( 香水工場の )
香る生活
*香水とアロマテラピー
(2012/04/23)
自然から離れ、自然に回帰する香水
香水とアロマテラピーは別物。アロマテラピーは香りによる香・薬同源の技。いっぽう香水は人をより魅力的にするファッション。でもやっぱり分けられない?(2012/04/24)
※京成バラ園でのバラ香水セミナーで使用された香料(2011年6月)
香水の歴史は、そのまま香料の歴史です。
香料とは香辛料だったり、植物のオイルだったりするのですが、「香料」という言葉がまだなかったころは、香料はたんに食べ物の一部でした。
大昔は医薬品という考え方もなく、薬効がある食品が次第に医薬品へと分化し進化していきました。
香料も同じで食品の中で、香りがよい香辛料やオイルが香料として分化して香料という分野ができあがりました。
「食・薬・香」は三位一体の関係。日本の「医食同源」や中国の「薬食同源」というコトバが示すように食品と薬は深い関係にあります。
香りも同じです。
香りも健康のモトになりうるポテンシャルがあります。アロマテラピーは香りと人の健康を追求する学問であり文化や伝統と言えます。
香水の起源は、14世紀の「ハンガリーウォーター」がやや定説気味に語られます。
しかし、ハンガリーウォーターはもともと香水としてではなく「飲まれていた」とか「肌に付けていた」と言われるように薬的な使われ方をされていたようです。
ハンガリーの女王様がハンガリーウォーターで若返ったことから「若返りの水」と言われたとか言われないとかの言い伝えがありますが、どう見ても、ハンガリーウォーターはアロマテラピー的な存在です。
しかし、このハンガリーウォーターが、フランスに渡る頃から、次第にお薬としての効用より、自分を魅力的に見せるためのもの、おしゃれのための小道具としてファッション性を帯びるようになります。
※「体臭を隠すために香水は発展した」という人がいますが、私は否定的です。
ファッションとなると、香りはより華やかに、より持続性が強く、より新規な香りへと要求がエスカレートしていきました。
ナチュラルな天然香料だけだった香水原料は、その進化の課程で次第に様々な成分が採用されるようになります。
そして「医香同源」や「薬香同源」というコンセプトから少し離れた存在へと変貌していきました。
化学的に合成されたアルデヒドを大胆に使用した「シャネルNo.5」(1921年)は香水界に衝撃を与えた名香です。
シャネルNo.5は、合成香料のパワーを世界に知らしめた金字塔的存在となりました。以降、香水の原料はケミカルな香料が主流になりました。
それから延々約100年、今でもこの流れは基本的に同じです。しかし、一部の製品には、この数年でトレンドの変化が見受けられます。
「天然香料100%の香水」や「天然香料主体の香水」の出現。つまり、香水の天然回帰現象です。
香水の歴史としては、現在は大きな転換期なのかもしれません。しかし、微妙な転換ですよね。原料だけからすると昔に戻る訳ですから、ニュースにはなりにくい部分です。
シャネルNo.5のときは、今までに存在しない香りが、今までにない豪華さで香りました。それは、誰の鼻にもはっきりわかる香り立ちで、わかりやすかったのです。衝撃でしたしニュースになりました。
しかし、天然香料主体の香水の場合は、むしろ、パンチがない、はっきりしない、そして持続性がない香りに戻るわけですから、ニュースにはなりません。
これが香水の進歩や進化といえるかどうか、微妙でもあるのです。
そういうパンチがないものの価値を評価できる人々が増加した事実が大きいのです。またそういう人々は間違いなく増加中です。
ある意味、香水文化の成熟であり、消費者の鑑識眼のレベルが上がったと私は解釈しています。
そして、現在は、ファッションであるはずの香水がいつのまにかアロマテラピーに回帰し寄り添いはじめた時代とも解釈できそうです。
香水はファッションであることもまったく捨てていませんので、幅が広くなったとも言えます。
野望を持って飛び出した息子が、一回り大きく大人になって故郷に帰ってきたような頼もしさ、かもしれません。
(2012-04-23)
自然から離れ、自然に回帰する香水
香水とアロマテラピーは別物。アロマテラピーは香りによる香・薬同源の技。いっぽう香水は人をより魅力的にするファッション。でもやっぱり分けられない?(2012/04/24)
※京成バラ園でのバラ香水セミナーで使用された香料(2011年6月)
「食・薬・香」同源
香水の歴史は、そのまま香料の歴史です。
香料とは香辛料だったり、植物のオイルだったりするのですが、「香料」という言葉がまだなかったころは、香料はたんに食べ物の一部でした。
大昔は医薬品という考え方もなく、薬効がある食品が次第に医薬品へと分化し進化していきました。
香料も同じで食品の中で、香りがよい香辛料やオイルが香料として分化して香料という分野ができあがりました。
アロマテラピーのコンセプト
「食・薬・香」は三位一体の関係。日本の「医食同源」や中国の「薬食同源」というコトバが示すように食品と薬は深い関係にあります。
香りも同じです。
香りも健康のモトになりうるポテンシャルがあります。アロマテラピーは香りと人の健康を追求する学問であり文化や伝統と言えます。
アロマテラピーとは発想がちょっと違う香水
香水の起源は、14世紀の「ハンガリーウォーター」がやや定説気味に語られます。
しかし、ハンガリーウォーターはもともと香水としてではなく「飲まれていた」とか「肌に付けていた」と言われるように薬的な使われ方をされていたようです。
ハンガリーの女王様がハンガリーウォーターで若返ったことから「若返りの水」と言われたとか言われないとかの言い伝えがありますが、どう見ても、ハンガリーウォーターはアロマテラピー的な存在です。
しかし、このハンガリーウォーターが、フランスに渡る頃から、次第にお薬としての効用より、自分を魅力的に見せるためのもの、おしゃれのための小道具としてファッション性を帯びるようになります。
※「体臭を隠すために香水は発展した」という人がいますが、私は否定的です。
ファッションとなると、香りはより華やかに、より持続性が強く、より新規な香りへと要求がエスカレートしていきました。
ナチュラルな天然香料だけだった香水原料は、その進化の課程で次第に様々な成分が採用されるようになります。
そして「医香同源」や「薬香同源」というコンセプトから少し離れた存在へと変貌していきました。
自然から離れ、自然に回帰する香水
化学的に合成されたアルデヒドを大胆に使用した「シャネルNo.5」(1921年)は香水界に衝撃を与えた名香です。
シャネルNo.5は、合成香料のパワーを世界に知らしめた金字塔的存在となりました。以降、香水の原料はケミカルな香料が主流になりました。
それから延々約100年、今でもこの流れは基本的に同じです。しかし、一部の製品には、この数年でトレンドの変化が見受けられます。
「天然香料100%の香水」や「天然香料主体の香水」の出現。つまり、香水の天然回帰現象です。
香水の歴史としては、現在は大きな転換期なのかもしれません。しかし、微妙な転換ですよね。原料だけからすると昔に戻る訳ですから、ニュースにはなりにくい部分です。
シャネルNo.5のときは、今までに存在しない香りが、今までにない豪華さで香りました。それは、誰の鼻にもはっきりわかる香り立ちで、わかりやすかったのです。衝撃でしたしニュースになりました。
しかし、天然香料主体の香水の場合は、むしろ、パンチがない、はっきりしない、そして持続性がない香りに戻るわけですから、ニュースにはなりません。
これが香水の進歩や進化といえるかどうか、微妙でもあるのです。
一回り大人になって帰ってきた香水
そういうパンチがないものの価値を評価できる人々が増加した事実が大きいのです。またそういう人々は間違いなく増加中です。
ある意味、香水文化の成熟であり、消費者の鑑識眼のレベルが上がったと私は解釈しています。
そして、現在は、ファッションであるはずの香水がいつのまにかアロマテラピーに回帰し寄り添いはじめた時代とも解釈できそうです。
香水はファッションであることもまったく捨てていませんので、幅が広くなったとも言えます。
野望を持って飛び出した息子が、一回り大きく大人になって故郷に帰ってきたような頼もしさ、かもしれません。
(2012-04-23)
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