( 香水工場の )
香る生活
山の花はニオイもパワフル
マーガレットやニセアカシアの香り (2023/06/21)
( 山道の脇で咲き乱れていたマーガレット、その臭さは本物だった、山は生き物を強くする )
だいぶん前の話ですが、岐阜県にカモミール(カミツレ)を見に行ったことがあります。
日本では珍しいカモミールの広大な畑があるのだ。
遠くから畑に近づいていくと風の中に混じるカモミールの香りの妖艶なこと!すばらしい体験だった。
しかし、カモミールは肥料を大食いするハーブらしくパワーを与えるには「鶏糞がいい」と栽培農家さんはおしゃっていた。
実際、畑には大量の鶏糞が投下されていた。
だから畑まで来るとカモミールの香りの妖艶さにプラスして鶏糞の香りの妖艶さが共存して、なんというかカオスな雰囲気だった。
これはバラにも言えることで、美しい凛とした立派な花を咲かせるためには肥料として馬糞や牛糞がよいらしい。
世界的なローズナーセリーとして有名な千葉県の京成バラ園さんは、なぜそこにあるかといえば、ナーセリー開業当初、周辺一帯には馬を飼っている農家さんが点在しており、馬糞の調達が容易だったためと聞いた。
「あの美しいバラも糞尿あっての美しさ」と妙に納得する話ではないか。
カモミールの香りに戻るが、糞尿肥料を与えなくともカモミールの花にはもともと微妙に糞尿の香りが含まれている。
行きすぎるとたんに糞尿臭だが、微妙に香るから魅力的だ。
幻滅しないでほしい、香り高い花には糞尿臭はけっこう混ざっているもの、たとえば、香りの女王と評されるジャスミンにも糞尿臭のインドールやスカトールが含まれる。
(だから、香水にもインドールやスカトールを微量入れることがある、ちなみに香水に使うそれらは糞尿由来ではないので安心してほしい)
これは岐阜県にカモミールを見に行く数日前の話。
自宅近く歩いていると道端で自生しているマーガレットを見て「カモミールに似ている」と思った。
そのころはまだ香水の勉強もまったく不足しているころで、マーガレットの花を見て形状から「カモミール拡大版の花」に見えた。
で、もしや「香りも似ている?」とススっと近づき鼻を寄せると
と心中叫んだ。
植物の場合、花の形状は似ていても香りは無関係という法則を学んだのである。
それ以降、マーガレットが咲いていても香りをかぐことはあまりしなくなった。
今回、岩手県・仙台・山形を旅行してきた。
一番の目的は私用だったが、ついでに香りものを求めて現地の山野をさまよい花や植物の香りを確かめ、ウイスキー蒸留所を回った。
今日の記事は岩手県和賀郡という山間部にある温泉地での話。
最寄りの駅は「JRほっとゆだ」。宿の近くを散策して見つけたのがマーガレットだった。
あたり一面を埋め尽くすばかりの咲きっぷり、元気だ。
あの臭さは健在か?とそっと鼻を近づけると
ニオイは東京のマーガレットよりかなりパワフルだ。
やはり山は生き物を強く元気にしてくれるのだろう。
毎年5月~6月初旬にかけて東北から北海道では自生しているニセアカシア(ハリエンジュ)の花を見ることができる。
「ニセアカシア」は通称「アカシア」と呼ばれハチミツの蜜源の花として有名。
東京にもはたと気づくとニセアカシアが自生しているが、東北と比較すると圧倒的に少ない。
岩手県和賀郡に入ったのは6月10日、ニセアカシアの花も終わりの頃で、花びらがサクラのように道路を埋めていたが、かろうじて咲き残っている樹木があったので、なんとか下の方の枝を引き寄せて香りを嗅いだ。
( ニセアカシアの花はたいてい自分の身長より高いところにあるので、かろうじて手が届く枝を引き下ろして香りを嗅ぐ。これが花ドロボーみたいで微妙ではある )
とてもニセアカシアらしい香りだった・・シトラスのようなフレッシュ感がトップにあり、ボディはパウダリックな甘い香りで、ややレトロな雰囲気に包まれていた。
フジの花の香りに似ていると言えば近いかもしれないが、フジより甘さ控えめで爽やかさやや増しといった印象・・当社は一時期、香水『アカシア』を製造し販売していたが、今は廃盤となっている。
ニセアカシアの香りを見るためにだいぶん前、秋田県小坂町という町に調査に行ったことがあるが、夕暮れ時、ホテル一帯がニセアカシアの香りに包まれていた記憶が蘇った。
( ニセアカシアは街路樹としても美しい物語性を感じさせる樹木だが、旺盛な繁殖力のため日本の在来植物を脅かす傾向があるとか・・ )
(2023-06-21)
( 山道の脇で咲き乱れていたマーガレット、その臭さは本物だった、山は生き物を強くする )
カモミールの香り
だいぶん前の話ですが、岐阜県にカモミール(カミツレ)を見に行ったことがあります。
日本では珍しいカモミールの広大な畑があるのだ。
遠くから畑に近づいていくと風の中に混じるカモミールの香りの妖艶なこと!すばらしい体験だった。
しかし、カモミールは肥料を大食いするハーブらしくパワーを与えるには「鶏糞がいい」と栽培農家さんはおしゃっていた。
実際、畑には大量の鶏糞が投下されていた。
だから畑まで来るとカモミールの香りの妖艶さにプラスして鶏糞の香りの妖艶さが共存して、なんというかカオスな雰囲気だった。
花の香りと糞尿の香り
これはバラにも言えることで、美しい凛とした立派な花を咲かせるためには肥料として馬糞や牛糞がよいらしい。
世界的なローズナーセリーとして有名な千葉県の京成バラ園さんは、なぜそこにあるかといえば、ナーセリー開業当初、周辺一帯には馬を飼っている農家さんが点在しており、馬糞の調達が容易だったためと聞いた。
「あの美しいバラも糞尿あっての美しさ」と妙に納得する話ではないか。
カモミールの香りに戻るが、糞尿肥料を与えなくともカモミールの花にはもともと微妙に糞尿の香りが含まれている。
行きすぎるとたんに糞尿臭だが、微妙に香るから魅力的だ。
幻滅しないでほしい、香り高い花には糞尿臭はけっこう混ざっているもの、たとえば、香りの女王と評されるジャスミンにも糞尿臭のインドールやスカトールが含まれる。
(だから、香水にもインドールやスカトールを微量入れることがある、ちなみに香水に使うそれらは糞尿由来ではないので安心してほしい)
マーガレットのニオイ
これは岐阜県にカモミールを見に行く数日前の話。
自宅近く歩いていると道端で自生しているマーガレットを見て「カモミールに似ている」と思った。
そのころはまだ香水の勉強もまったく不足しているころで、マーガレットの花を見て形状から「カモミール拡大版の花」に見えた。
で、もしや「香りも似ている?」とススっと近づき鼻を寄せると
クサ!
と心中叫んだ。
植物の場合、花の形状は似ていても香りは無関係という法則を学んだのである。
それ以降、マーガレットが咲いていても香りをかぐことはあまりしなくなった。
山のマーガレットのニオイ
今回、岩手県・仙台・山形を旅行してきた。
一番の目的は私用だったが、ついでに香りものを求めて現地の山野をさまよい花や植物の香りを確かめ、ウイスキー蒸留所を回った。
今日の記事は岩手県和賀郡という山間部にある温泉地での話。
最寄りの駅は「JRほっとゆだ」。宿の近くを散策して見つけたのがマーガレットだった。
あたり一面を埋め尽くすばかりの咲きっぷり、元気だ。
あの臭さは健在か?とそっと鼻を近づけると
クサ~~!
ニオイは東京のマーガレットよりかなりパワフルだ。
やはり山は生き物を強く元気にしてくれるのだろう。
ニセアカシアの香り
毎年5月~6月初旬にかけて東北から北海道では自生しているニセアカシア(ハリエンジュ)の花を見ることができる。
「ニセアカシア」は通称「アカシア」と呼ばれハチミツの蜜源の花として有名。
東京にもはたと気づくとニセアカシアが自生しているが、東北と比較すると圧倒的に少ない。
岩手県和賀郡に入ったのは6月10日、ニセアカシアの花も終わりの頃で、花びらがサクラのように道路を埋めていたが、かろうじて咲き残っている樹木があったので、なんとか下の方の枝を引き寄せて香りを嗅いだ。
( ニセアカシアの花はたいてい自分の身長より高いところにあるので、かろうじて手が届く枝を引き下ろして香りを嗅ぐ。これが花ドロボーみたいで微妙ではある )
とてもニセアカシアらしい香りだった・・シトラスのようなフレッシュ感がトップにあり、ボディはパウダリックな甘い香りで、ややレトロな雰囲気に包まれていた。
フジの花の香りに似ていると言えば近いかもしれないが、フジより甘さ控えめで爽やかさやや増しといった印象・・当社は一時期、香水『アカシア』を製造し販売していたが、今は廃盤となっている。
ニセアカシアの香りを見るためにだいぶん前、秋田県小坂町という町に調査に行ったことがあるが、夕暮れ時、ホテル一帯がニセアカシアの香りに包まれていた記憶が蘇った。
( ニセアカシアは街路樹としても美しい物語性を感じさせる樹木だが、旺盛な繁殖力のため日本の在来植物を脅かす傾向があるとか・・ )
(2023-06-21)
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