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( 香水工場の )

香る生活


調香師の訓練方法
パフューマーになるためには、鼻が良くなければいけません。私の鼻はイマイチ。私がパフューマーセミナーに参加したとき、先生に「You Sell」(キミは営業向きダ)と宣言されるほどの匂いオンチです。

このように香水の会社で働きながら調香それ自体には無縁の生活を送っています。それがよかったと思うのは、もし多少鼻が利いてパフューマーのまねごとでもやろうものなら大変な訓練が待っていたからです。

パフューマーになるための条件は鼻が良いのはもちろんですが、鼻が良いからパフューマーという図式はまったく成立しません。

どんなパフューマーでもクリエーションを始めるまでに500程度の基礎的な天然香料と合成香料成分を記憶します。記憶だけで、時として数年かかるトレーニングです。

ひたすら香りを覚える。

この単純作業は本当に嫌になるでしょう。英単語を覚えるためにトイレに英単語のカードを貼って覚えたという努力家の話は昔はよく話されていたように思いますが、それと似た苦しいトレーニングです。

香りって覚えようがないため通常は生活の中のイメージとして記憶するしかありません。

たとえば、サンダルウッド(白檀)を嗅いで「おじいちゃんの家の仏壇の扉を開けたときに香る匂い」というメモを取ったりします。

「台所の食品棚の奥の方でこぼれたオイルや香辛料が棚にしみ込んで乾いて変なニオイになってしまっている匂い」というように極めて個人的体験をベースに覚える場合も少なくありません。


(2007-08-09)
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