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( 香水工場の )

香る生活


2014年のダマスクローズ、バラ蒸留所からの最新情報
(2014/07/30)

今年のダマスクローズの出来映えはいかに? ブルガリアの最新バラ・レポートをお届けします(2014/07/30)

ブルガリア・ダマスクローズ
Photo by NatureBase AD Bulgaria
(ダマスクローズ、香水やスキンケアの原料となるローズは、その豪華な香りの割に、見た目は素朴でわかいい花)



バラの国・ブルガリアは遠い


ピュアなダマスクローズは、香水とスキンケアの制作に欠かせない原料。とくにコンシンのジェルは、ローズオイルの品質が、そのまま素直にでてしまうため、毎年5月になると「バラの生育状況は?」と気持ちがそわそわします。

見に行けばいいのですが、ブルガリアは遠い。直行便がないためヨーロッパの主要都市から乗り継ぎます。乗り継ぎ待ち時間入れて、だいたい20時間くらいでしょうか。お金もかかる、体力もいる。出不精の国分のために、今年もブルガリアのお取引先からリアルな最新ダマスクローズ生育情報が届きました


少量しか作らないダマスクローズのスキンケア


コンシンのジェル」はスキンケア、いわゆるオールインワン・タイプのジェルですが、ローズオイルを成分無調整で配合している点がウリです。

そのわかり、その年のローズのできばえで香りが微妙に変化する弱点もあります。「天然物なので・・・」という言い訳は化粧品の場合、なかなか理解してもらえません。

毎年お買い上げいただいているお客様は、多くの方がそういう部分も含めてご愛用いただいていますが、中には、ある年の香りが気に入り、次の年のロットで香りの弱さを指摘されるケースもそれなりにあります。去って行かれる方も、事情を納得してご愛用いただく方もいろいろです。

製品の香りにブレが生じるようでは、大量生産(マス・プロダクション)にまったく不向き。そのため毎年少量しか生産しません。

こんな製品を大量販売(マス・マーケティング)したら、もはや問い合わせやクレーム対応だけでサポートチームも憔悴しそうです。コンシンのジェルは、今後も少量しか作らない・少量しか売らないと決めている製品です。


2014年、ブルガリア・ローズの生育状況


去年、ブルガリア・ダマスクローズは不作でした。ブルガリア・ダマスクローズの出来映えは?(2013)にて詳細をお伝えしました。一言で言えば「2013年4月は、この60年で最高の気温を記録した」がすべてを物語ります。

暑すぎるとバラの生育にも影響ありますが、なんと言っても香気成分が揮発しやすくなる点、さらに一斉に咲いて、短い間に萎れるため収穫期間が間に合わないことです。ブルガリアも年々暑くなってきています。その影響は、収穫量と品質に及びがちです。

今年は、去年よりよいコンディションが続いていました。気になる点はダマスクローズの発蕾(はつらい)が4月2日に始まったこと。お取引先の社長さんによると「22年間、ローズビジネスをやっているが、こんなに早くつぼみがでてきたことは今までなかった」とのこと。やはり、温暖化の影響かと思われます。



温暖化なのに長雨と低温の日々


しかし、4月に入ると雨が続きました。現地の人も「こんなにひどく長い期間降り続いた雨は見たことがない」。「洪水のような雨」。実際いくつかの家々が流され、おぼれて亡くなる犠牲者もでています。

また4月以降、夜間は5-6度という低温になる日が続きました。たとえば、5度とは東京の真冬の日中温度。あるいは、冷蔵庫の中の温度といえばイメージしやすいでしょうか。4月のブルガリアとしては、考えられないくらいの寒さです。


ローズ成分に異変あり(うれしいことと心配なこと)


結果的に、今まで体験したこともないくらい早い収穫を予想しながら、バラの摘み取りは5月上旬、と例年通りのスタートとなりました。しかし、異常気象のために、オイルの成分構成は例年と違うものになったそうです。

一つ目は、寒さで香気成分が失われなかったため例年以上の採油率だったこと(これはうれしいことです)。

二つ目は、香気成分のうちステアロプテンが増加して、シトロネロールが減少したこと。

この意味は、おそらくワックス成分が多いため、当社にとっては年末にリリースするオードパルファム「ローズの贈り物」に若干の影響がありそうです。エタノールに溶けにくくなると予想されます。コンシンのジェルへの影響は不明です。モノが来てジェルに練り込んだ後、結果がわかるはずです。



ローズオイルの到着は8月末


ダマスクローズの摘み取りも終わり、蒸留作業も終わりました。しばし、ローズオイルたちはガラス瓶の中で成熟の時を待ち、世界中へと出荷されていきます。すでに出荷は始まっていますが、当社に入ってくるのは8月末。楽しみです。

ブルガリアでは摘み取りの後にバラ祭りが催されますが、当社ではローズオイル入荷度に「今年のローズ、スメリング大会」なる社内イベントがあります。よくても悪くてもこれが今年のローズ。スタッフ全員で香りを味わい、感謝の祝杯を挙げたいと思います。



(2014-07-30)
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