( 香水工場の )
香る生活
茶摘みの季節、緑茶がうまい
(2013/06/14)
(112) 茶摘みをしてきました。緑茶の魅力を堪能した数時間。(2013/06/14)
この話題は、ぜひアップしたいと写真を撮りためてきたのに、2週間遅れのアップです。茶摘みイベント(茶業研究所「茶摘みフェスタ」)は、1番茶の摘み取りが終わった頃行われます。今頃、狭山では2番茶の収穫の時でしょうか。
東京北部に隣接する狭山市や入間市は、都心からわずか1時間程度で行ける距離にありますが、そこは、なんと日本有数のお茶の産地。
この地の茶畑は、宅地化に伴い、全体的に縮小傾向にありますが、武蔵野の狭山丘陵から武蔵野の北限・加治丘陵にかけて、現在でも見渡す限りの茶畑を見ることができます。
加治丘陵の丘の上から都心方面を見渡すと眼前には広大な茶畑が拡がります。日本的な光景は、なだらかに続く丘陵を茶畑が埋め尽くし、私たち日本人には、どこか懐かしい光景です。その先には『トトロの森』こと狭山丘陵の森が見えてます。
「見渡す限りの茶畑が東京のすぐ近くに!」と素朴に驚かされます。
そしてもう一つの驚きは、狭山茶が100年前まで、絹とともに日本の重要な輸出品だった事実。製茶された茶葉は、貨車で八王子を経由して横浜に運ばれ、横浜港からアメリカに向けて数多く輸出されていました。
当時、米国は西部開拓時代、カウボーイたちが荒野の野宿で緑茶をすすっていた光景も見られたはずです。もしかしたらゴールドラッシュで湧いたカリフォルニアで一攫千金を夢見ていた金採掘者たちも飲んだかもしれません。
一応、映画で見る金採掘者たちの飲み物は、どれもコーヒーに見えますが、もしかしたら狭山茶だったかも・・・
去年に続いて、今年も茶業研究所主催の「茶摘みフェスタ」に参加してきました。このイベントは、自分で茶摘みができるだけでなく、茶業研究所の方と話が出きることがおもしろいです。
茶葉のから実際にお茶を作る実演中の研究員に、なぜ狭山茶の米国輸出は衰退したか、今後、再興する可能性はありますか?なんて聞いてみました。いかんせん、想定外の質問でしょうから、やや困惑されたような表情のあと、このような内容でした。
「外国人には、緑茶は『青臭く感じるようです』」
これが海外への輸出の障害でしょうか?そこでこう聞いてみました。
「しかし、昔は、米国へ相当量輸出されていたと思いますが、昔は大丈夫だったんでしょうか?」
するとその研究員の方の説明は、予想外でした。
「おそらく、現在のお茶・緑茶と昔のお茶は少し違っていた可能性があるかも。製茶技術は明治以降、非常に進歩しましたからね。よくわかりませんが、江戸時代までは、むしろ紅茶のようなお茶を我々は飲んでいた可能性があります」
香りも色つやも、昔の緑茶は、ひょっとしたら紅茶に近かった可能性があることをはじめて知りました。もちろん、これは、茶業研究所さんの見解ではなく、たまたま世間話程度に話した研究員の方の個人的な見解かも知れませんが、私には合点行く話で驚きました。
案外驚かれる事実ですが、緑茶とウーロン茶と紅茶は、同じ茶葉から生産可能です。実際は、インドやスリランカの紅茶は、やや品種が違うチャの木の茶葉が使用されていますが、基本、同じ茶葉でOKです。
茶葉を収穫後、茶葉内の酸化酵素の活性を止めるか(緑茶)、途中まで進める(ウーロン茶)か、最後まで行かせる(紅茶)かの製造工程の違いで生まれる違いです。
私が体験した範囲では外国人に緑茶を出して感動してもらったことはありません。どうも、紅茶のように酸化発酵が進んだお茶の方が世界的に理解されやすいし、発展途上国なら、さらにお砂糖とミルクなどでこってり甘く味付けした方が好感を抱かれるという印象を抱いています。
私たちにとってお茶・緑茶の香りは、ほっとするひとときになっていますが、これは小さい頃からの食生活や習慣による学習の結果なのか、それとも生理的に本来、人が好ましいと感じるようDNAに焼き込まれた香りなのか、どちらだろうと考えると、どうも、やはり前者と思えます。
日本人でも、通の緑茶好きの間では、緑茶の中でも玉露などカテキンが少なくマイルドで甘い風味濃厚なお茶が好まれますが、同じように苦みや青臭さが残る緑茶より、深く甘くマイルドになった紅茶の方が海外の人に好まれることは納得できます。
ですので、現状のままで緑茶を外国人に理解してもらうことは厳しい気がします。ポパイのほうれん草のように教育効果がある映画やアニメなら世界の人々へのインパクトが大きいでしょうが、他に手法は思いつきません。
しかし、酸化発酵が進んだ紅茶よりは、酸化発酵を抑制した緑茶の方が、カテキンなどのポリフェノール類の濃度は高いため、飲茶という習慣におけるお茶は、緑茶を選択する方が、アンチエイジングや発ガン抑制など、長期におけるライフタイムの健康戦略としては、なにかとメリットが大きいと私は考えています。
(*1) 農林総合研究センター茶業研究所(358-0042 埼玉県入間市上谷ヶ貫244-2)
(2013-06-14)
(112) 茶摘みをしてきました。緑茶の魅力を堪能した数時間。(2013/06/14)
この話題は、ぜひアップしたいと写真を撮りためてきたのに、2週間遅れのアップです。茶摘みイベント(茶業研究所「茶摘みフェスタ」)は、1番茶の摘み取りが終わった頃行われます。今頃、狭山では2番茶の収穫の時でしょうか。
東京近郊に拡がる見渡す限りの茶畑
東京北部に隣接する狭山市や入間市は、都心からわずか1時間程度で行ける距離にありますが、そこは、なんと日本有数のお茶の産地。
この地の茶畑は、宅地化に伴い、全体的に縮小傾向にありますが、武蔵野の狭山丘陵から武蔵野の北限・加治丘陵にかけて、現在でも見渡す限りの茶畑を見ることができます。
加治丘陵の丘の上から都心方面を見渡すと眼前には広大な茶畑が拡がります。日本的な光景は、なだらかに続く丘陵を茶畑が埋め尽くし、私たち日本人には、どこか懐かしい光景です。その先には『トトロの森』こと狭山丘陵の森が見えてます。
「見渡す限りの茶畑が東京のすぐ近くに!」と素朴に驚かされます。
日本の戦略的物資だった狭山茶
そしてもう一つの驚きは、狭山茶が100年前まで、絹とともに日本の重要な輸出品だった事実。製茶された茶葉は、貨車で八王子を経由して横浜に運ばれ、横浜港からアメリカに向けて数多く輸出されていました。
当時、米国は西部開拓時代、カウボーイたちが荒野の野宿で緑茶をすすっていた光景も見られたはずです。もしかしたらゴールドラッシュで湧いたカリフォルニアで一攫千金を夢見ていた金採掘者たちも飲んだかもしれません。
一応、映画で見る金採掘者たちの飲み物は、どれもコーヒーに見えますが、もしかしたら狭山茶だったかも・・・
緑茶が世界に拡大しない原因は?
去年に続いて、今年も茶業研究所主催の「茶摘みフェスタ」に参加してきました。このイベントは、自分で茶摘みができるだけでなく、茶業研究所の方と話が出きることがおもしろいです。
茶葉のから実際にお茶を作る実演中の研究員に、なぜ狭山茶の米国輸出は衰退したか、今後、再興する可能性はありますか?なんて聞いてみました。いかんせん、想定外の質問でしょうから、やや困惑されたような表情のあと、このような内容でした。
「外国人には、緑茶は『青臭く感じるようです』」
これが海外への輸出の障害でしょうか?そこでこう聞いてみました。
「しかし、昔は、米国へ相当量輸出されていたと思いますが、昔は大丈夫だったんでしょうか?」
するとその研究員の方の説明は、予想外でした。
昔の緑茶は紅茶に近かった?
「おそらく、現在のお茶・緑茶と昔のお茶は少し違っていた可能性があるかも。製茶技術は明治以降、非常に進歩しましたからね。よくわかりませんが、江戸時代までは、むしろ紅茶のようなお茶を我々は飲んでいた可能性があります」
香りも色つやも、昔の緑茶は、ひょっとしたら紅茶に近かった可能性があることをはじめて知りました。もちろん、これは、茶業研究所さんの見解ではなく、たまたま世間話程度に話した研究員の方の個人的な見解かも知れませんが、私には合点行く話で驚きました。
案外驚かれる事実ですが、緑茶とウーロン茶と紅茶は、同じ茶葉から生産可能です。実際は、インドやスリランカの紅茶は、やや品種が違うチャの木の茶葉が使用されていますが、基本、同じ茶葉でOKです。
茶葉を収穫後、茶葉内の酸化酵素の活性を止めるか(緑茶)、途中まで進める(ウーロン茶)か、最後まで行かせる(紅茶)かの製造工程の違いで生まれる違いです。
酸化発酵が進んだ紅茶の方がわかりやすい?
私が体験した範囲では外国人に緑茶を出して感動してもらったことはありません。どうも、紅茶のように酸化発酵が進んだお茶の方が世界的に理解されやすいし、発展途上国なら、さらにお砂糖とミルクなどでこってり甘く味付けした方が好感を抱かれるという印象を抱いています。
私たちにとってお茶・緑茶の香りは、ほっとするひとときになっていますが、これは小さい頃からの食生活や習慣による学習の結果なのか、それとも生理的に本来、人が好ましいと感じるようDNAに焼き込まれた香りなのか、どちらだろうと考えると、どうも、やはり前者と思えます。
日本人でも、通の緑茶好きの間では、緑茶の中でも玉露などカテキンが少なくマイルドで甘い風味濃厚なお茶が好まれますが、同じように苦みや青臭さが残る緑茶より、深く甘くマイルドになった紅茶の方が海外の人に好まれることは納得できます。
ですので、現状のままで緑茶を外国人に理解してもらうことは厳しい気がします。ポパイのほうれん草のように教育効果がある映画やアニメなら世界の人々へのインパクトが大きいでしょうが、他に手法は思いつきません。
長期的にメリットが大きい緑茶
しかし、酸化発酵が進んだ紅茶よりは、酸化発酵を抑制した緑茶の方が、カテキンなどのポリフェノール類の濃度は高いため、飲茶という習慣におけるお茶は、緑茶を選択する方が、アンチエイジングや発ガン抑制など、長期におけるライフタイムの健康戦略としては、なにかとメリットが大きいと私は考えています。
(*1) 農林総合研究センター茶業研究所(358-0042 埼玉県入間市上谷ヶ貫244-2)
(2013-06-14)
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