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( 香水工場の )

香る生活


夏場の棚卸し
「たなおろし」。モノを製造や販売する企業、会社、お店なら必ずやらなければならない社内イベント。

武蔵野ワークスの決算は毎年7月末。8月1日から新しい会計年度がはじまります。そのため7月末をもって事業内容の数字をいったんすべて締めて決算書を制作します。

決算とは、簡単に言えば「モノとカネ」の「移動とストック(在庫・残量)」の数量を確定して会社の事業報告書に落とすことです。決算書を制作するための一つのネタ集めが棚卸しです。

決算はどんな会社にとっても必須のイベントで体験された方も多いと思います。私は一部の資材や商品の在庫管理もやっていますので「モノの流れ」の部分でこの時期、棚卸しをやって資材や商品の在庫状況を明記した一覧表を作成します。

文字通り、棚から資材や商品を降ろし、必要に応じて中身を確認し数量を確定して棚に戻します。

完全に肉体労働です。棚卸しの日は体操服で動きやすくして来すが、猛暑が応えます。

今年のお盆は棚卸しで終わりました。

寂しいお盆だったな・・・まあ、渋滞の高速道路ではまるお盆と倉庫ではまるお盆、どちらがいいかというと、少なくともこちらの方が自由にトイレに行けるので、まだしも倉庫で迎えるお盆の方がいいかと前向きに考えています。

あるコンビニさんでは3ヶ月に一度の割合で商品の棚卸しをやるそうです。膨大な種類の商品を一個一個数えていく作業ですので、さぞ辛かろうと思いきや、そのコンビニでは本部から派遣される商品棚卸し専門部隊によって実施されるそうです。

コンビニさんの場合は、商品を仕入れ、そのまま販売されるので、仕入れ数量と販売数量の間はかなりシビアにつじつまが合う必要があります。しかし、商売やった人なら共感いただくと思いますが、商品数量はなぜか時間の経過とともに数字が合わなくなります。

品減り(万引きや内部の人間による損失)、プレゼントだったり、不良品との取り替えだったり、広告のためのサンプル出しだったり・・・様々な理由でエントロピーの法則のように商品は分散していきます。

そこで棚卸しを行えば、それら行方知れずは、会計上「損失」や「ロス」として計上され、その分赤字となってコンビニオーナーに降り注ぎます。

しかし、当社のようなメーカーとなると完成した商品をそのまま販売するわけでありません。原料や原材料・資材を仕入れ、製品化して出荷しているため、インプットとアウトプットの関連性が複雑で単純なロス計算ができません。

曲者は「製品開発」です。

様々な原料や資材や設備・機器を購入し、けっきょく使わないモノが多数でてきます。研究開発の時点で「商品化は難しい」ことが明白になればまだよいほうで、テストロット生産しても本生産まで行かないと中途半端な製品が倉庫に寝かされていたりします。

商品化されても、今度は甘い需要予測に強気の生産計画の末、未出荷商品や返品で倉庫が在庫の山となるメーカーさんも少なくありません。

これらは、販売予定がなくて、もしかしたらゴミとして廃棄される事態になっても、そしてそのための廃棄費用が別途発生するとしても、一応、経理上・会計上の区分は「資産」。資産なので課税の対象にもなりますし、倉庫代などの保管費用が毎月発生したりします。

ビジネス的に「在庫」ほど恐ろしいものはありません。これらはメタボの腹に溜まった脂肪と同じで、健康な体をジワジワ蝕む原因となりかねません。メーカーは常にシェイプアッププランに頭を悩ましています。

当社の場合は、何をするにしても規模が小さいため、商品や資材で死んでいる在庫品も少なくまだコントロールの範囲内ですが、それでも棚卸しをすれば「こんなものが!」状態です。「こんなものが」はビジネス的にはだいたい「ロス」ですので当社も究極の在庫管理にはまだまだ課題が多いことを再確認させられました。

まさにカラダで覚える在庫管理。今年のお盆も身に染みました。

(2008-08-16)
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