( 香水工場の )
香る生活
ジャスミンの種類
(2013/03/08)
ジャスミンは数百種類あると言われますが香水に利用されるジャスミンはごくわずか、香水とジャスミンの関係を徹底解説(2013/03/08)
東京はコンクリートジャングルなんて言われますが、この大都会にもジャスミンが普通に生えています。いろいろなご家庭の垣根などからはみ出すように咲いているハゴロモジャスミン!珍しくありません。
アジアの熱帯・亜熱帯地域を原産地とするジャスミンは概して東京では生育しにくいようですが、ハゴロモジャスミンは耐寒性があるため東京でもよく生育します。ハゴロモジャスミンは、ジャスミンの一種で香りもそっくりです。
しかし、ハゴロモジャスミンから香料は採れません。というより産業として成立不可能ですので、趣味の人は別ですが、採取している人はいないと思われます。
ジャスミンは夜開花し、香りを出す花です。ハゴロモジャスミンの開花は、私の場合、咲いた花を見つけるよりも先に香りで開花を知る方が多いかもしれません。
夜道、「ゴー」と香りを噴射している感じジャスミンを発見します。4月から5月の夜、毎年、夜道で驚くパターンを繰り返します。
写真は当社社長が、グラースのジャスミン畑におじゃまして花摘みをさせてもらっているところです。といっても遊びです。本当の収穫は、日が昇ると香気が飛びますので、夜が明ける前から始めます。
こんな写真をお見せすると南仏には、まるでジャスミン畑が拡がっているかのような印象を与えますが、実は香料用ジャスミンの栽培は、世界的にはエジプトや北アフリカやインドに移行しており、フランスではもはや通常、農業として成立しません。
フランス特産ともいうべき、かのワイン生産でさえ、南米やオーストラリアに押され苦境に陥りがちな昨今、まして香料植物の栽培が産業として成立できない事情は、先進国共通の構造的問題です。
こちらの畑は、ある大ブランドさんの契約農家さんが運営するジャスミン畑で、ある香水製品のためだけに生産しています。
中国・台湾ではジャスミンティーは有名なお茶の楽しみ方。ジャスミンをお茶にするわけではなく、お茶のフレーバー(味付け)としてジャスミンの花弁が利用されます。
このジャスミンも夜明け前に摘み取り茶葉に混ぜる作業を行うそうです。ジャスミンティーに利用されるお茶の種類は、緑茶・烏龍茶・白茶など。
私は紅茶にもジャスミンの香りは合うと予想しています。アールグレイ(ベルガモットでフレーバーリングした紅茶)は、有名ですが、もしかしたらジャスミンでフレーバーリングしたジャスミン紅茶もイケてるかもと思うのです(チャンスがあればテストします)。
このジャスミンティーに利用されるジャスミンは、主にジャスミンサンバック(Jasminum sambac)。
実は、2013年にリリース予定の新作香水「Jasmine」には、このサンバックの天然香料がやや濃厚に含まれています。ジャスミンティーのジャスミンの印象が強いサンバックですが、香水にも使えるんですよ。
(※この製品関連で「2013年 新作香水「ジャスミン」の顔」を数日前にアップしました。たくさんのレスポンスをいただきました。ありがとうございました。結果はまた別途ご報告したいと思います)
さて、またまた南仏に戻ります。南仏プロバンス地方に位置するグラースと言えば、世界に名の知れた香水の都です。ここは16世紀ごろから皮革製品産業の一大拠点になったのですが、獣皮革の臭い消しのため香料需要が発生し、やがて香料植物栽培が皮革製品の周辺産業として成長します。
それが、やがて香料産業となり、そして18世紀頃から香水産業へと変遷した特殊な都市です。ジャスミンやミモザやラベンダーなど、プロバンスの丘陵が香料植物の栽培に適していたようです。
皮革製品は他の土地でも作れますが、ジャスミンやラベンダーの産地は限られますので。とくにジャスミンは高価な香料資源であり、グラースを香水の都たらしめた一因でした。
このグラースで栽培されていたジャスミンが「コモンジャスミン」と呼ばれる品種です。学名は「Jasminum officinale(オフィキナーレ)」。日本名では「ソケイ」や「シロモッコウ」。
さらに、この品種改良版と推測される「ロイヤルジャスミン」。学名は「Jasminum grandiflorum(グランディフロルム、グランディフローラム)。日本名で「オオバナソケイ」などがメインに栽培されていたと思われます。
現在、グラースには代々パフューマーというご一族のご家庭がたくさんありますが、香水産業も香料産業も、主要産業からは一歩後退といったところでしょうか。
昔ながら中心部の街並みは観光都市となり、周辺一帯はバイオやソフトウェアのハイテク産業都市といった様相を帯びています。
すぐ隣にはカンヌ(数十年前は小さな漁村)があり、日本で言えば、千葉県・幕張のよるなイベント開催都市といったイメージも獲得しつつあるように思います。
プロバンスの丘陵を埋め尽くしたミモザやジャスミンは、もはや珍しい光景になりつつあります。
ジャスミンの植物学的な分類や見分け方について正直、私は詳しくありません。インターネットで調査すると、いろんな人が勝手な情報を載せているようで、よくわからなくなります。
自分自身の体験と英語圏のWikipediaの記事を中心とした情報で整理します。正しくなかっただゴメンナサイ。
●コモンジャスミン
・学名 → Jasminum officinale(ヤスミナム・オフィキナーレ)
・英語名 → Common Jasmine(コモンジャスミン)
・日本名 → ソケイ、シロモッコウ
・特徴 → 普通に「ジャスミン」と呼ぶとき、一般にこのジャスミンを指す
●ロイヤルジャスミン
・学名 → Jasminum grandiflorum(ヤスミヌム・グランディフロル、ジャスミン・グランディフローラム)
・英語名 → Royal Jasmine、Spanish Jasmine(ロイヤルジャスミン、スパニッシュジャスミン)
・日本名 → オオバナソケイ
・特徴 → 花が大きい、フランスなどで香料用に栽培されているジャスミン
●ジャスミンサンバック
・学名 → Jasminum sambac(ヤスミヌム・サンバック)
・英語名 → Arabian Jasmine(アラビアジャスミン)
・日本名 → 茉莉花(マツリカ、マリカ)
・特徴 → ジャスミン茶に使用
※他に数百種類のジャスミンがありますが、香水稿料として利用される品種は、ほぼ上記3種類です。
※2008年の古い記事ですが、ジャスミン香水を語るなら・・・暗いときこそ、豪華な香水で!・・・香水マーケティング
(2013-03-08)
ジャスミンは数百種類あると言われますが香水に利用されるジャスミンはごくわずか、香水とジャスミンの関係を徹底解説(2013/03/08)
ジャスミン香る東京
東京はコンクリートジャングルなんて言われますが、この大都会にもジャスミンが普通に生えています。いろいろなご家庭の垣根などからはみ出すように咲いているハゴロモジャスミン!珍しくありません。
アジアの熱帯・亜熱帯地域を原産地とするジャスミンは概して東京では生育しにくいようですが、ハゴロモジャスミンは耐寒性があるため東京でもよく生育します。ハゴロモジャスミンは、ジャスミンの一種で香りもそっくりです。
しかし、ハゴロモジャスミンから香料は採れません。というより産業として成立不可能ですので、趣味の人は別ですが、採取している人はいないと思われます。
「ゴー」と香りを噴射するジャスミン
ジャスミンは夜開花し、香りを出す花です。ハゴロモジャスミンの開花は、私の場合、咲いた花を見つけるよりも先に香りで開花を知る方が多いかもしれません。
夜道、「ゴー」と香りを噴射している感じジャスミンを発見します。4月から5月の夜、毎年、夜道で驚くパターンを繰り返します。
南仏ジャスミン畑
写真は当社社長が、グラースのジャスミン畑におじゃまして花摘みをさせてもらっているところです。といっても遊びです。本当の収穫は、日が昇ると香気が飛びますので、夜が明ける前から始めます。
こんな写真をお見せすると南仏には、まるでジャスミン畑が拡がっているかのような印象を与えますが、実は香料用ジャスミンの栽培は、世界的にはエジプトや北アフリカやインドに移行しており、フランスではもはや通常、農業として成立しません。
フランス特産ともいうべき、かのワイン生産でさえ、南米やオーストラリアに押され苦境に陥りがちな昨今、まして香料植物の栽培が産業として成立できない事情は、先進国共通の構造的問題です。
こちらの畑は、ある大ブランドさんの契約農家さんが運営するジャスミン畑で、ある香水製品のためだけに生産しています。
ジャスミンティーのジャスミン(サンバック)
中国・台湾ではジャスミンティーは有名なお茶の楽しみ方。ジャスミンをお茶にするわけではなく、お茶のフレーバー(味付け)としてジャスミンの花弁が利用されます。
このジャスミンも夜明け前に摘み取り茶葉に混ぜる作業を行うそうです。ジャスミンティーに利用されるお茶の種類は、緑茶・烏龍茶・白茶など。
私は紅茶にもジャスミンの香りは合うと予想しています。アールグレイ(ベルガモットでフレーバーリングした紅茶)は、有名ですが、もしかしたらジャスミンでフレーバーリングしたジャスミン紅茶もイケてるかもと思うのです(チャンスがあればテストします)。
このジャスミンティーに利用されるジャスミンは、主にジャスミンサンバック(Jasminum sambac)。
実は、2013年にリリース予定の新作香水「Jasmine」には、このサンバックの天然香料がやや濃厚に含まれています。ジャスミンティーのジャスミンの印象が強いサンバックですが、香水にも使えるんですよ。
(※この製品関連で「2013年 新作香水「ジャスミン」の顔」を数日前にアップしました。たくさんのレスポンスをいただきました。ありがとうございました。結果はまた別途ご報告したいと思います)
香水の都グラースを支えたジャスミン(コモンジャスミン)
さて、またまた南仏に戻ります。南仏プロバンス地方に位置するグラースと言えば、世界に名の知れた香水の都です。ここは16世紀ごろから皮革製品産業の一大拠点になったのですが、獣皮革の臭い消しのため香料需要が発生し、やがて香料植物栽培が皮革製品の周辺産業として成長します。
それが、やがて香料産業となり、そして18世紀頃から香水産業へと変遷した特殊な都市です。ジャスミンやミモザやラベンダーなど、プロバンスの丘陵が香料植物の栽培に適していたようです。
グラースのジャスミン事情
皮革製品は他の土地でも作れますが、ジャスミンやラベンダーの産地は限られますので。とくにジャスミンは高価な香料資源であり、グラースを香水の都たらしめた一因でした。
このグラースで栽培されていたジャスミンが「コモンジャスミン」と呼ばれる品種です。学名は「Jasminum officinale(オフィキナーレ)」。日本名では「ソケイ」や「シロモッコウ」。
さらに、この品種改良版と推測される「ロイヤルジャスミン」。学名は「Jasminum grandiflorum(グランディフロルム、グランディフローラム)。日本名で「オオバナソケイ」などがメインに栽培されていたと思われます。
現在のグラース
現在、グラースには代々パフューマーというご一族のご家庭がたくさんありますが、香水産業も香料産業も、主要産業からは一歩後退といったところでしょうか。
昔ながら中心部の街並みは観光都市となり、周辺一帯はバイオやソフトウェアのハイテク産業都市といった様相を帯びています。
すぐ隣にはカンヌ(数十年前は小さな漁村)があり、日本で言えば、千葉県・幕張のよるなイベント開催都市といったイメージも獲得しつつあるように思います。
プロバンスの丘陵を埋め尽くしたミモザやジャスミンは、もはや珍しい光景になりつつあります。
ジャスミンの種類
ジャスミンの植物学的な分類や見分け方について正直、私は詳しくありません。インターネットで調査すると、いろんな人が勝手な情報を載せているようで、よくわからなくなります。
自分自身の体験と英語圏のWikipediaの記事を中心とした情報で整理します。正しくなかっただゴメンナサイ。
●コモンジャスミン
・学名 → Jasminum officinale(ヤスミナム・オフィキナーレ)
・英語名 → Common Jasmine(コモンジャスミン)
・日本名 → ソケイ、シロモッコウ
・特徴 → 普通に「ジャスミン」と呼ぶとき、一般にこのジャスミンを指す
●ロイヤルジャスミン
・学名 → Jasminum grandiflorum(ヤスミヌム・グランディフロル、ジャスミン・グランディフローラム)
・英語名 → Royal Jasmine、Spanish Jasmine(ロイヤルジャスミン、スパニッシュジャスミン)
・日本名 → オオバナソケイ
・特徴 → 花が大きい、フランスなどで香料用に栽培されているジャスミン
●ジャスミンサンバック
・学名 → Jasminum sambac(ヤスミヌム・サンバック)
・英語名 → Arabian Jasmine(アラビアジャスミン)
・日本名 → 茉莉花(マツリカ、マリカ)
・特徴 → ジャスミン茶に使用
※他に数百種類のジャスミンがありますが、香水稿料として利用される品種は、ほぼ上記3種類です。
※2008年の古い記事ですが、ジャスミン香水を語るなら・・・暗いときこそ、豪華な香水で!・・・香水マーケティング
(2013-03-08)
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