柚子(ユズ)の話
ミカン科の常緑樹です。2~6メートル前後の高さに成長します。鋭いトゲがあるため近寄る場合は注意が必要です。5月~6月の初夏に可憐な白い花をつけ9月~12月に結実します。
秋から冬にかけて黄色く熟す実は、季節を感じさせる風景で物語性のある果実ですよね。
原産地は、中国の中西部・揚子江流域と考えられていますが、日本人にとっては、すっかり日本的なイメージをもった柑橘類と言えます。
ゆず湯
現在も残る「冬至のゆず湯」。ゆず湯の習慣は、江戸時代に始まったと考えられています。銭湯ができたのが江戸時代で、ゆず湯の習慣も銭湯文化とともに早い時期に生まれたのでしょう。江戸時代はそれまでの戦国時代と違って動乱が少なく長く平和な時代でした。
平和な時代には、美容に興味を持つ男性が増えることは歴史上の現象です。
日に何回も湯に入る江戸っ子たちが、ひと味違うゆず湯を楽しんだことは想像に難くありません。
ゆず湯の美肌効果や血行促進効果も、おそらく実感していたことでしょう。
ゆず果皮にはクエン酸やビタミンCが多く含まれ、とくにビタミンCの含有量は柑橘類の中でもトップクラス。
ビタミンCの抗酸化作用はお肌の老化予防にも効果的でしょう。
また、血行促進効果もよく指摘されます。たとえば、ゆず湯では血中ノルアドレナリン濃度が上がるそうです。
ゆず湯は、さら湯のと比べノルアドレナリン濃度が4倍以上というレポートがあります(東京ガス都市生活研究所 『東京ガス通信』2007秋冬号)。
ノルアドレナリンは、血管収縮作用をもったホルモン様物質ですが、その濃度が高いことは、血管拡張つまり血行がよいことの一つのバロメーターと考えられます。
ゆず湯は、伝統的に風邪の予防に効果があるとされ、また冷え性や神経痛、腰痛などを緩和する効果も知られています。
このようにお肌と健康によいゆず湯は、いつのまにか日本人の文化として広く普及し、現代に至るまで綿々と受け継がれています。
柚子のことわざ
- 「桃栗三年、柿八年、柚子の馬鹿めは18年」・・・柚子の成長は、とっても遅い。貴重なんですね。
- 「柚子の木に裸で登る」・・・トゲがある柚子の木。無鉄砲なアクションは痛いかも。