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( 香水工場の )

香る生活


練り香水、液体でない香水

練り香水とは? 混ぜ混ぜした半固形のイメージ


練り香水って何?という方もおられるでしょう。読み方は「ねりこうすい」です。練った香水?はじめての人には意味不明ながら「練る」というコトバのイメージから、どんなものかなんとなく伝わってくるネーミングです。

・練りわさび
・練り唐辛子
・練り菓子
・練りゴマ

なんとなく混ぜ混ぜした半固形のイメージが湧いてきますよね。


香水の歴史イロハ


本来、香水は必ずしも液体で生まれ発展してきたわけではありません。西洋で発展した香水は「Perfume」(パフューム/英語)や「Parfum」(パルファム/フランス語)と命名されました。

Perfumeはラテン語の「per fumum」(煙を通して)が語源で、お香のように香料を火で焚いて芳香を楽しむモノもの、あるいは厳かなモノでした。

このへんは香水の歴史を語るとき一番最初にでてくる香水の歴史イロハで私が今さら得意顔で説明するのもやや恥ずかしいのですが、要は香水の起源はお香や香料という点です。


液体香水の発明


古代においては香水モノは、液体であることの方がむしろ少ないのですが、15世紀前後に香料をアルコールに溶かす手法が開発されると、現在の香水の原型が生まれました。

そして、幕末の頃、日本に香水が導入されはじめるとアルコールに溶かされた香りモノは「香水」と和訳されました。ずばり、液体だったからと推測されます。

「香りのする水」・・・よい訳ですね。しかも、フランス語も「Eau de Parfum」(パルファムの水)なんて言いますから、「香水」はフランスの香水文化さえも踏襲した絶妙なはまり訳になっていると絶賛したくなります。


Perfumeの和訳


香水は、日本人によって訳されたのか、中国人によって訳されたのか、私には不明です。ひょっとしたら中国で生まれたコトバかもしれません。

現在中国・日本ともにPerfumeやParfumの訳語として「香水」が使用されています。

しかし!香水は香水の性質や状態を的確に表現したすばらしい訳語ながら、実は「Perfumeには液体でないSolid Perfume(ソリッドパフューム、固形香水)なるモノもある」という事実が判明したとき、和訳するのは苦しかったでしょうね。


Solid Perfumeの和訳


苦肉の策が、香水に「練り」を加えることだったと思われます(あ、これはすべて私の勝手な推測です)。

練り香水は、自然発生的な和訳かもしれませんし、最初に和訳された方が明確かもしれません。案外最近の方で、まだどこかの化粧品会社で活躍されているかもしれません。

「練り」を加えることで液体のイメージは完全に払拭されます。こうして液体でない香水「練り香水」というコトバが生まれました。

うーん、実に微妙です。


「練り香」か「練り香水」か?


香水仕事人の間では「練り香水」をよしとせず「練り香」「練香」と呼ぶ方もおられます。

本来の意味の考えると液体ではないのですから、やはり「練り香」「練香」の方が適切ではないかと思いますが、練香では日本の伝統的なお香のイメージが強いのも事実でしょうか。お香では「薫物」(たきもの)とも呼びます。

現在一般的に呼ばれる練り香水の意味ではやはり「練り香」「練香」より「練り香水」の方が多く流通しているでしょう。「練り」の漢字に「錬り」を当てる場合もあります。

少なくとも商業的タイトルには「練り香水」の使用が多いことはGoogleキーワードツール検索で確認できます。

あなたは「練り香水」派、「練り香」派?



(2010-06-12)
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