( 香水工場の )
香る生活
弱者の香水ビジネス6
現在のグラースは、むしろバイオ関連のハイテク産業が盛んであり、映画『パフューム』で描かれたようにラベンダーやミモザの畑が丘陵を埋め尽くすようなことはなくなりました。
香水産業のメッカとは、実質的には言いがたくなりつつありますが、グラースには香水産業の長い歴史があり、著名なパフューマーの実家が多く点在し、また多くのパフューマーの方々も実際に暮らされているため現在でもシンボル的に「香水の聖地」であり続けています。
そのグラースで活躍されているあるパフューマーに、ダンさんはメールを送ります。さて、似たようなメールを多数受け取るそのパフューマーは、ダンさんのメールにどのように対応するのでしょうか?
「はじめに、ダンさんは百貨店などですべての香水を試しました。それからルドニッカ氏が運営するWEBサイト『www.art-et-parfum.com』にて勉強しました。ルドニッカ氏は、グラース近郊のCabrisという土地の絶壁の上にフレグランスのラボを構えています」
「このフレグランス・ラボは、ルドニッカ氏の父親、エドモン・ルドニッカ氏が20世紀初頭の『クリスチャン・ディオール・クラッシック』と呼べる名香を次々と生み出した場所です。その中にはDiorissimo(ディオリッシモ)やEau Savage(オー・ソバージュ)があります。エドモン・ルドニッカの息子さんもパフューマーで、彼はフランスの有名なブランド、フレデリック・マルの調香を担当したことがあります」
「ダンさんは、ルドニッカ氏にメールを送りました」
「『こんにちわ。私はニューヨーク在住の若い女性です。フレグランスや香水開発のバックグラウンドがあるわけではありませんが、アイデアがあります・・・』」
「日常的に多数の似たような提案や要望を受け取るルドニッカ氏は、そのような手紙やメールには、時間的制約やコストのことを説明して冷静になるように説得することが普通です」
「『しかし、彼女は他人なら99%が断念するすべての厳しい条件をのみました』と先週の電話取材でルドニッカ氏は返答しました。『彼女には毅然とした決意がありましたね』(*2)と」
(*1)エドモン・ルドニッカは大変著名なパフューマーで、その作品「ディオリッシモ」や「オー・ソバージュ」は長い年月を経た現在でも人気の香水です。特にフランス人の国民性に合うとされ、フランスでは絶大な人気を誇ります。日本人の香りの嗜好はフランス人に近く日本でも人気の香水です。
(*2)ここで言う「決意(was determined)」とは、情熱の問題ではなく実際のお金と時間の投資の準備(ダンさんの場合は結果的に1千万円と3年間)を差すと思われます。
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First, Ms. Dunne schooled herself in fragrance by sniffing every perfume in department stores.
Then, she tracked down www.art-et-parfum.com, the Web site of Mr. Roudnitska, a perfumer who runs a fragrance laboratory in the vertiginous hills of Cabris, a French village near Grasse, the world’s perfume capital. This is the same lab in which Mr. Roudnitska’s father, the master perfumer Edmond Roudnitska, produced some of the grand Dior classics of the 20th century, including Diorissimo and Eau Savage. His son designed a scent for Frederic Malle, the French perfume impresario.
Ms. Dunne sent an e-mail message to Mr. Roudnitska.
“I wrote: ‘Hello, I am a young woman in New York. I don’t have a background in fragrance, but I have an idea,’ ” she said.
Mr. Roudnitska, who receives dozens of such requests annually, usually tries to dissuade amateurs with Dior dreams. He discourages them by explaining the time commitment required of such a collaboration, as well as the cost, he said.
“But she accepted all of the conditions which discourage 99 percent of the others,” Mr. Roudnitska said last week in a phone interview. “She was determined.”
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・弱者の香水ビジネス8
・弱者の香水ビジネス7
・弱者の香水ビジネス6
・弱者の香水ビジネス5
・弱者の香水ビジネス4
・弱者の香水ビジネス3
・弱者の香水ビジネス2
・弱者の香水ビジネス1
(2008-08-27)
香水産業のメッカとは、実質的には言いがたくなりつつありますが、グラースには香水産業の長い歴史があり、著名なパフューマーの実家が多く点在し、また多くのパフューマーの方々も実際に暮らされているため現在でもシンボル的に「香水の聖地」であり続けています。
そのグラースで活躍されているあるパフューマーに、ダンさんはメールを送ります。さて、似たようなメールを多数受け取るそのパフューマーは、ダンさんのメールにどのように対応するのでしょうか?
「はじめに、ダンさんは百貨店などですべての香水を試しました。それからルドニッカ氏が運営するWEBサイト『www.art-et-parfum.com』にて勉強しました。ルドニッカ氏は、グラース近郊のCabrisという土地の絶壁の上にフレグランスのラボを構えています」
「このフレグランス・ラボは、ルドニッカ氏の父親、エドモン・ルドニッカ氏が20世紀初頭の『クリスチャン・ディオール・クラッシック』と呼べる名香を次々と生み出した場所です。その中にはDiorissimo(ディオリッシモ)やEau Savage(オー・ソバージュ)があります。エドモン・ルドニッカの息子さんもパフューマーで、彼はフランスの有名なブランド、フレデリック・マルの調香を担当したことがあります」
「ダンさんは、ルドニッカ氏にメールを送りました」
「『こんにちわ。私はニューヨーク在住の若い女性です。フレグランスや香水開発のバックグラウンドがあるわけではありませんが、アイデアがあります・・・』」
「日常的に多数の似たような提案や要望を受け取るルドニッカ氏は、そのような手紙やメールには、時間的制約やコストのことを説明して冷静になるように説得することが普通です」
「『しかし、彼女は他人なら99%が断念するすべての厳しい条件をのみました』と先週の電話取材でルドニッカ氏は返答しました。『彼女には毅然とした決意がありましたね』(*2)と」
(*1)エドモン・ルドニッカは大変著名なパフューマーで、その作品「ディオリッシモ」や「オー・ソバージュ」は長い年月を経た現在でも人気の香水です。特にフランス人の国民性に合うとされ、フランスでは絶大な人気を誇ります。日本人の香りの嗜好はフランス人に近く日本でも人気の香水です。
(*2)ここで言う「決意(was determined)」とは、情熱の問題ではなく実際のお金と時間の投資の準備(ダンさんの場合は結果的に1千万円と3年間)を差すと思われます。
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First, Ms. Dunne schooled herself in fragrance by sniffing every perfume in department stores.
Then, she tracked down www.art-et-parfum.com, the Web site of Mr. Roudnitska, a perfumer who runs a fragrance laboratory in the vertiginous hills of Cabris, a French village near Grasse, the world’s perfume capital. This is the same lab in which Mr. Roudnitska’s father, the master perfumer Edmond Roudnitska, produced some of the grand Dior classics of the 20th century, including Diorissimo and Eau Savage. His son designed a scent for Frederic Malle, the French perfume impresario.
Ms. Dunne sent an e-mail message to Mr. Roudnitska.
“I wrote: ‘Hello, I am a young woman in New York. I don’t have a background in fragrance, but I have an idea,’ ” she said.
Mr. Roudnitska, who receives dozens of such requests annually, usually tries to dissuade amateurs with Dior dreams. He discourages them by explaining the time commitment required of such a collaboration, as well as the cost, he said.
“But she accepted all of the conditions which discourage 99 percent of the others,” Mr. Roudnitska said last week in a phone interview. “She was determined.”
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(2008-08-27)
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