( 香水工場の )
香る生活
ショップ拝見「金熊香水」
(きんくま・こうすい)・・他社さんの話ですが、興味深かったのでご紹介(2024/05/29)
( 金熊香水さんのサイトより )
4月中旬、八ヶ岳山麓にある「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」という施設へ。
このリゾート内のメインストリートに香水ショップを出店するというメールをもらったので視察に行ってきました。
メールをくれたのは株式会社ピノーレさん。「ニッチフレグランス」や「メゾンフレグランス」といったカテゴリーに入る新興香水ブランド。
大資本でなくかつ独立系という点がニッチフレグランスの特徴。
(その点では当社もニッチフレグランスか・・)
こちらの社長さんとは20年近い知り合いで、今となってはどうやって知り合ったのか思い出せないほど。
ピノーレさんは自社ブランドからスタートしたものの他社ブランドの製品開発(OEM香水)も多く手がける。
日本の多くのニッチフレグランスを顧客として抱える縁の下の力持ち的存在。
東京周辺の人間にとって「八ヶ岳」と聞けば、「なんか遠い感じの山」という印象でしょうか?・・しかし東京でもとくに新宿より西の中央線沿線の人間には乗り換えなしで行ける案外行きやすい本格的な山岳エリア。
中央本線『小淵沢駅』(こぶちざわ)という駅がリゾナーレ八ヶ岳の最寄り駅で、当社に近い『立川駅』から特急で1時間半。
今回久しぶりに小淵沢駅に降りた。駅前ロータリーで迎えを待っていると目の前には山頂に雪を残す甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)の雄姿が迫っており完全に旅行気分。
( 甲斐駒ヶ岳・・うっとりする美しさ )
ピノーレさんが今回リリースした商品兼ブランド名が『金熊香水』(きんくまこうすい)。特徴は "ベース" と呼ばれる複数の香水を自分で混ぜ合わせて作るタイプの製品。
ベースは18種類。この中から数種類をチョイスして自分の好みにブレンドしてオリジナルの香水を作ることがコンセプト。香水作りは主にショップで行うことを想定している。
調香師(パフューマー)のように単品香料を組み上げて香水を作ることは初心者にはムリだが、ある程度できている調合済みの原料を混ぜ合わせる作り方なら初心者でもできる。
それゆえ金熊香水では、ショップは香水を買う場所というより、自分のオリジナル香水を作るための施設・ラボの位置づけである。
ショップにはスタッフが常駐しており調合方法はアドバイスしてもらえる。
近年オーダーメイドで香水を作る通販型サービスも増えているが、実際にショップに出向きベース香水を実際にいろいろ試して作る課程があることは金熊香水の強みに見える。
リゾナーレ八ヶ岳に宿泊するお客さんが親子で来店するケースが多いようである。香水作りは子供にはレアな体験であり、大人にもワクワク感があるイベントではなかろうか。
ベースをもとにオリジナル香水を作るというアイデアは理にかなっている・・というのは当社は京成バラ園さんで10年以上、定期的に「香水作りセミナー」を開催していたのでオリジナル香水作りの楽しさや出来映え具合の程度はだいたい察しが付く。
はっきり言って、かなり楽しい! そして自分の香りに満足される方がほとんど、ということ。
当社のセミナーでは単品香料とある程度できている調合香料12種類(金熊香水で言うところの「ベース」に当たる)からチョイスする方式を採用していた。
ピノーレさんからこの金熊香水の構想を10年以上前に聞いたとき(当時「金熊香水」という名称はまだ生まれていなかった)、ベース開発の困難さを危惧した。
フランスや日本の調香師さんに相談したが、香水業界では消費者が自分でブレンドするという行為に対して否定的である専門家が多い。
そのためベース開発は難航しただろう。大手原料メーカーさんや著名な調香師(パフューマー)さんの協力があってついに完成した。よかった。
ショップを体験型ラボにするというアイデアは、アクティビティ重視のリゾナーレ八ヶ岳さんの思惑にぴたりと合致して、話をはじめるとあっという間に出店となったらしい。
そして今回、私も視察に来たが、驚いたことは店舗の一部エリアに対して化粧品製造業ライセンスを取得していたこと。
化粧品は、自分で使う手作り化粧品は別として販売目的の場合、政府による許可制。その化粧品製造業ライセンスの取得って大変なのだ。
化粧品工場ならそれを前提に建設するのでそれなりの設備があって当たり前だが、なんせ店舗は化粧品ライセンスなど前提に設計されていない。
店舗内を壁で仕切り、排水設備を組み直し、更衣室・保管庫・電気設備・換気設備のやり直しなど「いくら投資したん!」と心中叫んだが、彼らの本気度を見させてもらった。
今後「自分で作るオリジナル香水」が市場を拡大させるのかどうかわからないが、競合は増えてきそうと予想している。
こういう新しいコンセプトの製品によって香水業界にまた一つ新しい活気が灯る。ピノーレさんの成功を祈りたい。
(2024-05-29)
( 金熊香水さんのサイトより )
事の発端
4月中旬、八ヶ岳山麓にある「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」という施設へ。
このリゾート内のメインストリートに香水ショップを出店するというメールをもらったので視察に行ってきました。
ニッチフレグランス
メールをくれたのは株式会社ピノーレさん。「ニッチフレグランス」や「メゾンフレグランス」といったカテゴリーに入る新興香水ブランド。
大資本でなくかつ独立系という点がニッチフレグランスの特徴。
(その点では当社もニッチフレグランスか・・)
こちらの社長さんとは20年近い知り合いで、今となってはどうやって知り合ったのか思い出せないほど。
ピノーレさんは自社ブランドからスタートしたものの他社ブランドの製品開発(OEM香水)も多く手がける。
日本の多くのニッチフレグランスを顧客として抱える縁の下の力持ち的存在。
八ヶ岳
東京周辺の人間にとって「八ヶ岳」と聞けば、「なんか遠い感じの山」という印象でしょうか?・・しかし東京でもとくに新宿より西の中央線沿線の人間には乗り換えなしで行ける案外行きやすい本格的な山岳エリア。
中央本線『小淵沢駅』(こぶちざわ)という駅がリゾナーレ八ヶ岳の最寄り駅で、当社に近い『立川駅』から特急で1時間半。
今回久しぶりに小淵沢駅に降りた。駅前ロータリーで迎えを待っていると目の前には山頂に雪を残す甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)の雄姿が迫っており完全に旅行気分。
( 甲斐駒ヶ岳・・うっとりする美しさ )
金熊香水
ピノーレさんが今回リリースした商品兼ブランド名が『金熊香水』(きんくまこうすい)。特徴は "ベース" と呼ばれる複数の香水を自分で混ぜ合わせて作るタイプの製品。
ベースは18種類。この中から数種類をチョイスして自分の好みにブレンドしてオリジナルの香水を作ることがコンセプト。香水作りは主にショップで行うことを想定している。
調香師(パフューマー)のように単品香料を組み上げて香水を作ることは初心者にはムリだが、ある程度できている調合済みの原料を混ぜ合わせる作り方なら初心者でもできる。
それゆえ金熊香水では、ショップは香水を買う場所というより、自分のオリジナル香水を作るための施設・ラボの位置づけである。
ショップにはスタッフが常駐しており調合方法はアドバイスしてもらえる。
想い出作り
近年オーダーメイドで香水を作る通販型サービスも増えているが、実際にショップに出向きベース香水を実際にいろいろ試して作る課程があることは金熊香水の強みに見える。
リゾナーレ八ヶ岳に宿泊するお客さんが親子で来店するケースが多いようである。香水作りは子供にはレアな体験であり、大人にもワクワク感があるイベントではなかろうか。
ベースをもとにオリジナル香水を作るというアイデアは理にかなっている・・というのは当社は京成バラ園さんで10年以上、定期的に「香水作りセミナー」を開催していたのでオリジナル香水作りの楽しさや出来映え具合の程度はだいたい察しが付く。
はっきり言って、かなり楽しい! そして自分の香りに満足される方がほとんど、ということ。
当社のセミナーでは単品香料とある程度できている調合香料12種類(金熊香水で言うところの「ベース」に当たる)からチョイスする方式を採用していた。
10年以上の構想
ピノーレさんからこの金熊香水の構想を10年以上前に聞いたとき(当時「金熊香水」という名称はまだ生まれていなかった)、ベース開発の困難さを危惧した。
フランスや日本の調香師さんに相談したが、香水業界では消費者が自分でブレンドするという行為に対して否定的である専門家が多い。
そのためベース開発は難航しただろう。大手原料メーカーさんや著名な調香師(パフューマー)さんの協力があってついに完成した。よかった。
ショップ初訪問
ショップを体験型ラボにするというアイデアは、アクティビティ重視のリゾナーレ八ヶ岳さんの思惑にぴたりと合致して、話をはじめるとあっという間に出店となったらしい。
そして今回、私も視察に来たが、驚いたことは店舗の一部エリアに対して化粧品製造業ライセンスを取得していたこと。
化粧品は、自分で使う手作り化粧品は別として販売目的の場合、政府による許可制。その化粧品製造業ライセンスの取得って大変なのだ。
化粧品工場ならそれを前提に建設するのでそれなりの設備があって当たり前だが、なんせ店舗は化粧品ライセンスなど前提に設計されていない。
店舗内を壁で仕切り、排水設備を組み直し、更衣室・保管庫・電気設備・換気設備のやり直しなど「いくら投資したん!」と心中叫んだが、彼らの本気度を見させてもらった。
香水業界の活性化につながりそう
今後「自分で作るオリジナル香水」が市場を拡大させるのかどうかわからないが、競合は増えてきそうと予想している。
こういう新しいコンセプトの製品によって香水業界にまた一つ新しい活気が灯る。ピノーレさんの成功を祈りたい。
(2024-05-29)
< 北海道・知床に行ってきた話 || もうすぐ30周年! >
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