香水の付け方

( 多彩な付け方 )
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「絶対コレ!」という作法は存在しない

香水のつけ方には「絶対コレ!」というルールや作法は存在しません。

飲む・食べる・目に入れるなどの危険行為や、周囲に迷惑をかける、といった付け方以外、常識の範囲内でお好きな付け方をしてかまいません。

香水は自由につけて、自分にとってベストなつけ方・楽しみ方を発見して下さい。

一般的にパルファムは「点」で、オーデコロンは「面」で、トワレやオードパルファムは「線」でつけてくださいとアドバイスされることが多いでしょう。

パルファム → オードパルファム → オーデコロンと、濃度が低くなる方向に向かって多い量の使用になることは合理的です。

「点・線・面」の違いはビジュアルで、わかりやすい。しかし、気にする必要はありません。

点か・線か・面か?

パルファムの「点」

「点」はお肌の1点に触れるように。一般にパルファムは液体ですので一滴・二滴を肌に落とすイメージです。

オードパルファム・オードトワレの「線」

「線」は細く延ばすように。パルファム以下の濃度の香水はスプレータイプが多いので実際は「線」のように行きませんが、そんなイメージですね。

オーデコロンの「面」

「面」とはある程度の部位にまとまってつけるイメージです。

とはいってもこれもお好きなつけ方を発見してください。

指先で数滴取り掌で塗り込むようにする方もおられるかもしれません。

スプレータイプのアトマイザーなら、10センチくらい離してプッシュと行ってください。

空間にプッシュして花火のように降り注ぐ粒子の下に入る方法もあります。

この方式だと、優しい香り立ちになりますが、持続時間が短いので、お好みで選んで下さい。

空間にプッシュ方式には反対する香水の専門家(とくに海外の香水関係者)も多いのですが、私は自由だと思います。

オススメの場所

一番のオススメの場所

香水は温度が高い方が揮発しやすいので、暖かい血液を運ぶ血管が表面に近い部分がおすすめです。

下記の部位に香水をお肌に直接つけるかアトマイザーで吹き付けます。
  • 耳のうしろ
  • 膝の裏(ヒザ)
  • 腕の内側
  • 手首
  • 肘(ヒジ)
  • 腰(コシ・ウエスト)
  • お腹


その他オススメの場所

  • 髪の毛:直接肌に触れないので安全で、髪が揺れるたびにほのかに香ります。
  • 足:スカートやパンツに隠された足や太ももは体温があるのでほのかに香りたちます。
  • 足首:足首はパンツやスカートから露出しているので、足や太ももとはまた印象の違う香り立ちです。歩くたびに楽しくなります。
  • 指先:指先はいろいろなものに触れますので、いろいろな匂いがします。その対策もありますが、逆に食べ物などに香水の匂いが移る可能性がありますので時と場合と必要に応じて使い分けてみて下さい。


付けない方がよい場所

香水をつけない方がよい場所1

首や鼻周辺はやめましょう(鼻につける人はいないと思いますが念のために)。

直射日光の影響を受けやすいところ。日光は香料の種類によっては肌のシミなどの原因になることがあります。

のど周辺は皮膚が敏感で湿疹やかぶれを起こす恐れがあります。鼻周辺は自分の香りで酔ってしまいます。

臭覚は視覚や聴覚と違い疲労して、鼻がマヒしやすいので、せっかくの香りが自分ではわからなくなります。

また、汗が出やすい脇の下なども避けましょう。汗と混じると想定外の香りになるのでご注意ください。
  • 首や鼻周辺:直射日光を受ける可能性があります。嗅覚疲労で香りがわからなくなります。
  • 脇の下:汗と混じると香りが変化します。


香水をつけない方がよい場所2

テレビや映画の影響と思われますが、「香水は耳たぶにちょこんとつけるもの」と考えている人が案外おられます。

昔の映画などでパルファムを耳たぶにちょいとつけている仕草のシーンは確かにありました。

理論的には耳は温かくありませんし、また日光や紫外線に当たる可能性が大きいので、私はおすすめしません。

耳の近くでしたら、耳の裏にしましょう。

服は香りが洗濯するまで残ったり(どうかすると洗濯しても残っている場合も)、香水によってはシミになる可能性もありますので、あまりおすすめしません。

服に付けるなら、スカートの裾の裏など影響の少ないところに、ちょっとだけにしましょう。

脇(ワキ)の下、性器周辺も常に汗をかきますのでおすすめできません。

また皮脂の多いところ、おでこや頭皮などもおすすめできません。想定外な匂いになる可能性があるためです。

胸の中心と両耳を結んだデコルテを含む逆三角形ゾーンは一般に香水をつける部位としてよくないとされています。

日光も当たりやすいし、首もと・喉もと周辺は皮膚が薄く敏感で、さらに自分の匂いに酔いやすいからです。

デコルテは体温も高く香りが上りやすいの鼻(嗅覚)が麻痺しやすくなるでしょう。

付けるタイミング

変化する香り立ち

香水の香り立ちは最初華やかに香るトップノートからミドルノート、そしてラストノート(ボトムノート)までグラデーションのように変化していきます。

同じラストノートでも、しっかりとしたボディ感を保った香りから、徐々に弱くなり、香るか香らないかわからないくらいまで弱くなり消えていきます。

その時間は香水の種類や製品によって千差万別で早いもので数時間、継続するものなら数日持続します。

しかし、香水として最も安定してふくらみのある香り立ちはミドルノートがはじまる頃から数時間程度が一番美しいと思います。

香水はつけてからミドルノートが訪れる10分後、20分後からが見せ場です。

なので、もしパーティなどで最高の香りの演出をしたいのなら、パーティ会場には少し早めについてから、会場の化粧室で香水をつけるもの一つの手です。

香水はつけるタイミングも少しねらいをつけて最高の香り立ちを演出して下さい。

付け足し

弱くなった香りの付け足し

早くつけ過ぎて弱くなった香りを外出先で「つけ直したい」「つけ足したい」という要望もでてきます。

最初につけた香水が、トップノート・ミドルノート・ラストノートのサイクルで進行中で、それに新しいトップ~ラストノートのサイクルが時間差で加わることになりますが、香りの質は同じですのでそれほど違和感はありません。

少量つける

同じ香りをすでに自分自身がたっぷり嗅いでいるため、つけ直したときに「つけ過ぎ」る失敗を犯しがち。ご注意ください。

つけ直しやつけ足しは最初につけた場所より少し離れた足や手先などに少量つけることがおすすめです。

疲労している嗅覚へのダメージが少ないし、遠い分、新しくつけた香り立ちの強さなどが比較的冷静に判断可能です。

違った香水の重ね付け?

違った香水を数種類一緒につけてもいいでしょうか?・・・YESともNOとも言われます。さあ、どっちがおすすめ?

「違う香りを重ねてつけない」は香水のつけ方の一つのルールとされています。

香水は各ブランドの専門の調香師が、長年丹誠を込めて処方を決めた作品であり芸術作品とさえ考えられています。

一応の完成をみたものに対して、何か違うものを足して肌に重ね塗ることをメーカーや調香師は嫌います。

反面もっと自由に考えてもいいのではという意見もあります。

ルールはルールで、ときに冒険もおもしろいかもしれません。

というのは全ての人がメーカー製香水を使用していると、同じ香水をつけた人同士の鉢合わせという現象がおきます。

バツが悪いと同時にセクシーさや魅力が半減します。

そんなとき「ちょっと合わせる」と言って自分で香りを変える人もいるようです。

よい香りになるかどうかは別問題としてそんな探求心もまた大切です。

違う香水の重ね方

では実際に違う香水を合わせるときどのようにすればよいでしょうか?

ヘビーな香水同士を合わせるのはどちらも主張が強すぎて難しい、下地の香りには軽めの香りがよいでしょう。

濃度も低くコロンやトワレで、その上にヘビーな香りを乗せると、重めの香りを中心に微かな変化を感じさせてくれます。

違う香水を液体レベルで混ぜ合わせる?

この章では香水の重ねづけについて解説していますが、原則は各香水が香水瓶から出たあとの重ね方・合わせ方についてです。

しかし、香水の重ねつけが高じると、自分で香水をアトマイザーなどに少量取り、違う香水と混ぜ合わせたいという要求がでてくる場合があります。

こうなると調香師のレベルです。

メーカーや調香師の主張通り、香水はそれぞれ完成された製品です。

それ以上違うものを加えたり混ぜたりすることはアコードを壊す結果になる場合が多いこと、混ぜ合わせる前に戻すことができないことを覚悟ください。

調香師はオススメしない

調香師はそれがベストで、それ以上他の成分や香料を「足さない・引かない」ことを前提で、お客様に使用してもらいたいと思いながら香水製品を世に送り出します。

しかし、ユーザーに使い方を強制できないことも事実です。

香水の違った製品同士の混ぜ合わせは自己責任でお願いします。

私の個人的な意見はそんな冒険心もあっていいのではと思います。

付ける対象

香水は化粧品ですので地肌に直接つけても問題ありませんが、すべての人に問題がないわけではりません。

お肌が弱い方は直接つけることを避けた方がよいでしょう。

お肌に直接つける

体温のあるお肌に直接つけると香り立ちがよいとされています。

香水を直接肌につけると「肌に吸収され害になるのでは?」、という質問を受けることがあります。

一般的に肌は皮膚の角質が異物の進入を阻止(バリア機能)していますので、ほぼ吸収されませんが、一部、ごく微量に吸収される物質もあります。

ただし、香水成分による毒性の報告や、健康被害の事例は聞いたことがありません。

香水による健康被害の事例はコスメ・化粧品の中では非常に少なく、安全な製品と考えています。

ハンカチやティッシュ

世界的に使用が許可されている香料でもお肌に合わない方がいます。

当社の経験ではお客様の数パーセントが市販化粧品でお肌のトラブルを感じられているようです。

こういう方々は香水も同様に直接お肌につけることはお勧めできません。

ハンカチやティッシュに香水をつけ、内ポケット、(あまりスマートでありませんが)下着にはさむやり方で、直接お肌との接触・コンタクトを避けて香りを楽しみましょう。

衣服

お勧めはスカートです。スカートの裾裏や内側に香水をつけると揺れるたびにほのかに香ります。

女性らしい「かわいらしさ」の演出に試す価値があります。

同様にスーツの内ポケットやパンツの裏地などもOKです。

ただし、衣服は一度つけると香りが残りますので違う香りをつけられないのが難点です。

また、シミになる場合もありますのでその点も充分にご配慮ください。

下着・肌着

下着・肌着は肌の体温でほのかに香り立ちますので、体内から首元に上がってくるようでややおもしろい対象です。

ただし、首元に上がる場合は自分の香水で酔ったり嗅覚疲労(自分の香水の匂いが感じられない状態)になる場合があります。

また、香水を衣服に付ける場合同様、香水によっては色が付くリスクがありますので、ご注意ください。

「付ける」の英語

Wear、香水を着る?

日本語では香水は「つける」(付ける)と表現しますが、「装う」という人もいます。

英語では服を着るの「wear」が使われます。日本語の「香水を装う」という表現はwearの直訳と推測されます。

wearはネイティブからすれば日本語の「つける」に近い感じだと思います。

このwearについて、有名なココ・シャネル「シャネルNo.5」のエピソードをご紹介。

「シャネルNo.5」は世界的な大ヒット香水ですが、大ヒットのきっかけとなった原因の一つにマリリン・モンローさんの発言がありました。

ベッドで裸で眠るとウワサされていた頃の発言。

“What do I wear in bed? Why, Chanel No. 5, of course.”
(ベッドでは何を着てるかって?シャネルの5番に決まっているじゃない)

このとき彼女はwearを服と香水にかけていますが、当時の男性は空想力を膨らまされたことでしょう。

香水とお色気は切っても切れない関係ですね。

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