香水とブランド

( 香水とブランドのとっても深い関係 )
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ブランドとは

「ブランド」というワードで、何をイメージしますか?

欧米の衣服や高級バッグ、時計、化粧品などではないでしょうか?

ブランドとはもともと自家の家畜と隣近所の家畜を区別するために、家畜に行った刻印がそのはじまりと言われます。

ブランドは所有者や製造者を示すための刻印でしたが、刻印された品物やサービスの品質の高さが周知されるに従い、ブランドは次第に信頼や信用をも意味するものへと変化しました。

現在でも刻印という意味もありますが、優れた商品やサービスの提供者・運営者の名前であり、その名前に抱かれるイメージです。

イメージは確かな品質と顧客を裏切らない満足感を提供し続けてこそ定着します。

そういう意味で強いブランドイメージを確立できたブランドは時間と市場の要求に耐えた勝者といえます。

香水とブランド

香水はブランドと深い関係があります。

というのも世界で流通している香水はほとんどが世界の著名な高級ブランド(メジャーブランド)によって、製造販売されているからです。

たとえば、ファッションブランドやジュエリーブランドが、化粧品である香水を創ることは本来、畑違いです。

開発能力も設備も不足することが普通です。そういった場合は香料会社や化粧品会社に開発・制作を委託する形態(OEM)を採用することが普通です。

それらの需要を満たすエコシステムが、香水製品の受託開発を専門にする企業の存在です。

たとえば、ニューヨークのInter-Parfums Inc.社は化粧品以外のメジャーブランドや著名なセレブたちの香水開発を得意とする会社さんです。

このような企業が、自社で開発制作をできない・しないブランドさんに香水製品を提供します。

一心同体化する香水とメジャーブランド

香料会社や化粧品会社にとって、香水開発は技術的に可能です。であるにも関わらず、多くの場合、彼らは香水の自社開会には熱心ではありません。

そのため、無名の企業から香水が売り出されるケースは少なく、市販されている香水はどれも高級ブランドのブランド名の冠をかぶる結果となっています。

いわば、香水はメジャーブランドと一心同体の関係となっています。

香水ほど、高級ブランドとこれほど一体化した商品は珍しいでしょう。

たとえば、時計やバックなら、世界的なブランドもありますが、名もなきメーカー製も無数にあります。プライベートブランド、ローカルブランドなどなんでもあります。

ところが香水となると、よほどの専門店にでも行かない限り棚には大手のメジャーブランドの香水しか置いてありません。

高級ブランドに愛される香水

メジャーブランドで、香水を商品ラインアップに加えていないブランドさんは多くありません。

バッグブランド、靴ブランド、時計ブランド、ファッションブランド・・・

なぜこれほど、香水は異業種の高級ブランドに愛されるのでしょうか?

スターやセレブリティに愛される香水ビジネス

日本では多くありませんが、欧米では映画スターや有名なセレブリティが自分ブランドの香水をリリースすることが、過去10年かなり大きなブームでした。

ELIZABETH TAYLOR さんや ALAIN DELON さんの香水は日本でもよく知られています。

これらは以前から行われていたことですが、特に2000年代以降、顕著です。

特に2002年、ジェニファーロペス(JENNIFER LOPEZ)さんの香水の商業的な成功以来、有名なセレブリティ達の香水リリースラッシュが加速しました。

最初はニュースとしてマスコミに取り上げられていました。

しかし、あまりにも多くのセレブ達がセレブ香水を出すため、マスコミの取扱も近年は少なくなりました。

飽和点が見えてきたのかも知れません。

なぜ香水なのか?

  • 香水製造とは無関係のメジャーブランドはなぜ香水を創るのか?
  • 香水製造とは無関係のセレブ達はなぜ香水を創るのか?
私はこのように理解しています:
  • (文化的背景)・・・欧米では伝統的に香水への憧れがある。成功した人で自分の香水を創りたい人は少なくない。
  • (イメージ的背景)・・・香水が持つ商品イメージのよさ。香水を商品として維持しても他の商品や自分のイメージへの影響が少ないか、むしろプラス
  • (ビジネス的背景)・・・比較的高額な値付けが可能で、小さくて長期保管が可能。しかも、流行り廃りが少ない。絶好の製品ポートフォリオ的存在


特にメジャーブランドにとって、上記3番目の「ビジネス的背景」は非常に意味が大きいと思われます。

たとえば、流行が激しいファッションブランドは季節ごとに商品の入れ替えが行われ、かつブームに左右されて、売上は上下に激しくぶれがちです。

売上の安定化は巨大資本化した現代ブランドの課題で、流行り廃りが少ない香水はプロダクトラインアップのポートフォリオ製品としては大変優れた商材と考えられます。

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