( 香水工場の )
香る生活
香水のリフィル
スプレー部分をはずせない香水が多い、よってリフィルという発想も生まれない・・(2016/02/01)
香水瓶のスプレー部分の例 (左がカシメタイプ、右がネジタイプ。ネジタイプは首が長くなる傾向があります。見分け方は外見だけではわかりにくく手でひねって取り外せればネジタイプ)
香水ボトルでネジ式のスプレーは少なく、大半の香水はスプレー部分はずせない仕組みになっています。
スプレーの金属部分を圧着して接合する方式を「カシメ」と呼びます。
漢字では「加締め」と書きます。カシメる機械や器具が加締器や加締機です。
カシメは香水用語ではなく金属パーツを圧着や溶接で接合するものは一般に広くカシメと呼ばれます。
たとえば、鉄骨や鉄板を接合するネジに似たリベットは胴体部分をハンマーなどで叩きつぶして金属同士を接合します。
皮革製品の穴などを補強するハトメ(真鍮金具)もカシメの一種と言えます。それを言えば、ホチキスだってカシメですね。
香水のスプレー部分の底辺は、おおよそスカートのような形状のアルミ素材で、これをガラス瓶の口にかぶせてスカート周囲を専用装置で圧着してできあがります。
香水瓶とスプレー部分の接合タイプは、カシメ式かネジ式の2種類で他はあまりありません。
香水のスプレー部分をカシメにする理由は主に2点です:
(1)香水の液体漏れ防止
(2)異物混入防止
ネジ式だと配送中に緩むリスクがあります。
実際、当社も以前はネジ式の香水ボトルを使用していた時期がありますが、このトラブルは多少経験があります。
香水メーカーの人間からすればネジ式は若干心配ですね。
また、ネジ式には輸送中や商品の展示中に悪意ある第三者による異物混入リスクもあります。
それを回避するためにもカシメ式が好まれます。とくに欧米の大手ブランドさんでは、だいたいカシメを採用しています。
一方、日本のマーケットではネジ式が一般に好まれます。その理由は:
(1)小分け需要があること(スプレー部分をはずせること)
(2)分別廃棄の需要
日本ではゴミ廃棄に関して分別廃棄しやすいことが消費財製品の条件の一つとして求められます。
以前、アメリカ人に聞いた話ですが、日本の分別廃棄をみて「アメリカではありえない!」と言っておられました。
不要なモノは、なんでも丸ごとゴミ箱に「直行」らしいです。
当社は香水ボトルの使い捨てに以前からモヤモヤしたものをもってきました。
しかし、香水ボトルの主要生産国であるヨーロッパでは日本のような分別廃棄の意識がまだ高くないのか、ネジ式ボトル自体があまり作られていません。
一つには、ネジ式は一般にボトルの首が長くなりがちで、デザイン的に美しさに問題があります。
香りだけでなく見た目も格調高くなければならない香水ボトルですので、多くのクリエイターからノーと言われやすい事実もあります。
しかし、近年、世界的なエコ意識が加速・浸透してきており、さまざまなコスメ商品にもエコ・ムーブメントが見られるようになってきました。
たとえば、リフィル方式もそのムーブメントの一つです。
香水におけるリフィルは、自然、ネジ式ボトルへの移行を意味します。
「香水にもリフィルがあってもいいのでは?」という意見は、まだ一般的ではありませんが、考えている香水メーカーはあるはずです。
しかし、実際、チョイスできるボトルは今のところほとんどありません。ここが悩みどころです。
国内外の香水ボトルメーカーさんに問い合わせてみても、リフィル可能な香水ボトル(かつ、デザイン的・機能的な条件を満たすモノ)を取り扱っているところは今のところ見いだせません。
ガラスボトルは、お金をかければオリジナルでも作れるのですが、完成度という点でこちらも悩ましい。
ボトルの原型となる金型の製作には最低100万円。
その上、液漏れリスクやデザインの完成度の問題を考えると、大手さんでさえ、オリジナルの香水瓶を制作するところは少ない(商品サイクルが短くなり、オリジナル制作をする余裕がなくなっているという事情もあり)。
またオリジナルボトルは、タイム・ツー・マーケット(デザイン・設計から品質が安定し市場投入可能になるまでのリードタイム)が、1年や2年かかることもあり、たかが香水瓶なのに案外苦労させられます。
近年、香水ブランドや香水メーカーは、オリジナルボトルを制作したいところが多くなりました。
リフィルとは「詰め替え」のことですが、「詰め替え」といえば、たいてい安価なプラスティック袋に入った液体で、お買い得プライスになっているイメージがあります。
これも、高級化粧品がリフィルタイプへ移行する際の大きな障害になっています。
リフィルに移行する行為自体が、商品イメージを損なうのではないかという恐れがあるためです。
しかし、エコな製品を今後作っていかなければ「環境に対して優しくない企業」というイメージは避けがたく、将来大きな打撃になるだけに、どこの化粧品メーカー・ブランドさんにとっても大きなテーマとなってきました。
そこで展示会などでは、エコ型コンセプト商品が出始めています。
2015年はエコ型コンセプト商品の小出しがちらほらと始まった年だったと私は感じています。
当社も長年の課題であるリフィルタイプの商品を、今年は、テスト投入できないかと現在準備中です。
リフィルタイプの香水なんて、香水のイメージになじまないかもしれませんが、消費者のみなさまからどのように評価されるのかチャレンジしたい。
※(2016/02/29)続報 → 「リフィル・エコ プロジェクト」
(2016-02-02)
香水瓶のスプレー部分の例 (左がカシメタイプ、右がネジタイプ。ネジタイプは首が長くなる傾向があります。見分け方は外見だけではわかりにくく手でひねって取り外せればネジタイプ)
香水スプレーの接合方法「カシメ」とは?
香水ボトルでネジ式のスプレーは少なく、大半の香水はスプレー部分はずせない仕組みになっています。
スプレーの金属部分を圧着して接合する方式を「カシメ」と呼びます。
漢字では「加締め」と書きます。カシメる機械や器具が加締器や加締機です。
カシメは香水用語ではなく金属パーツを圧着や溶接で接合するものは一般に広くカシメと呼ばれます。
たとえば、鉄骨や鉄板を接合するネジに似たリベットは胴体部分をハンマーなどで叩きつぶして金属同士を接合します。
皮革製品の穴などを補強するハトメ(真鍮金具)もカシメの一種と言えます。それを言えば、ホチキスだってカシメですね。
香水のスプレー部分の底辺は、おおよそスカートのような形状のアルミ素材で、これをガラス瓶の口にかぶせてスカート周囲を専用装置で圧着してできあがります。
香水瓶とスプレー部分の接合タイプは、カシメ式かネジ式の2種類で他はあまりありません。
世界ではカシメ式が優勢
香水のスプレー部分をカシメにする理由は主に2点です:
(1)香水の液体漏れ防止
(2)異物混入防止
ネジ式だと配送中に緩むリスクがあります。
実際、当社も以前はネジ式の香水ボトルを使用していた時期がありますが、このトラブルは多少経験があります。
香水メーカーの人間からすればネジ式は若干心配ですね。
また、ネジ式には輸送中や商品の展示中に悪意ある第三者による異物混入リスクもあります。
それを回避するためにもカシメ式が好まれます。とくに欧米の大手ブランドさんでは、だいたいカシメを採用しています。
日本ではネジ式が好まれる
一方、日本のマーケットではネジ式が一般に好まれます。その理由は:
(1)小分け需要があること(スプレー部分をはずせること)
(2)分別廃棄の需要
日本ではゴミ廃棄に関して分別廃棄しやすいことが消費財製品の条件の一つとして求められます。
以前、アメリカ人に聞いた話ですが、日本の分別廃棄をみて「アメリカではありえない!」と言っておられました。
不要なモノは、なんでも丸ごとゴミ箱に「直行」らしいです。
世界的なエコ意識の高まり
当社は香水ボトルの使い捨てに以前からモヤモヤしたものをもってきました。
しかし、香水ボトルの主要生産国であるヨーロッパでは日本のような分別廃棄の意識がまだ高くないのか、ネジ式ボトル自体があまり作られていません。
一つには、ネジ式は一般にボトルの首が長くなりがちで、デザイン的に美しさに問題があります。
香りだけでなく見た目も格調高くなければならない香水ボトルですので、多くのクリエイターからノーと言われやすい事実もあります。
しかし、近年、世界的なエコ意識が加速・浸透してきており、さまざまなコスメ商品にもエコ・ムーブメントが見られるようになってきました。
たとえば、リフィル方式もそのムーブメントの一つです。
香水におけるリフィルは、自然、ネジ式ボトルへの移行を意味します。
現状、チョイス可能な香水ボトルがない
「香水にもリフィルがあってもいいのでは?」という意見は、まだ一般的ではありませんが、考えている香水メーカーはあるはずです。
しかし、実際、チョイスできるボトルは今のところほとんどありません。ここが悩みどころです。
国内外の香水ボトルメーカーさんに問い合わせてみても、リフィル可能な香水ボトル(かつ、デザイン的・機能的な条件を満たすモノ)を取り扱っているところは今のところ見いだせません。
オリジナルボトルはリスクが高い
ガラスボトルは、お金をかければオリジナルでも作れるのですが、完成度という点でこちらも悩ましい。
ボトルの原型となる金型の製作には最低100万円。
その上、液漏れリスクやデザインの完成度の問題を考えると、大手さんでさえ、オリジナルの香水瓶を制作するところは少ない(商品サイクルが短くなり、オリジナル制作をする余裕がなくなっているという事情もあり)。
またオリジナルボトルは、タイム・ツー・マーケット(デザイン・設計から品質が安定し市場投入可能になるまでのリードタイム)が、1年や2年かかることもあり、たかが香水瓶なのに案外苦労させられます。
近年、香水ブランドや香水メーカーは、オリジナルボトルを制作したいところが多くなりました。
香水のリフィル、イメージも大きい
リフィルとは「詰め替え」のことですが、「詰め替え」といえば、たいてい安価なプラスティック袋に入った液体で、お買い得プライスになっているイメージがあります。
これも、高級化粧品がリフィルタイプへ移行する際の大きな障害になっています。
リフィルに移行する行為自体が、商品イメージを損なうのではないかという恐れがあるためです。
しかし、エコな製品を今後作っていかなければ「環境に対して優しくない企業」というイメージは避けがたく、将来大きな打撃になるだけに、どこの化粧品メーカー・ブランドさんにとっても大きなテーマとなってきました。
そこで展示会などでは、エコ型コンセプト商品が出始めています。
2015年はエコ型コンセプト商品の小出しがちらほらと始まった年だったと私は感じています。
今年はリフィルタイプの香水瓶を投入したい
当社も長年の課題であるリフィルタイプの商品を、今年は、テスト投入できないかと現在準備中です。
リフィルタイプの香水なんて、香水のイメージになじまないかもしれませんが、消費者のみなさまからどのように評価されるのかチャレンジしたい。
※(2016/02/29)続報 → 「リフィル・エコ プロジェクト」
(2016-02-02)
< リフィル用の香水ボトル || ボトル入荷と「白檀」の再開予定 >
search