りと脳の関係 (3)香りと脳内血流
香りと脳の関係 (2)香りと認知症
香りと脳の関係 (1)なぜ脳の話
(2015-08-18)
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