( 香水工場の )
香る生活
「香水メーカー」と「香水ブランド」の違い
香水ブランドを目指して
当社は「香水メーカー」です。目標は「香水ブランド」になること。
「香水メーカー」と「香水ブランド」ってどこが違うの?
香水ブランドが、必ずしも香水メーカーでないことは、ファッション・ブランドや、靴ブランド、時計ブランドなど様々な香水とは無縁のブランドが香水をリリースすることでもわかります。
彼らは「ブランド」であっても「香水メーカー」では、まったくありません。
香水とブランドの相性
ブランド、とくにファッション関連ブランドは、製品の一部に香水をラインアップすることが欧米ファッションブランドさんの習わし。
香水というアイテムは、ブランドさんにとって、なぜだか本来専門とする自社製品の追加アイテムとして、ぴったりと収まるのです。
ファッションしかり、バッグしかり、靴しかり、時計しかり、です。
なぜでしょう?理由は、「ブランドと香水の相性のよさ!」の一言に尽きます。
相性がよい
ブランドコンセプトの延長線上に香水が乗りやすいだけでなく企業経営上の秘密兵器になっているケースも多々あります。
つまり流行変動が激しいファッションに対して年間を通して、しかも長年、安定した収益を確保できる点。
大資本化傾向にある大手ブランドさんにとって投資家や株主への説明もしやすいという裏事情も察せられます。
日本でもファンションブランドやアパレルブランドが製品ラインアップとして香水の製品化を検討することはよくあります。
(ただし、日本では、マーケットが小さすぎて、実際にリリースするアパレルブランドは希少)
実際の開発は、やはり餅屋で
仮にどこかのファンションブランドが香水の製品化に目処がつき、実際に製品化という際は、自社が本来専門とする製品でないわけですので、開発依頼は他社に出されることが普通です。
一本釣りにするにしてもコンペ方式にするにしても。
日本でしたら大手化粧品会社さんに依頼されるのかな?当社もたまに打診されます。直接あるいは広告代理店を介して間接的にご連絡いただいたファンションブランドさんには過去数年思いつくだけでも数社あります。
欧米では、ジボダンやIFFといった世界の大手香料会社(世界的著名なパフューマーが所属)や、Inter Parfums社のようなプレステージパフューム専門のOEM会社さんに依頼されるケースがほとんどです。
Inter Parfums社のホームページを覗くと私たちが知っている大手ファッションブランドのオンパレードで、インターパルファム社の実績の高さに圧倒されます。
「香水メーカー」と「香水ブランド」の違い
このように香水の場合、ブランドオーナーと実際の製造者が違うケースは多々あります。これが「香水メーカー」と「香水ブランド」の違いです。
SPA、アパレル界の地殻変動
ところで、近年アパレル界に地殻変動が起きています。しかも激震。
H&M、GAP、ZARA、ユニクロなどの低価格ながらハイセンスなアパレルブランドが急速に台頭し世界のアパレル市場を席巻しつつあることがマスコミに度々取り上げられるようになりました。
彼らに共通していることは「SPA型ブランド」ということ。
SPAとは、日本ではユニクロの台頭とともに90年代からよく使われるようになった経営用語です。specialty store retailer of private label apparelだそうです(なんとまわりくどい言い方でしょうか)。
訳して「製造型小売業」とも「アパレル製造小売専門店」とも言われます。簡単に言えば、自社で作って自社で販売する方式です。
ブランドの本来の姿とは?
SPAというアパレル界の経営モデルは、1980年代に米GAP社が提唱した方式で、新しいイメージがありますが、ブランド関連ビジネスに携わる人なら、それは何のことはない、ズバリ「ブランド回帰」です。
自分で作って自分で販売する・・・ブランドそのもの、ブランド本来の姿です。
ブランドは、もともと店舗を備えた小さな町工場や工房で職人達が自分たちで作ったものを自分たちで直接顧客に販売していた形態でした。
典型的なヨーロッパブランドの場合1階が店舗、2階が工房。工房には厳しい親方がいて職人達が黙々と製品作りに勢を出す光景が一般的でした。
アパレル界ではじまったブランド回帰は、やがて化粧品業界や香水業界へと派生するのではなかろうかと感じています。
(2010-05-07)
< 緑の「コンシンのチャ」 || 「無題」という名の絵画作品 >
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