( 香水工場の )
香る生活
厳しいEUの香料規制
とっても厳しい香料のEU規制、EUは一歩先か?それとも政治的なイニシアティブ?
香水の原料となる香料。香料の中には、昔のムスクのように危険な原料もあります。そこで危険な原料の使用を自主的に規制しようと考え出された仕組みと機関がRIFMとIFRAです。
・RIFM:リムフ。Research Institute for Fragrance Materials。香料の安全性を評価するための研究機関。世界の主要な香料会社などが加盟するNPO。
1966年米国ニュージャージー設立。日本の香料会社(長谷川香料、曽田香料、小川香料など)さんも正会員として参加。
・IFRA:イフラ。International Fragrance Association。RIFMの評価データを元に使用基準や規制を作成。世界の主要な香料会社などが加盟するNPO。1973年ジュネーブ設立。(Regular Members = FIRMENICH,GIVAUDAN,IFF. ROBERTET,SYMRISE,TAKASAGO)
政府による公的機関の規制が始まる前に「自主規制」という形態で自らの製品を律する考え方は大変先進的で香水・香料にとって輝かしい歴史になると思います。
現在、世界のほぼすべての国の香料規制は事実上IFRAが発行する「IFRAスタンダード」に準拠しており政府などによる公的機関の規制は後追いの形態となっています。
「自主規制」のメリットは、いろいろあると思いますが、その一つに「行政による過剰な介入を防ぐこと」が挙げられます。
お役所や行政は面倒が大嫌い。多少なりともトラブルの元になるものはあらかじめ規制しようとするのはどこの国も同じです。
たとえば、公園のブランコで子供がケガすれば、即市内すべての公園で「安全のために」ブランコ使用禁止、公営プールで溺れる子がでるとすべてのプールが立入禁止。
もっともな名分ですが、実質誰のための安全策か疑問も湧きます。
ところで、EU(欧州連合)には、IFRAスタンダードを超える規制があります。
「Cosmetics Directive (76/768/EEC)」。コスメティックス・ディレクティブ。「化粧品指令」と訳されることが多いようです。
日本では馴染みがありませんが、ヨーロッパで製造・販売される化粧品が準拠すべき規制です。
ヨーロッパで化粧品を販売するには日本製であろうと米国産であろうとコスメティックス・ディレクティブに準拠しなければ持ち込めません。
コスメティックス・ディレクティブ(76/768/EEC)では、香料に関し26種の香料をアレルギー物質(発ガン性、変異原性、生殖毒性を含む)として表示する義務があります(日本や米国では表示義務はない)。
そのアレルギー物質が配合成分なのか不純物なのか天然由来微量成分なのかも特定し肌への残留濃度に応じて表示義務の有無が違ってくるという厳しいさです。
コスメティックス・ディレクティブのAnnex?・Annex?にはそれぞれ使用禁止物質・使用制限物質が記載されています。
コスメティックス・ディレクティブは2003年に改正され強化されました。
そのとき、フランスの香料業界のお偉いさんがそのあまりの厳しさに「もう香水は作れない」や「規制は人体の安全問題ではなく政治問題」(EU内の各国の政治的駆け引き)といったことを発言されていたのが印象的でした。
しかし、EUは今後もさらに様々な規制を強化する方向です。化粧品成分だけでなく、プラスティック・金属の規制や地球温暖化対策のイニシアチブを取ろうとしている動きを感じさせます。
「安全」という大義名分の名の下に進められる規制。その真意は単純ではなく、また意見が分かれるところですが、少なくとも、現状リスクが高いイメージがある中国製品のEU内への無制限な流入を阻止するには今のところ有効かもしれません。
(2007-07-06)
香水の原料となる香料。香料の中には、昔のムスクのように危険な原料もあります。そこで危険な原料の使用を自主的に規制しようと考え出された仕組みと機関がRIFMとIFRAです。
RIFMとIFRA
・RIFM:リムフ。Research Institute for Fragrance Materials。香料の安全性を評価するための研究機関。世界の主要な香料会社などが加盟するNPO。
1966年米国ニュージャージー設立。日本の香料会社(長谷川香料、曽田香料、小川香料など)さんも正会員として参加。
・IFRA:イフラ。International Fragrance Association。RIFMの評価データを元に使用基準や規制を作成。世界の主要な香料会社などが加盟するNPO。1973年ジュネーブ設立。(Regular Members = FIRMENICH,GIVAUDAN,IFF. ROBERTET,SYMRISE,TAKASAGO)
自主規制という考え方
政府による公的機関の規制が始まる前に「自主規制」という形態で自らの製品を律する考え方は大変先進的で香水・香料にとって輝かしい歴史になると思います。
現在、世界のほぼすべての国の香料規制は事実上IFRAが発行する「IFRAスタンダード」に準拠しており政府などによる公的機関の規制は後追いの形態となっています。
「自主規制」のメリットは、いろいろあると思いますが、その一つに「行政による過剰な介入を防ぐこと」が挙げられます。
お役所や行政は面倒が大嫌い。多少なりともトラブルの元になるものはあらかじめ規制しようとするのはどこの国も同じです。
たとえば、公園のブランコで子供がケガすれば、即市内すべての公園で「安全のために」ブランコ使用禁止、公営プールで溺れる子がでるとすべてのプールが立入禁止。
もっともな名分ですが、実質誰のための安全策か疑問も湧きます。
EU化粧品指令
ところで、EU(欧州連合)には、IFRAスタンダードを超える規制があります。
「Cosmetics Directive (76/768/EEC)」。コスメティックス・ディレクティブ。「化粧品指令」と訳されることが多いようです。
日本では馴染みがありませんが、ヨーロッパで製造・販売される化粧品が準拠すべき規制です。
ヨーロッパで化粧品を販売するには日本製であろうと米国産であろうとコスメティックス・ディレクティブに準拠しなければ持ち込めません。
コスメティックス・ディレクティブ(76/768/EEC)では、香料に関し26種の香料をアレルギー物質(発ガン性、変異原性、生殖毒性を含む)として表示する義務があります(日本や米国では表示義務はない)。
そのアレルギー物質が配合成分なのか不純物なのか天然由来微量成分なのかも特定し肌への残留濃度に応じて表示義務の有無が違ってくるという厳しいさです。
コスメティックス・ディレクティブのAnnex?・Annex?にはそれぞれ使用禁止物質・使用制限物質が記載されています。
政治的な駆け引きも?
コスメティックス・ディレクティブは2003年に改正され強化されました。
そのとき、フランスの香料業界のお偉いさんがそのあまりの厳しさに「もう香水は作れない」や「規制は人体の安全問題ではなく政治問題」(EU内の各国の政治的駆け引き)といったことを発言されていたのが印象的でした。
しかし、EUは今後もさらに様々な規制を強化する方向です。化粧品成分だけでなく、プラスティック・金属の規制や地球温暖化対策のイニシアチブを取ろうとしている動きを感じさせます。
「安全」という大義名分の名の下に進められる規制。その真意は単純ではなく、また意見が分かれるところですが、少なくとも、現状リスクが高いイメージがある中国製品のEU内への無制限な流入を阻止するには今のところ有効かもしれません。
(2007-07-06)
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